企業経営理論 経営と戦略の全体像 戦略の策定と企業戦略 事業戦略 現代の戦略 組織の構造 組織と人材

過去問セレクト問題集練習モードが一通り終わってスマート問題集本番モードに入りました。今まで一日30問位しか出来なかったのに制限時間付きになると81問解けたので我ながら不思議です。

 経営と戦略の全体像
 VRIO分析に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

  1. 企業の強みに稀少性がない状態を競争均衡という。
  2. VRIO分析のVRIOはValue、Rarity、Inimitability、Organizationの頭文字である。
  3. 稀少性を有することで、持続的競争優位性を保有することができる。
  4. 暗黙知の方が形式知より模倣困難性が高い。

競争均衡は、競争劣位ではない、という低いレベルの強みがあるという状態です。その強みは一時的な競争優位性も持続的競争優位性もありません。

稀少性だけでは、一時的競争優位性しかありません。なぜならば、稀少な資源は他の企業が調達ルートの発見、開発などによって、市場における稀少性が低下するためです。


コアコンピタンスに関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 顧客に特定の利益をもたらすことのできるものは、コアコンピタンスに該当しない。

イ 競合他社と比較してわずかに優れた能力では、コアコンピタンスに該当しない。

ウ 個別のスキルや技術が対象とされており、事業や製品ごとにしか適用されないものは、コアコンピタンスに該当しない。

エ コアコンピタンスに似た用語にケイパビリティがあるが、これは、企業が持つ組織的能力のことである。

顧客に特定の利益をもたらすことのできるものは、「顧客価値の向上」という1つ目の条件を満たしているので、コアコンピタンスに該当します。コアコンピタンスは顧客に利益をもたらす一連のスキルや技術、競争優位を生み出す源泉であり、顧客が認める価値を生み出し、顧客に認知される価値を高めるものだからです。

ケイパビリティ(Capability)とは、「企業が持つ組織的能力」もしくは「企業が得意とする組織的能力」のことで、リソースベース型戦略論の1つの考え方です。例としては、トヨタ自動車におけるサプライヤーとの緊密性や、ソニーや本田技研工業における顧客との緊密な関係によって生まれた顧客ロイヤリティーが挙げられます。多くの欧米企業がトヨタ自動車とサプライヤーとの関係性を模倣しようとしても失敗したように、これらのケイパビリティは模倣困難性が高く、持続的に競争優位をもたらす要因となっています。

ドメインの定義に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア ドメインを定義する方法には、ドメインをモノとして定義する物理的な定義と、ドメインをコトとして定義する機能的な定義がある。

イ ドメインを定義する際に、市場軸、機能軸、技術軸の3つの軸を切り口として定義するものがある。

ウ 市場軸によってドメインを定義するものは、マーケットの規模によってドメインを定義する方法である。

エ ドメインは、ひとたび定義したら変えてはならないものではなく、環境変化に適応して、時代にあわせて変更することが必要である。

ドメインの定義を行う際の切り口には、様々なものが考えられます。代表的な切り口としては、D.F.エイベルの提唱した市場(顧客)軸、機能軸、技術軸の3つがあります。市場(顧客)軸は企業が価値を提供する対象、機能軸は企業が提供する価値で満たすべき顧客のニーズ、技術軸は企業が価値を提供する手段を表します。これらの3つの軸を用いて、事業の広がりや企業独自の価値を決定することにより、ドメインに企業の成長の方向性を示唆するものを盛り込むことが重要となります。

 市場軸によってドメインを定義するものは、共通の顧客によってドメインを定義する方法です。そのため、顧客軸によるドメインと呼ばれることもあります。マーケットの規模によってではありません。

アンゾフの成長ベクトルに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア アンゾフは、企業が新しい製品市場分野に参入する場合における、新製品市場分野と旧製品市場分野との間に結合する効果を、成長ベクトルと名付けた。

イ アンゾフは、企業が現行の市場に対して現有の製品を継続しながら売上高や市場占有率の拡大を図っていく戦略を、市場開拓戦略とした。

ウ アンゾフは、企業が新規の市場に対して現有の製品を投入することで売上高や市場占有率の拡大を図っていく戦略を、市場浸透戦略とした。

エ アンゾフは、企業が新規市場に対して新製品を投入することで市場を開拓していく戦略を、多角化戦略とした。

H.I.アンゾフは、『多角化のための戦略(Strategies for diversification)』において、企業成長の方向性を「成長ベクトル」と名付けました。これは、次のように、製品について新しい製品か現有の製品かの2通り、市場について新しい市場か現行の市場かの2通りで、2×2=4通りの組み合わせで示されます。
●市場浸透戦略 現有の製品で、現行の市場を深堀していく戦略

●新製品開発戦略 新しい製品を、現行の市場に投入していく戦略

●新市場開拓戦 現有の製品を、新しい市場に投入していく戦略

●多角化戦略 新しい製品を、新しい市場に投入していく戦略

 最初の3つの戦略は、既存の自社の資源と関連が深く、拡大化戦略と呼ばれます。それに対して、製品についても市場についてもいずれもが新しいものであるものが多角化戦略とアンゾフは定義していることに注意しましょう。通常、複数の事業を行っていることを「多角化」と呼んでいる場合とは異なる定義であることを把握してください。

多角化戦略に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 関連型多角化では関連性の深い事業への多角化であるため、既存事業と新規事業のシナジー効果が高い収益性をもたらす。

イ アンゾフの水平型多角化は現在の顧客と同じタイプの顧客を対象にして、新製品を投入する多角化である。

ウ アンゾフの集成型多角化はコングロマリット型多角化であり、既存市場、製品とほとんど関連がない市場に新製品を投入する。

エ 非関連多角化は一般性が高い経営管理スキルや財務資源以外、関連性が希薄な多角化であるが、不調な事業の損失を好調な事業の利益が補うシナジーが発揮される。


多角化戦略の基本分類として関連型多角化と非関連型多角化があります。

関連型多角化:企業を構成する各SBU(戦略事業単位)が経営資源を共有する多角化です。共有される経営資源には、開発技術、流通チャネル、生産技術、管理ノウハウ等があります。既存事業と新規事業間のシナジー効果から、高い収益性をもたらします。

非関連型多角化:きわめて一般性の高い経営管理スキルと財務資源以外、企業を構成するSBU間の関連性が希薄な多角化です。従って、全くシナジーを得ることができません。

アンゾフは成長ベクトルにおける多角化戦略を4つに細分化しています。

水平型多角化:現在の顧客と同じタイプの顧客を対象にして、新製品を投入する多角化。

垂直型多角化:現在の製品の川上や川下に対する多角化。

集中型多角化:現在の製品とマーケッティングや技術の両方、またはどちらか一方に関連がある新製品を新たな市場に投入する多角化。

集成型多角化:コングロマリット型多角化ともいい、現在の製品と既存の市場の両方にほとんど関連がない中で、新製品を新しい市場に投入する多角化。

なお、多角化戦略を理解するために多角化の効果を理解する必要があります。多角化の効果には、相乗(シナジー)効果と相補(コンプリメント)効果があります。

相乗(シナジー)効果:複数の事業の組み合わせによる情報的資源の同時多重利用によって発生する効果で、掛け算的効果といいます。

相補(コンプリメント)効果:複数の事業を組み合わせることで、各製品市場での需要変動や資源制約に対応し、需要変動の平準化や余剰資源の有効活用に結びつく効果です。足し算的効果ともいわれます。

アンゾフの集成型多角化はコングロマリット型多角化であり、新製品投入が既存の市場、製品と関係が薄いという点で、コングロマリット企業が様々なタイプの事業を買収している姿と重ねて理解。

不調な事業の損失を好調な事業が補う効果は相補(コンプリメント)効果であり相乗(シナジー)効果ではありません。

アンゾフの成長ベクトルに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア アンゾフは、企業が新しい製品市場分野に参入する場合における、新製品市場分野と旧製品市場分野との間に結合する効果を、成長ベクトルと名付けた。

イ アンゾフは、企業が現行の市場に対して現有の製品を継続しながら売上高や市場占有率の拡大を図っていく戦略を、市場開拓戦略とした。

ウ アンゾフは、企業が新規の市場に対して現有の製品を投入することで売上高や市場占有率の拡大を図っていく戦略を、市場浸透戦略とした。

エ アンゾフは、企業が新規市場に対して新製品を投入することで市場を開拓していく戦略を、多角化戦略とした。


 H.I.アンゾフは、企業成長の方向性を成長ベクトルと名付けました。これは、企業が新しい製品市場分野に参入する場合における、その新製品市場分野と旧製品市場分野との間に結合する効果ではありません。製品について新製品か現有製品かの2通り、市場について新市場か現行市場かの2通りで、2×2=4通りの組み合わせで示されるものです。

PPMに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア PPMの考え方では、資金の流入と流出は市場と自社事業との成長率で決定される。

イ 「負け犬」事業からの撤退を進めるためには「花形」からのキャッシュ・フローが重要である。

ウ 「負け犬」事業からの撤退の検討に加え、資金投入によって成長市場でシェアの拡大が見込める「問題児」の選択が重要である。

エ PPMは、外部からの資金調達を考慮していないが、事業の財務面を重視した事業間のシナジーを考慮している。

PPMは、縦軸に市場成長率をとり、横軸に相対的市場シェアをとった4つのセルを持つプロダクト・ポートフォリオ・マトリックスで説明されます。縦軸の市場成長率は、市場の成熟度を示しており、PLC(製品ライフサイクル)の考え方が適用されています。PLCにおいて、成熟期にある製品(事業)のみが他の資金供給源になります。また横軸の相対的市場占有率では、経験曲線効果の考え方が適用されています。経験曲線効果ではシェアが高い製品(事業)ほど他の資金供給源になります。

 つまり「金のなる木」に分類される製品(事業)が唯一、他の製品(事業)への資金供給源になるのです。

 では、その資金はどの事業へ配分すればいいのでしょうか。それは既存の「花形」事業はもちろんですが、加えて「問題児」事業のうち、将来、シェアが拡大し「花形」になる事業に配分すれば最も効果的に資金を活用することができます。しかし、「問題児」事業のうち、将来の「花形」となる事業を選択することは容易ではありません。従って、PPMの実務的な問題は、いかに将来の「花形」となる「問題児」事業を探り当てるかにあります。

 一方で、「負け犬」事業からの撤退も実務的には困難が伴います。例えば、事業に用いられている経営資源を今後どのように活かせばいいのか、過去のトップマネジメントの肝入りで手掛けた事業である場合における忖度等が撤退の障害になることがあります。

 また、PPMは事業間シナジーを考慮していないため、例えば「花形」事業と事業間シナジーがある場合には撤退は躊躇せざるを得ません。更に、PPMは市場成長率と相対的市場シェアの2軸で分類するため、規模は小さくても高リターンをあげている事業が「負け犬」事業群に含まれている可能性があります。

 以上から、PPMを実務上利用する際、「問題児」事業、「負け犬」事業の見極めが重要な課題であることがわかります。

  PPMは自社事業の成長性は考慮していません。あくまで市場の成長性である点注意しましょう。資金の流入と流出は、主に横軸の相対的市場シェアによって決定されます。

 PPMは財務面においても事業間シナジーは考慮していません。

差別化戦略に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア ポーターの3つの基本戦略の考え方によると、特定のセグメントに絞り込み、他社と差別化した製品により競争優位を得ようとするものは、集中戦略ではなく、差別化戦略に分類される。

イ 業界全体をターゲットにして、強力なマーケティング力によりブランドロイヤルティを確立することは、差別化戦略の1つである。

ウ 業界全体をターゲットにして、顧客のクレームに細心の注意を持って対応し、顧客のニーズにあったサービスの充実を図り、繰り返してそのサービスを受けてもらうようにすることは、差別化戦略の1つである。

エ 競合企業よりも同種製品を低いコストで生産・販売できるようにし、価格という点で差別化しようとする戦略は、差別化戦略とはいわない。

 ポーターの3つの基本戦略の考え方によると、特定のセグメントに絞り込み、他社と差別化した製品により競争優位を得ようとするものは、集中戦略に分類されます。差別化戦略ではありません。差別化戦略とは、業界全体をターゲットにして、価格以外の点で自社の製品は競合企業の製品と異なるものであることをアピールすることにより、差別化優位を獲得しようとする戦略のことをいいます。ポーターの3つの基本戦略における差別化戦略は、特定のセグメントをターゲットにする集中戦略とは異なります。つまり、他社と差別化しても、特定のセグメントに絞り込む場合は、差別化戦略ではなく、集中戦略(もしくは差別化集中戦略)に分類されます。

競合企業よりも同種製品を低いコストで生産・販売できるようにし、価格という点で差別化しようとする戦略は、差別化戦略ではなく、コストリーダーシップ戦略です。

価値連鎖に関する次の文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 価値連鎖とは、M.E.ポーターが提唱した概念で、製品が消費者に届くまでの付加価値を生む一連のプロセスのことをいう。これは、( A )と( B )からなり、( A )は、主活動と支援活動に分けられる。主活動は、( C )、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスの順に構成され、支援活動は、全般管理(インフラストラクチャ)、人事・労務管理、技術開発、( D )からなる。価値連鎖により、経営活動の過程を細かく分けて分析し、競争優位の源泉や課題を明らかにすることができる。

ア 

A:価値活動 B:マージン

C:調達活動 D:購買物流

イ 

A:価値活動 B:マージン

C:購買物流 D:調達活動

ウ 

A:マージン B:価値活動

C:購買物流 D:調達活動

エ 

A:マージン B:価値活動

C:調達活動 D:購買物流


 M.E.ポーターは、価値連鎖を製品が消費者に届くまでの付加価値を生む一連のプロセスとし、価値活動とマージンからなるものとしました。

 主活動は、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスの順に構成されます。

 支援活動は、全般管理(インフラストラクチャ)、人事・労務管理、技術開発、調達活動からなります。

事業化に対する障壁に関する次の文中の下線部の状態を表す語句として、最も適切なものはどれか。

 ベンチャー企業が自社開発の技術の成果を商品化し、事業化するまでには、いくつかの障壁がある。研究段階から事業化に至るまでの障壁には、基礎研究で開発されたシーズの社会的な有用性が識別しにくいことによる障壁がある。

ア デビルリバー

イ デスバレー

ウ ダーウィンの海

エ ブルーオーシャン

研究段階から事業化に至るまでの障壁で、基礎研究で開発されたシーズの社会的な有用性が識別しにくいことによる障壁を表す用語は、デビルリバーです。これは、魔の川と呼ばれることもあります。

 デスバレーは、デビルリバーの後の段階の障壁で、応用研究と製品開発の間における障壁です。

組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすこと」を意味する用語として、最も適切なものはどれか。

ア インクリメンタル・イノベーション

イ ラディカル・イノベーション

ウ オープン・イノベーション

エ クローズド・イノベーション


H.チェスブロウは「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること」をオープン・イノベーションと定義しています。

●インクリメンタル・イノベーション 既存の製品を継続的に改良するもの   持続的イノベーション (Sustaining Technologies)のこと

●ラディカル・イノベーション 全く新しい価値を提供するようなイノベーション   破壊的イノベーション(Disruptive Technologies)のこと

●オープン・イノベーション 企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること

●クローズド・イノベーション 主に自社が使用する特許を中心とした知的財産戦略が中心となる従来のクローズドな世界でのイノベーションのこと

 H.チェスブロウは、自著『オープン・イノベーション』において、オープン・イノベーションを記述のように定義し、企業がイノベーションを続けるためには、企業内部・外部のアイデアを採用し、企業内部・外部において開発を行いながら発展させ商品化を行う必要があると主張しています。

ベンチャー企業の資金調達について、最も不適切なものはどれか。

ア スタートアップ期には、経営者、親戚、エンジェルによる資金調達が多い

イ 急成長期には、ベンチャーキャピタル、政府系金融機関からの出資・融資が多い。

ウ シード期には、民間金融機関からの融資、株式公開、ベンチャーキャピタルによる資金調達が多い

エ ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業の株式公開から得た資金で投資を回収する。

シード期 起業する前の準備段階です。シード(seed)とは「種」を表します。ビジネスの種である技術シーズやアイデアを見つけ、それを基に事業コンセプトを固めて起業するまでがシード期です。

安定成長期 市場での認知度が高まり、最も収益性が高くなる段階です。社会的信用も確立してくるため、民間金融機関からの融資が受けやすく、更に、株式公開(IPO)をすることで、株式市場から大量の資金を調達することもあります。

戦略的提携に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 合弁会社は、企業が他の企業を合併して1つの会社にし、合併された従業員が合併した従業員と共同で新規事業を推進するものである。

イ 産学連携とは、企業が大学などの研究機関と連携して研究開発をすることをいい、産学官連携とは、企業・大学・政府や自治体による連携のことをいう。

ウ TLOとは、大学の研究成果を特許化し、それを企業に技術移転するための法人のことをいう。

エ クロスライセンシングにより、互いの権利を相互に利用でき、コストを抑えた開発をすることが可能となる。

合弁会社(ジョイント・ベンチャー)は、複数の企業が共同で新規事業を推進したいときなどに利用される形態です。複数の企業が共同で合弁会社を設立し、共同で事業を推進するわけです。企業が他の企業を合併して1つの会社にし、合併された従業員が合併した従業員と共同で新規事業を推進するものではありません。

産学連携とは、企業が大学などの研究機関と連携して研究開発をすることをいいます。産学官連携とは、企業と大学だけでなく、官である政府や自治体も加わった連携のことをいいます。

TLO(Technology Licensing Organization)とは、技術移転機関のことで、大学の研究成果を特許化し、それを企業に技術移転するための法人のことです。政府は、政策として産学官連携の取り組みを支援しています。平成10年には、大学等技術移転促進法(通称TLO法)が施行され、大学で開発された技術や研究成果を民間企業に移転するための機関であるTLOを支援する取り組みが整備されました。

企業の社会的責任に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 企業には説明責任があるが、企業は投資家向けに自発的に情報を開示するものに財務諸表や有価証券報告書がある。

イ コンプライアンスは、法令などの規則を守ることをいうが、これには社会的なルールや倫理を守ることまでは含まれない。

ウ コーポレート・ガバナンスの観点からみると、一般に、日本では、外部からのチェックが働きにくく、逆に長期的視点で経営することが可能であるといわれる。

エ フィランソロピーは企業の社会貢献活動のうち、特に文化・芸術分野での活動のことをいい、メセナは企業による社会貢献活動や慈善的な寄付行為などのことをいう。

ディスクロージャーには、財務諸表や有価証券報告書など制度的なものや、投資家向けに自発的に情報を開示するインベスターリレーションズ(IR: Investor Relations)があります。投資家向けに自発的に情報を開示するものは、インベスターリレーションズです。財務諸表や有価証券報告書などは制度的な情報開示です。

 一般に、日本では、会社は経営者や従業員のものという考え方が強く、社内取締役が多くなっています。そのため、外部からのチェックが働きにくいですが、逆に長期的視点で経営することが可能です。それに対して、米国では、会社は株主のものという考え方が強く、取締役が経営者を監視します。そのため株主が経営を支配する力が強くなり、経営の視点が短期的になりがちです。

フィランソロピーは、「慈善」や「博愛」を意味する言葉であり、一般には、企業による社会貢献活動や慈善的な寄付行為などのことをいいます。これに対して、メセナは、フランス語で「文化・芸術支援」を意味する言葉であり、企業の社会貢献活動のうち、特に文化・芸術分野での活動のことをいいます。

組織の均衡に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア バーナードは、組織が成立するためには、共通の目的、誘因、コミュニケーションの3つが成立しなければならないとした。

イ バーナードは、組織が存在するためには、有効性と効率性の両側面を達成することが必要であると主張した。

ウ 個人の協働システムとして組織を認識し、組織を、個人間の相互作用が共通の目的に対して継続的になされるシステムとして捉える考え方を、クローズド・システムという。

エ 組織の均衡条件は、組織のメンバーにとって誘因が貢献以上になっている状態である。


 C.Iバーナードは、組織を2人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系と定義し、近代管理論を提唱しました。彼は、公式組織フォーマル組織)が成立するためには、共通の目的貢献意欲コミュニケーションの3つが成立しなければならないとしました。貢献意欲であって、誘因ではありません。なお、公式組織とは、一定の目的を達成するために意識的、人為的に形成された組織のことをいい、具体的には、企業などのことです。

 バーナードは、組織が存在するためには、有効性と能率の両側面を達成することが必要であると主張しました。有効性とは組織の目的達成度のことをいい、能率とは個人的動機の満足度のことをいいます。一つは、能率であって、効率性ではありません。ここでの有効性や能率という用語は、日常会話で使うものとは意味が異なります。

 バーナードは、個人の協働システムとして組織を認識し、組織を、個人間の相互作用が共通の目的に対して継続的になされるシステムとして捉えました。このような捉え方を、システム・アプローチといいます。クローズド・システムではありません。

ラインとスタッフに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア スタッフとは経営の主活動を表す職能のことをいい、ラインとはスタッフを支援する職能のことをいう。

イ ライン組織には、一人の上司からのみに命令を受けるため、命令の一元化を図ることができるというメリットがある。

ウ ライン組織は、組織の5つの設計原則のうち、専門化の原則を追求することと整合した組織である。

エ ライン・アンド・スタッフ組織には、命令の一元性を図るため、専門性を確保することができないというデメリットがある。

ラインとは、経営の主活動を表す職能のことをいいます。これに対して、スタッフとは、ラインを支援する職能のことをいいます。ラインとは、命令をする・命令を受けるという関係にある者をいい、スタッフとは命令をせず助言・勧告を行う者をいうという説明がされる場合もあります。


 ライン組織直系組織)とは、ライン関係だけで構成されている組織のことをいいます。ライン組織には、一人の上司からのみに命令を受けるため、命令の一元化を図ることができるというメリットがあります。一方で、専門性が脆弱となるというデメリットがあります。


 ライン組織は一人の上司からのみに命令を受けるため、組織の5つの設計原則やH.フェイヨールの主張した14の管理原則のうち、命令の一元化の原則を追求することと整合した組織であるといえます。専門化の原則を追求することと整合した組織ではありません。


 ライン・アンド・スタッフ組織とは、ラインの命令系統とスタッフの助言機能を持つ組織のことをいいます。これには、命令の一元性を図りつつ、専門性を確保することができるというメリットがあります。スタッフによる助言・勧告があるので、専門性を確保することができないわけではありません。一方で、ラインとスタッフの対立が起こることがあるというデメリットがあります。

組織のコンティンジェンシー理論に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 組織のコンティンジェンシー理論とは、外部環境により最適な組織構造は異なるという理論のことをいう。

イ バーンズとストーカーは、安定した産業では柔軟な組織が向いており、不安定な産業では、官僚的組織が向いていると指摘した。

ウ ローレンスとローシュは、安定的な環境における組織が業績を向上させるためには、不安定な環境における組織に比べて、より分化と統合の2つの機能を併せ持っている必要があると指摘した。

エ 不確実な環境に対応するには、処理する情報を増やすか、情報処理能力を減らすような対応が必要である。


 コンティンジェンシー理論とは、組織は唯一普遍的な組織形態を持つわけでなく、組織の置かれている環境や状況よって最適な組織形態が変わってくるという理論のことをいいます。

T.バーンズとG.M.ストーカーは、安定した産業では官僚的組織が向いており、不安定な産業では、より柔軟な組織が向いていると指摘しました。バーンズとストーカーは、1950年代から1960年代にかけてエレクトロニクス企業15社の事例研究から、次の組織構造の2つのタイプを発見し、最もよく環境に適合する組織構造は環境状況によって異なると主張しました。機械的システムとは、高度に構造化され、集権的で、官僚制のような特性を持った組織構造のことで、これは安定的な環境下で好業績をおさめます。これに対して、有機的システムとは、組織構造がルーズで、分権的で、コミュニケーションが活発で、文書によらない課業の遂行や柔軟な課業配分などの非官僚制的な特性を持った組織構造のことで、これは、不安定な環境下で好業績をおさめます。


P.R.ローレンスとJ.Wローシュは、不安定な環境に置かれている組織が業績を向上させるためには、分化と統合の2つの機能を併せ持っている必要があると指摘しました。不安定な環境における組織が業績を向上させるためには、安定的な環境における組織に比べて、より分化と統合の2つの機能を併せ持っている必要があるとしたのです。つまり、分化して専門化をしていくことで効率を高め、その際に発生するコンフリクトを解決するための高度な統合機能を持つ必要があるということです。ローレンスとローシュは、課業環境の不確実性の程度が異なると有効な組織特性も異なると主張したのです。彼らの考え方によると、課業環境がより不確実で多様なケースだと、より分化が進展し、部門間の組織特性の差異の程度が高くなり、より強力な統合がなされ、組織全体の共通目的達成のための協働を促す力が働くことになります。


 不確実な環境に対応するには、処理する情報を減らすか、情報処理能力を増やすような対応が必要です。処理する情報を増やすか、情報処理能力を減らすのではありません。処理する情報を減らすためには、スラック資源、つまり余分な資源を持っておく方法や自己完結型の組織にする方法があります。情報処理能力を増やすためには、横断的な組織を設ける方法や情報処理システムを整備する方法があります。

組織スラックに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 組織スラックにより、従業員は組織からスピンオフしやすくなる。

イ 組織スラックにより、コンフリクトが生じやすくなる。

ウ 組織スラックには、組織を不安定にする側面がある。

エ 組織スラックは、イノベーションを生み出す資源となりうる。

組織スラックとは、組織における、過剰な人員、使用していない設備、生産のロスタイム、内部留保などといった余剰資源のことをいいます。
 組織スラックを利用することにより、企業は従業員の「貢献」を上回る「誘因」を与えることができ、従業員を組織に繋ぎとめることができます。

 企業内での対立や企業と利害関係者間における対立を解消するためには、多くの経営資源が必要とされますが、このような場合に、組織スラックが活用されます。このように、組織スラックはコンフリクト解消のための資源となります。コンフリクトが生じやすくなるのではありません。

 例えば、企業が原材料や部品の在庫保有量を増やせば、サプライヤーの急な納期の延長に対応することができ、急な需要の増加に対処することもできます。このように、組織スラックはワークフロー・プロセスにおける緩衝材としての機能を果たすため、組織の安定に寄与します。組織を不安定にするのではありません。


 組織スラックを革新のための源泉とすることによって、イノベーション(革新)を生み出すことができます。このように、組織スラックはイノベーションの促進という役割を果たすことができます。したがって、組織スラックは、イノベーションを生み出す資源となりうるものといえます。

組織の危機管理に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 危機管理は、想定される危機を未然に防ぐ活動をいう。

イ 危機管理はリスクマネジメントと同じ意味である。

ウ 危機管理では安全を脅かす事象に対し、従業員と経営者の間にオープンなコミュニケーション・ラインを確立する必要がある。

エ 危機管理においては、事前にCSRを作成し、トレーニングをすることが重要である。

危機管理では、全社的な取組みにより企業の安全文化を育むことが重要です。安全文化を育むには、従業員と経営者間のオープン・コミュニケーションが不可欠です。


CSR(Corporate Social Responsibility)は企業の社会的責任です。CSRではなく、事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)を作成します。

科学的管理法と人間関係論に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア テイラーは、課業を達成した労働者には高い賃金で報いること、課業が達成できなかった労働者には低い賃金にすることを提唱した。

イ テイラーは、万能職長制度から、職長の機能を8つに分け、それぞれの仕事を職長に分担させる制度職能別職長制への移行を提唱した。

ウ ホーソン実験により、職場の人間関係が労働生産性を向上させる要因となっていることが明らかになり、職場におけるインフォーマル組織の存在が発見された。

エ 人間観として、テイラーの科学的管理法では社会人モデルがとられ、人間関係論においては、経済人モデルおよび機械人モデルがとられている。

従来、1人の職長がすべての計画、管理、執行を担当する万能職長制度が採用されていました。テイラーは、万能職長制度から職能別職長制への移行を提唱しました。職能別職長制度とは、職長の機能を大きく計画機能と執行機能に分け、職長の仕事を8分野に分類し、それぞれの仕事を職長に分担させる制度のことをいいます。この職能別職長制度は、専門化の原則に従っています。

ホーソン実験とは、1924年から1932年にかけて、G.E.メイヨーらによって行われたウエスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行った作業環境と生産性の関連性に関する一連の実験のことをいいます。この実験では、作業環境の改善をしても労働生産性は向上しないけれども、職場の人間関係が労働生産性を向上させる要因となっていることが明らかになり、職場におけるインフォーマル組織の存在が発見されました。

人間観として、テイラーの科学的管理法では、経済人モデルおよび機械人モデルがとられています。

モチベーション理論に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア マズローによると、人間の欲求は低次から高次への段階をなしており、低次の欲求が充足された後に初めて高次の欲求に関心が向けられるとされる。

イ マグレガーによると、X理論ではなく、Y理論にもとづき経営を行うことが重要であるとされる。

ウ ハーズバーグによると、衛生要因とは、職務の内容、職務の達成、達成の評価など、それが与えられることによって、人々の満足が高まるようなものとされる。

エ アージリスによると、人間は未成熟の段階から成熟していく存在であるので、組織は人間の成長を妨げないように、職務拡大をすべきであるとされる。


 職務の内容、職務の達成、達成の評価など、それが与えられることによって、人々の満足が高まるようなものは、動機づけ要因です。衛生要因ではありません。

 適切な記述です。C.アージリスは、人間は未成熟の段階から成熟していく存在であるのに対して、組織の既存のルールは、従業員に未成熟な状態でいることを要求してしまい、人間の成長を押さえつけてしまうのが問題であると指摘しました。そこで、組織は人間の成長を妨げないように、職務拡大ジョブ・エンラージメント)することが重要となります。職務拡大というのは、仕事の範囲を水平的に拡大することで、従業員に成長の実感を与えることです。

職務拡充に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア アージリスによると、組織は人間の成長を妨げないように、仕事の計画や判断など責任と権限を拡大する職務拡大が重要であるとされる。

イ ハーズバーグによると、高次の欲求を追求する者に対しては、衛生要因を改善するだけでは動機づけにつながらないため、動機づけ要因を改善するために、仕事の範囲を水平的に拡大する職務充実が重要であるとされる。

ウ 職務の計画、実施、評価を、自分自身で管理できるようにするのが、職務拡大である。

エ 個人が行うタスクの数や種類を増やし、職務に多様性を持たせるのが、職務拡大である。

 組織は人間の成長を妨げないようにすることが重要です。C.アージリスはそのための方法として、職務拡大(ジョブ・エンラージメント)を挙げています。職務拡大というのは、仕事の範囲を水平的に拡大することで、従業員に成長の実感を与えることです。仕事の計画や判断など責任と権限を拡大することではありません。仕事の計画や判断など責任と権限を拡げるのは、職務充実です。

 F.ハーズバーグは、高次の欲求を追求する者に対しては、衛生要因を改善するだけでは動機づけにつながらないため、動機づけ要因を改善する必要があることを示しました。そのための具体的方法として、職務充実(ジョブ・エンリッチメント)を挙げています。職務充実というのは、仕事の計画や判断など責任と権限を拡げることです。仕事の範囲を水平的に拡大するのではありません。仕事の範囲を水平的に拡大するのは、職務拡大です。

 職務の計画、実施、評価を、自分自身で管理できるようにするのは、職務充実です。職務拡大ではありません。

職務拡大は、仕事の範囲を水平的に拡大して、個人が行うタスクの数や種類を増やし、職務に多様性を持たせるものです。

内発的動機づけに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア デシの「内発的動機づけ」では、「人は生まれながらに有能感と自己決定への欲求をもっており、この2つがモチベーションの重要な源泉となっている」とした。

イ チクセントミハイのフロー心理学では、「特定の作業に没頭する中で、自分自身が環境に完全に支配されている感覚」を「フロー経験」とした。

ウ フロー経験を得るには「活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される直接的で即座な反応」、「活動の目的が難しい」等が条件になる。

エ ホワイトのコンピテンスでは「個人が経験・学習を通して獲得した能力をある状況下であれば有効に作用するだろうと考える潜在能力を持つこと」だけで内発的動機づけが得られる。

デシが提唱した内発的動機づけは、「人は生まれながらに有能感自己決定への欲求をもっており、この2つがモチベーションの重要な源泉となっている」とします。有能感(competence)とは、自己がおかれている環境に効果的に対処できる能力をいい、自己決定(self-determination)とは、この能力にもとづき、自分の意思で行為を選択することをいいます。

ホワイトのコンピテンスは「個人が経験・学習を通して獲得した能力をある状況下であれば有効に作用するだろうと考える潜在能力を持つこと」に加え、「その状況下でその潜在能力を有効に活用することで自分の有能さを発揮しようと動機づけられること」の2つが満たされる必要があります。

職務特性モデルでは、モチベーション(動機づけ)を高めるための5つの中核的職務特性がある。中核的職務特性に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 技能多様性とは必要とされるスキルの多様性である。ある仕事をするのに、様々なスキルを必要とするほど動機づけが高まる。

イ 完結性とは仕事の流れの最後に関与することである。自分の仕事が職務として完結する時点に関与しているほど動機づけが高まる。

ウ 自律性とは自分で工夫できる裁量が大きいことである。ある仕事をするのに、自分で計画し、工夫できる余地があるほど動機づけが高まる。

エ フィードバックとは仕事そのものからフィードバックを得られることである。仕事の成果についての情報を直接的に得られるほど動機づけが高まる。

様々なスキルが必要な仕事の方が仕事の単調さから解放され動機づけにつながります。

完結性とは仕事の流れの全体に関与できることです。自分の仕事が職務の一部分であるよりも、職務として完結しているほど動機づけが高まります。

自ら計画に参画し、創意工夫が活かせるほうが動機づけにつながります。

仕事そのものの成果について直接情報を得られることは、やりがいを得ることにつながり動機づけが高まります。

リーダーシップのコンティンジェンシー理論に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア フィードラーによると、LPC得点の高い者は、対人関係をうまくやっていくことに主たる満足を見いだす者で、仕事中心型と呼ばれる。

イ フィードラーは、リーダーシップの有効なスタイルは、組織の状況がリーダーの行動に影響を与える程度によって異なると主張した。

ウ フィードラーによると、リーダーが統制しやすい状況の場合は、業績中心型の方が業績は高い。

エ ハウスは、部下の能力が低く、仕事が低度なほど、参加的なリーダーシップが有効だと指摘している。

 F.E.フィードラーによると、LPC得点の高い者は、対人関係をうまくやっていくことに主たる満足を見いだす者で、人間関係中心型と呼ばれます。仕事中心型ではありません。フィードラーは、リーダーが過去に一緒に仕事をした協働者のなかから、最も好ましくないと思った者に対する態度を、LPC(Least preferred coworker)得点として測定しました。このLPC得点の高い者が、「人間関係中心型人間関係指向的)リーダー」と呼ばれます。これに対して、このLPC得点が低い者は、業績を上げることに主たる満足を見いだす者で、「仕事中心型課業指向的)リーダー」と呼ばれます。

 フィードラーは、リーダーシップの有効なスタイルは、組織の状況がリーダーの行動に影響を与える程度によって異なるというコンティンジェンシー理論を主張しました。

 フィードラーによると、リーダーが統制しやすい状況の場合は、仕事中心型の方が業績は高いと主張されています。業績中心型の方が、業績が高いのではありません。ここで、統制しやすい状況とは、メンバーがリーダーを信頼しており、仕事内容が明確で、リーダーの権限が強いような場合のことをいいます。

 R.ハウスは、部下の能力が高く、仕事が高度なほど、参加的なリーダーシップが有効だと指摘しています。部下の能力が低く、仕事が低度なほどというのではありません。そして、リーダーはメンバーに対して報酬の目標を示し、その報酬を得るための経路を明確にすることが必要だというパス=ゴール理論(目標=経路理論)を主張しました。

集団のリーダーが個人や集団を追従させるパワーの源泉に関する次の記述として最も適切なものはどれか。

ア 職位権限など、組織から公式に与えられた地位は、それ自体が人々を従わせる組織勢力となる。

イ リーダーがメンバーの昇給や昇進、その他の好意的な労働条件を与えることができる権限を持っている場合、メリットを求めて指示に従う評価勢力となる。

ウ リーダーがメンバーに集団内での不利益を与える場合、恐怖心に裏付けられた強制勢力が生まれる。

エ メンバーが自身と同じような資質や個性を備えたリーダーに同一化する同一視力が生まれる。

 組織から公式に与えられた地位は合法(正当)勢力です。

評価勢力という表現は一般的ではありません。正しくは報酬勢力です。

 メンバーがリーダーに対して個人的な魅力や一体感を感じているときに生まれるパワーを準拠勢力(同一視力)といいます。これは、メンバーがリーダーに対して同一化するものであり、リーダーが個人や集団を追従させるパワーの源泉とまでは読み取れません。また、メンバーが自分と同じような資質や個性を備えたリーダーに対して個人的な魅力や一体感を感じるとは限りません。

組織学習に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 組織学習とは、組織やメンバーが新しい知識を獲得する活動やプロセスのことをいうので、これは知識を学ぶことに限定されるものである。

イ 組織学習は、組織の発展段階によって、低次学習とシングルループ学習に分類される。

ウ 組織が革新的に進化する時に必要なのは高次学習であり、これは、既存の枠組み自体を変革するための学習である。

エ ナレッジマネジメントでは、ナレッジを蓄積し共有するだけでなく、組織的な形式知を、個人の持つ暗黙知として活用していくことが重要である。

 低次学習もシングルループ学習も同じことです。組織学習は、組織の発展段階によって、低次学習シングルループ学習)と高次学習ダブルループ学習)に分類されます。

 組織が革新的に進化する時に必要なのは高次学習です。高次学習はダブルループ学習とも呼ばれ、既存の枠組みを超えた学習で、既存の枠組み自体を変革するための学習のことです。


 「個人の持つ暗黙知」と「組織的な形式知」が逆です。ナレッジマネジメント(KM:Knowledge Management)では、ナレッジを蓄積し共有するだけでなく、個人の持つ暗黙知を、組織的な形式知として活用していくことが重要です。ナレッジマネジメントとは、知識を共有して活用することで、新たな知識を創造しながら経営を実践することをいいます。ここで、言葉や数字で表現しにくい技能やノウハウのことを暗黙知といい、言葉や数式で表現できる知識のことを形式知といいます。

SECIモデルとは、個人の持つ暗黙知を、組織的な形式知として活用するための組織的知識創造プロセスである。この SECI モデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア SECI モデルにおける共同化(Socialization)とは、断片的なメモを一冊のテキストにまとめるなど、形式知化された個別の知識を組み合わせて、新たな形式知を生み出すプロセスを意味する。

イ SECI モデルにおける表出化(Externalization)とは、個人の内面にあった新製品のイメージなどが具体的な言葉によって新製品コンセプトとして表現されていくような、共同化を通じて獲得された暗黙知を形式知に転換するプロセスを意味する。

ウ SECI モデルにおける連結化(Combination)とは、個人が既存の形式知を深く理解し、その結果、自分自身の内面的な知識として定着させることを意味する。

エ SECI モデルにおける内面化(Internalization)とは、複数の個人が共同で実践を繰り返すことを通じて、特定の個人が持つ内面化された知識を他者にも伝えていくことを意味する。

共同化とは、個人の持つ暗黙知を、別の個人が自身の暗黙知として取り込むプロセスです。複数の個人が共通の体験を行うことにより、共同化が促進されます。選択肢の内容は、連結化の内容です。

表出化とは、個人のもつ暗黙知を、他人に分かりやすく伝えるために、言語や図表などを使っての形式知化するものです。他人と対話したり、一緒に考えたりすることで、表出化が実現しやすくなります。

連結化とは、個別の形式知を統合して、新たな形式知を生み出すことです。選択肢の内容は、内面化の内容です。

内面化とは、個人が形式知を理解し、自分自身のノウハウやスキルとして体得(暗黙知化)することです。選択肢の内容は、共同化の内容です。

組織コミットメントに関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 「この会社が好きだ」というのは、情緒的コミットメントの例である。

イ 「この経験が積めるのは貴重なので、やめるのはもったいない」というのは、功利的コミットメントの例である。

ウ 「どんな会社であろうと、入った以上は忠誠を尽くすべきだ」というのは、規範的コミットメントの例である。

エ 「会社の今月の売上目標を達成するために、自分ももっと頑張って営業をしよう」というのは、行動的コミットメントの例である。

 「会社の今月の売上目標を達成するために、自分ももっと頑張って営業をしよう」というのは、組織の価値や目標を進んで自分に取り入れていこうとするプロセスですので、態度的コミットメントです。行動的コミットメントではありません。態度的コミットメントとは、組織の価値や目標を進んで受け入れ、関連した役割などに積極的に関与することです。これに対して、個人の過去の行動によって、その組織への関与がどのように強まっていくのかという過程に注目するものが、行動的コミットメントです。

レヴィンの「解凍-変化-再凍結」モデルに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 解凍は新しい考え方や行動様式を受け入れようとする組織のメンバーに、教育するプロセスである。一般的に組織のメンバーは統率されているため抵抗は示されない。

イ 解凍プロセスでは現状の組織が危機に瀕している状況については控えめにして自主性を重んじる。

ウ 変化とは組織のメンバーに、新しい考え方や行動様式の必要性を訴えるプロセスである。

エ 再凍結とは新しい考え方や行動様式を、組織のメンバーに定着させるプロセスである。


新しい考え方や行動様式の必要性を訴えるプロセスは「解凍」の段階です。「変化」の段階は、組織のメンバーに新しい考え方や行動様式を理解させるプロセスです。

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