平成22年度 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例4(財務・会計を中心とした経営戦略・経営管理に関する事例)

与件文

D社は地方都市に本社をおく、資本金2.5億円、総資産約37億円、売上高約48億円、従業員79人の電子部品のメーカーである。D社はインダクタ(コイル)をはじめとした電子部品を製造している。工場は本社の近くの工業団地に位置し、本社との密接な連携と、顧客の要求に対する迅速な対応はD社の強みのひとつでもある。D社は積極的に技術開発と設備投資を行うことによって、製品の小型化・高性能化と安定した品質を実現し、顧客である大手メーカーからの信頼を得てきた。そのため、受注は安定的で収益も高く、獲得した利益を内部留保として、これを設備投資に振り向けて成長してきた。情報機器を生産している大手メーカーZ社は、D社の主要な顧客であり、Z社向けの部品Qは、D社の売り上げの多くを占めている。D社では部品Qの中期的な受注増を予想しており、現在の生産能力には余裕がある。一方で、価格競争力の観点から平成20年度までに、遊休資産の売却等全社的に大規模なリストラクチャリングを断行した。しかしながら、Z社の最終製品の価格下落にともなって、Z社から部品Qの納入価格の大幅な引き下げを要求されている。D社の取締役会では、この要求にいかに対応すべきかが議論されているが、売り上げの多くをZ社に依存しているだけに問題は深刻である。しかし、すでに述べたように大規模なリストラクチャリングを行ったので、さらなる固定費の削減は望めない状況にある。また、生産技術部からは、現状の設備では大幅な変動費の削減は困難であるとの報告があった。平成21年度のD社の財務諸表及び同業他社(業界中位)の財務諸表は次のとおりである。以下の問題に答えよ。なお、計算の結果は小数点第3位を四捨五入せよ。

与件文&問題読込8分。

第1問(配点40点)D社の平成21年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比べたこの企業の財務上の長所または短所のうち、重要と思われるものを3つ取り上げよ。その各々について、長所または短所の根拠を最も的確に示す経営指標を1つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標値を計算して(b)欄に示した上で、その長所または短所について、D社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に60字以内で説明せよ。

収益性・効率性・安全性の指標をやっと全て書き出せるようになりました。あとは効率性・安全性の計算式の定着がもう少しです。

計算記入55分、配点40点中自己採点18点。

第2問(配点25点)営業部からの報告によれば、Z社は部品Qの納入価格の20%引き下げを要求している。さらにZ社からは、納入価格を現在の価格より30%引き下げることができれば、今後は仕入れ先をD社に一本化し、発注量を2倍にする案が提示されている。部品Qの現在の売上高は2,823百万円、変動費は1,129百万円、固定費は1,640百万円である。なお、現在の生産能力には十分な余裕があり、生産技術部からは、部品Qの納入量を2倍にしても、その原価構造は現状と変化がないと報告されている。(設問1)部品Qの損益分岐点図表は次に示されたとおりである。①納入価格を20%引き下げた場合、②納入価格を30%引き下げた場合のそれぞれについて、解答用紙の損益分岐点図表に総費用線を描け。また、①および②の場合の損益分岐点売上高を所定の解答欄に求めよ(単位:百万円)。なお、総費用線を描く際には、2つのケースを区別するため、①の場合を破線()、②の場合を実線()で表すものとする。定規がない場合、フリーハンドでもよいが、始点、交点、終点等のうち重要なものは明確にすること。

損益分岐点売上高  =  固定費÷(1-変動費率)

変動費は、納入量すなわち生産量が2倍となるため、変動費も2倍とすべきでした。

売上高線と総費用線の交点が損益分岐点でした。

計算記入27分、配点12.5点中自己採点0点。

(設問2)D社はZ社から提示された案のうち、どちらを受け入れるべきか、その理由とともに60字以内で解答せよ。

売上高が損益分岐点を下回るか上回るかで判断が必要でした。

計算記入3分、配点12.5点中自己採点0点。

第3問(配点20点)仮に部品Qの納入価格の30%引き下げを受け入れた場合について、生産技術部より製品原価の引き下げを主眼とする設備投資に関する報告が得られた。これによれば、設備投資(5億円)を行って、新たな生産方法を取り入れることにより、変動費を初年度は現状に比べ3%、第2年度以降、第5年度までは現状に比べ7%削減することが可能になる。なお、この設備投資によって不要になる生産設備はない。設備投資資金の原資としては内部留保を予定しており、資本コストは6%で、割引計算のみに使用する。設備の耐用年数は5年で5年後の残存価値をゼロ、5年後の処分価値をゼロとして定額法によって減価償却を行う。なお、金利r=0.06とした場合の年金現価係数は3.4651であり、法人税等の実行税率を40%と仮定する。また、すべてのキャッシュフローは期末に発生するものと仮定し、設備投資に伴う運転資本の増減はないと仮定する。

(設問1)新たな生産方法を採用し、部品Qの受注量が2倍になった場合、この設備投資のNPV(正味現在価値)はいくらになるかを(a)欄に解答せよ(単位:百万円)。また、第2年度以降の損益分岐点売上高はいくらになるかを(b)欄に解答せよ(単位:百万円)。

未だまだ難しく既に時間切れの為、1分で切り捨て。。

NPV(正味現在価値)=将来得られるフリーキャッシュフローの現在価値の合計

フリーキャッシュフロー=営業利益×(1-実行税率)+減価償却費±運転資金の増減-設備投資額

損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動比率)=固定費÷(1-(変動費÷売上高))

計算記入1分、配点10点中自己採点0点。

(設問2)D社は、現状の生産方法で生産を続けるべきか、それとも設備投資を行い新たな生産方法を採用すべきか、理由を含めて60字以内で解答せよ。

現在の生産方法でのNPV

初年度から第5年度の各年度のFCF=(売上高-固定費-変動費)×(1-実行税率)

初年度のFCFの現在価値=FCF÷(1+資本コスト)

第2年度から第4年度のFCFの現在価値の合計=FCF×年金現価係数÷(1+資本コスト)

設備投資した場合の損益分岐点売上高は、初年度は、固定費÷(1-(変動費÷売上高))

計算記入1分、配点10点中自己採点0点。

第4問(配点15点)D社では、かねてから、将来的にも部品Qの受注が増加すると予想していた。そこで数年前より部品Qの増産に向けて新工場の建設プロジェクトを立ち上げ、社内で検討してきた。D社の製品は品質の面で他社より優位な立場にある。そこで新工場では、さらなる価格競争にも対応できる生産設備を導入することにしている。Z社からの受注増を受け入れるのであれば、このプロジェクトが実施される公算が大きい。平成25年度末の工場建設開始に向けて、余剰資金の一部を国債で運用することを計画している。新工場建設に伴う投資規模は約8億円と推定されている。先頃すでに5年後満期の利付国債を3.6億円購入した。手元資金のうち2億円についても同様に利付国債での運用を検討している。

(設問1)金利が上昇した場合に保有債券の市場価値にどのような影響が出るかを20字以内で説明せよ。

国債の基礎知識を使って解答出来ました。

記入3分、配点7.5点中自己採点7.5点。

(設問2)設問1の影響を軽減するための方策を30字以内で提案せよ。

問題文から、5年後満期の利付国債を先頃購入したということで平成 21 年度に購入したと想定され、平成 25 年度末の工場建設開始に向けた資金のため、国債の満期が到来する前に、保有する国債を売却する必要があると考える必要がありました。そのため、金利上昇時の影響を抑えるには、平成 25 年度末の工場建設開始より前に満期を迎える国債に買い替える方策が考えるべきでした。

記入3分、配点7.5点中自己採点0点。

読込&全記入100分(20分超過)、自己採点時間内18点、時間外25.5点。

時間、計算、解答筋、全てにおいて事例4が課題です。。

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