経営法務 株式会社の機関設計 株式会社の設立と資金調達

株式会社の機関設計

問題 1 株式会社の機関設計 【平成19年 第4問】
 A、B、C、Dの4人は、4人で共同して、株式会社を設立することを予定しており、4人が役員となるとの前提で設立する会社の機関設計について検討している。このときの4人の会話から結論づけられる株式会社の機関設計として最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、( I )から( IV)には、それぞれ株式会社の異なる機関名が入るが、解答する必要はない。

A:「4人とも( I )になることでどうだろうか。」

B:「それでは、会社の会計責任者が誰なのか、対外的にはっきりしなくなってしまうから、今回は適当でないと思う。Dは税理士でもあるのだから、Dに( II )か(III)になってもらった方がよいのではないか。」

D:「私も基本的にはBの意見に賛成だ。ただ、事業が順調に進めば、比較的短い期間で大会社(会社法第2条第6号)となる。そのときに、改めて機関設計をやり直すのでは手間がかかる。改めて設置しなければならない機関をなるべく少なくできるようにした方がよい。」

A、B、C:「もっともだ。」

C:「そうすると、Dは、( II )でも(III )でも、どちらでもよいのかい。」

D:「いや。私が( II )となって、A、B、Cの3人が( I )ということになると、大会社となったときに改めて(III )を設置しなければならない。それを避けて、( I )を2人として、1人が( II )となるとすると、今度は( IV )を設置できなくなって、結局、後で、( I )を1人以上増やして( IV )を設置しなければならなくなるから、やはり面倒だ。最初から( IV )も設置して、私が( III )になる方がよい。」

A、B、C:「では、そうしよう。」

[解答群]

ア 取締役及び会計参与が設置されている会社

イ 取締役及び監査役が設置されている会社

ウ 取締役、取締役会及び会計参与が設置されている会社

エ 取締役、取締役会及び監査役が設置されている会社

将来的に大会社になることを見据えて機関設計をすることが提案されています。大会社で必須となる機関は、会計監査人と監査役です。
取締役会は大会社に必ず設置しなければならないものではありません。

社外取締役の要件 【平成27年 第1問】

 以下の者のうち、X株式会社において、社外取締役の要件を満たさない者はどれか。なお、経過規定については考慮しないものとする。

 ア 15年前まで、X 株式会社に勤務していた者

 イ X 株式会社の親会社の業務執行取締役

 ウ X 株式会社の業務執行取締役の甥

 エ X 株式会社の主要な取引先の業務執行取締役

平成27年5月に施行された改正会社法によって、社外取締役の要件が改正されました。主な内容は次の通りです。

・現在、もしくは過去10年以内にその会社または子会社の業務を執行する取締役、執行役、使用人等となったことがないもの

・親会社等の関係者(取締役、執行役、使用人等)でないこと

・兄弟会社の業務執行取締役等でないこと

・経営者等の近親者(配偶者・2親等内の親族)でないこと

 選択肢ウは、「X 株式会社の業務執行取締役の甥」です。経営者等の親族ではありますが、甥は3親等にあたります。要件では「2親等内の親族でないこと」となっていますので、この人は社外取締役の要件を満たしています。よって、ウの記述は適切です。

監査役の設置【平成24年 第18 問】

 会社法では、機関の設計が柔軟化され監査役を設置しない株式会社も認められる。監査役の設置に関連した説明として最も適切なものはどれか。

ア 株式会社が指名委員会等設置会社の場合は、監査役を設置することはできない。

イ 株式会社が、公開会社でも会計監査人設置会社でもない場合は、監査役を設置することはできない。

ウ 株式会社が、大会社でも指名委員会等設置会社でもない場合は、監査役の設置は任意となる。

エ 株式会社が、大会社でも公開会社でもない場合は、監査役の設置は任意となる。

取締役会を設置した場合、原則は監査役を設置する必要があります。ただし、株式譲渡制限会社で取締役会を設置した場合、会計参与を設置すれば、監査役は必要ありません。会計監査人を設置した場合も、必ず監査役を設置する必要があります。ただし、指名委員会等設置会社および監査等委員会設置会社の場合は、会計監査人を設置する必要がある一方、監査役を設置することはできません。

監査役、会計参与 【平成20年 第1問】

 株式会社の機関である、会計参与、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある監査役及びかかる限定がない監査役について、以下の①から④の点について比較した。この比較結果を記載した表のうち、誤った内容が含まれているものを下記の解答群から選べ。

① 役員(会社法第329 条第1項)に該当するか否か。

② 株主総会への出席義務があるかないか。

③ 取締役会への出席義務があるかないか。

④ 監査役会の構成員となることが可能か否か。

会計参与監査役(会計監査に限定)監査役(会計監査に限定されない)
該当する該当する該当する
ありありあり
一定の場合にありありあり
不可能不可能可能

[解答群]

ア ①

イ ②

ウ ③

エ ④

会社法では、役員について「取締役、会計参与及び監査役をいう」と規定しています。監査役の役割が会計監査に限定されるか否かは、関係ありません。

 会社法では、「取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない」と規定されています。

会計参与について、会社法では「取締役会設置会社の会計参与は、計算書類等の承認をする取締役会に出席しなければならない。」ことを規定しています。よって、会計参与は一定の場合に取締役会への出席義務があります。

 次に、監査役についてですが、会社法で「監査役は、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。」と規定されています。ただし、監査権限が会計監査に限定された監査役については、会社法で、取締役会への出席義務がないことも規定されています。従って、監査権限が会計監査に限定されない監査役は、取締役会への出席義務があり、権限が会計監査に限定される監査役は、取締役会への出席義務がありません。

会社法では、「監査役会は、すべての監査役で組織する。」と規定されています。従って、会計参与は監査役会の構成員とはなれません。また、監査権限が会計監査に限定された監査役は、設置することができるのは株式譲渡制限会社であって、監査役会や会計監査人を設置していない会社のみとなります。つまり、監査権限が会計監査に限定された監査役を設置している会社においては、監査役会は存在しないことになり、監査役会の構成員になることができません。

執行役と執行役員 【平成23年 第5問】

 次の文章は、中小企業診断士であるあなたと、顧客であるX株式会社の代表取締役の甲氏との間の会話である。この会話の空欄AとBに入る用語の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 甲氏:「私の会社もある程度大きくなって、取引先も大手の会社が増えてきたから、社員の肩書を変えようかと思いましてね。」

 あなた:「どのようなものをお考えなんですか。」

 甲氏:「何かこう見栄えのいいのがいいなあと思いましてね。取引先でもらう名刺なんか見ると、エグゼクティブ何とかとか、何ちゃらプレジデントとか、何とか( A )とか、いろいろあるからそれを参考にして、営業本部長を業務( B )とかそういった名前にしようかなと思っているんですよ。」

 あなた:「えっ、その( B )という肩書ですと、本当は会社法上の機関でないのに、会社法上の機関、役員と間違われてしまいますよ。」

 甲氏:「えっ、役員ということは取締役と一緒ということですか。それじゃあうまくないなあ。そうすると、( A )というのも、機関というものになるわけですか。」

 あなた:「いいえ、( A )という名称は、法律上にこれといった根拠があるものではなく、最近の実務慣行で使われるようになった名称ですので、会社法上の機関ではありません。そういったこともあって、取締役といった役員の名称とは別に、( A )という名称を使っている場合もあります。」

 甲氏:「へえ、じゃあ( A )」という名称はどういったときに使えばいいんですか。」

 あなた:「いろいろなケースがあるので一概にはいえませんが、会社との間の契約の内容も様々といわれています。」

[解答群]

ア A:CFO B:執行役員

イ A:執行役 B:CFO

ウ A:執行役 B:執行役員

エ A:執行役員 B:執行役

執行役とは、指名委員会等設置会社で1 人以上選任しなければならない機関で、業務の執行を行います。会社法上では、「役員」とは取締役、監査役、会計参与であり、「役員等」とは、執行役と会計監査人を含むと規定されています。このように、執行役は会社法上で定められた機関です。


株主総会と取締役会 【平成25年 第18問】

 公私混同が激しく株式会社の存続を危うくする代表取締役Aを解職して、代表権をはく奪したい。さらにAを取締役から解任したい。この場合の記述として最も適切なものはどれか。なお、当該株式会社は取締役会設置会社であり定款による別段の定めがないことを前提とする。

ア 代表取締役Aを解職して代表権のない取締役にするには、株主総会において議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行わなければならない。

イ 代表取締役Aを解職して代表権のない取締役にするには、取締役会において議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数の決議によらなければならない。

ウ 取締役Aを解任するには、株主総会において議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。

エ 取締役Aを解任するには、取締役会において議決に加わることができる全取締役が出席し全員の同意によって行わなければならない。

代表取締役の解職は、株主総会の決議事項ではなく取締役会決議が必要です。

取締役会の決議では、取締役の過半数が出席し、出席した取締役の過半数の賛成が必要です。

取締役の解任は株主総会の普通決議が必要です。株主総会の普通決議は、株主総会に議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成で決議できるものです。


株式会社の役員の任期と解任 【平成28年 第1問】

 株式会社の役員に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 定款で定めれば、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上の割合を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって、監査役を解任することができる。

b 定款で定めれば、増員として選任された監査役の任期を、他の現任監査役の任期の満了する時までとすることができる。

c 公開会社でない株式会社は、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社でない限り、取締役の任期について、定款で定めることにより、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで伸長することができる。

d 正当な理由なく取締役を解任された者は、解任によって生じた損害の賠償を株式会社に対して請求することができる。ここでいう損害には、残存任期中に支給を受けるはずだった取締役の報酬等も含まれる。

[解答群]

ア aとb

イ aとd

ウ bとc

エ cとd

監査役の解任には、株主総会の特別決議が必要です。特別決議の定足数は、定款によって過半数から3分の1以上まで軽減できます。しかし、議決要件は、出席株主の総議決権のうち3分の2以上の賛成が必要であり、軽減はできません。

増員監査役の場合は、短縮を認められていません。

会社法上、公開会社でない株式会社(株式譲渡制限会社)では、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社でない限り、取締役・監査役の任期を、定款の定めにより最大10年まで延長することができます。

解任について正当な理由がない場合は、解任された取締役は株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができます。ここでいう損害とは具体的には、残りの任期中に支給を受けるはずだった取締役の報酬等を指します。

6-5 株式会社の設立と資金調達

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問題 1 株式会社の設立手続 【平成18年 第1問】

 依頼者A氏から、小規模な会社を設立して新しい事業を行いたいが、会社法ができたことで会社の設立手続に変更があったのかどうか詳しく教えて欲しいとの依頼を受けた。

 あなたのアドバイスとして最も適切なものはどれか。

ア 株式会社設立の登記を行う際に、出資の履行が行われたことを示す書面を添付しなければなりませんが、発起設立・募集設立いずれの場合も、当該書面は、銀行預金の残高証明だけで足りることになりました。

イ 現物出資に検査役の調査が不要となる範囲が拡大されましたので、現物出資財産について定款に記載された価額の総額が500 万円以下であれば、検査役の調査は不要です。

ウ 取締役会が設置されない小規模な株式会社の場合は、設立手続も規模に応じて簡素な形式になりましたので、発起人が作成した定款に公証人の認証を受ける必要はありません。

エ 有限会社を設立することは原則できないこととなりましたが、特例として資本金の額が10 万円以下であれば、設立する会社を有限会社とすることもできます。

自己株式の取得 【平成27年 第2問】(設問2)

 自己株式の取得に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社(以下「X社」という。)の総務部門の担当者である甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、X社は、公開会社ではなく、取締役会設置会社であるとする。また、定款に特段の定めもないものとする。

甲氏:「今、有償での自己株式の取得を検討しているのですが、手続について教えてもらえませんか。株主総会の決議が必要なのは分かっているのですが。」

あなた:「株主との合意によりX社の株式を取得するということですよね。有償で自己株式を取得する場合、取得対価の帳簿価格の総額が(A)を超えてはいけないことになっているのですが、その点は大丈夫ですか。」

甲氏:「はい。それは既に確認しているので大丈夫です。」

あなた:「よかったです。では、手続ですが、株主全員に譲渡の勧誘をする方法(①の方法)と特定の株主から取得する方法(②の方法)の2つがあります。②の方法では、特定の株主だけから株式を取得するので、その株主の氏名を株主総会で決議する必要があります。ただ、②の方法の場合、他の株主は、自己を取得の相手に加えるように請求することができます。」

甲氏:「なるほど。2つの方法で株主総会の招集手続に違いはありますか。」

あなた:「書面又は電磁的方法による議決権行使を認めないことを前提とすると、総会の日の(B)前までに招集通知を発送しなければならないのは、①の方法でも②の方法でも変わらないのですが、②の方法の場合、自己を取得の相手に加える旨の請求を行う機会を与えるために、その請求ができることを招集通知の発送期限までに株主に通知しなければなりません。この通知と招集通知を兼ねるとすると、②の方法の場合の方が、①の方法の場合よりも早く招集通知を発送しなければならないことになります。」

甲氏:「決議要件はどうでしょうか。」

あなた:「(C) 」

甲氏:「なるほど。ありがとうございました。」

あなた:「今回の場合にどちらの手続が具体的に良いのかは、専門家にきちんと相談した方がいいと思います。顧問弁護士の先生に連絡を取ってみてはどうでしょうか。」

(設問2)

 会話の中の空欄Bに入る期間として最も適切なものはどれか。

ア 5日

イ 1週間

ウ 2週間

エ 1か月

会社が公開会社の場合は、株主総会開催の日の2週間前までに通知を発する必要があります。また、公開会社ではない会社でも、書面や電磁的方法による議決権行使の定めがある場合、同じく期間は2週間前になります。

会社が公開会社ではなく、書面や電磁的方法による議決権行使の定めがない場合は、株主総会開催の日の1週間前に招集通知を発する必要があります。さらに、取締役会設置会社ではない場合、定款で短縮できます。

自己株式の取得 【平成27年 第2問】(設問3)

 自己株式の取得に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社(以下「X社」という。)の総務部門の担当者である甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、X社は、公開会社ではなく、取締役会設置会社であるとする。また、定款に特段の定めもないものとする。

甲氏:「今、有償での自己株式の取得を検討しているのですが、手続について教えてもらえませんか。株主総会の決議が必要なのは分かっているのですが。」

あなた:「株主との合意によりX社の株式を取得するということですよね。有償で自己株式を取得する場合、取得対価の帳簿価格の総額が(A)を超えてはいけないことになっているのですが、その点は大丈夫ですか。」

甲氏:「はい。それは既に確認しているので大丈夫です。」

あなた:「よかったです。では、手続ですが、株主全員に譲渡の勧誘をする方法(①の方法)と特定の株主から取得する方法(②の方法)の2つがあります。②の方法では、特定の株主だけから株式を取得するので、その株主の氏名を株主総会で決議する必要があります。ただ、②の方法の場合、他の株主は、自己を取得の相手に加えるように請求することができます。」

甲氏:「なるほど。2つの方法で株主総会の招集手続に違いはありますか。」

あなた:「書面又は電磁的方法による議決権行使を認めないことを前提とすると、総会の日の(B)前までに招集通知を発送しなければならないのは、①の方法でも②の方法でも変わらないのですが、②の方法の場合、自己を取得の相手に加える旨の請求を行う機会を与えるために、その請求ができることを招集通知の発送期限までに株主に通知しなければなりません。この通知と招集通知を兼ねるとすると、②の方法の場合の方が、①の方法の場合よりも早く招集通知を発送しなければならないことになります。」

甲氏:「決議要件はどうでしょうか。」

あなた:「(C) 」

甲氏:「なるほど。ありがとうございました。」

あなた:「今回の場合にどちらの手続が具体的に良いのかは、専門家にきちんと相談した方がいいと思います。顧問弁護士の先生に連絡を取ってみてはどうでしょうか。」

(設問3)

 会話の中の空欄Cに入る記述として最も適切なものはどれか。

ア ①の方法の場合でも②の方法の場合でも特別決議です。

イ ①の方法の場合でも②の方法の場合でも普通決議です。

ウ ①の方法の場合には特別決議ですが、②の方法の場合には普通決議です。

エ ①の方法の場合には普通決議ですが、②の方法の場合には特別決議です。

株主全員に譲渡の勧誘をする方法(①の方法)の場合は、株主総会の普通決議で足りますが、特定の株主から取得する方法(②の方法)の場合は、株主総会の特別決議が必要となります。

募集株式と募集社債 【平成19年 第3問】

 募集株式と募集社債との比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 

募集株式:必ずしも株券を発行する必要はない。

募集社債:必ず社債券を発行しなければならない。

イ 

募集株式:いかなる場合でも、取締役会の決議だけで発行できる。

募集社債:いかなる場合でも、株主総会の特別決議がなければ発行できない。

ウ 

募集株式:持分会社は発行できない。

募集社債:持分会社も発行することができる。

エ 

募集株式:割当てを受ける者が30人を超えた場合は、株式管理者を置かなければならない。

募集社債:割当てを受ける者の数や社債の金額を問わず、社債管理者を置かなければならない。

募集株式とは、新たに発行される株式のことです。募集株式の発行をするためには、公開会社では、原則として取締役会の決議が必要です。ただし、第三者に対して特に有利な条件で株式を割り当てる場合は、株主総会の特別決議が必要になります。

 株式譲渡制限会社の場合は、原則として株主総会の特別決議が必要になります。ただし、株主総会の委任がある場合は、取締役会の決議で発行を行うことができます。また、株式譲渡制限会社の場合は、第三者への有利発行をする場合でも、株主総会の委任があれば取締役会の決議で発行できます。

 株券については、現在の会社法では株券の発行は義務付けられておらず、任意となっています。株券の発行は、定款に定めることによって可能になります。

社債は、取締役会の決議、取締役会非設置会社は取締役の決定によって、発行することができます。

 社債は償還期間が長いため、社債の管理を適切に行うために、原則として社債管理者を置くことが必要となっています。ただし、各社債の金額が1 億円以上の場合など、一定の条件を満たす場合は、社債管理者を置く必要はありません。

 社債でも、株式における株券と同じような社債券を発行することもできます。ただし、無記名社債を除き、社債券は発行しなくても構いません。

株券、社債券ともに、必ずしも発行する必要はありません。

募集株式の発行をするためには、公開会社では、原則として取締役会の決議が必要ですが、第三者への有利発行の場合や、株式譲渡制限会社の場合は、原則として株主総会の特別決議が必要になります。また、募集社債を発行するためには、取締役会の決議が必要です。

株式は、株式会社においてのみ発行可能なものであるため、持分会社では発行できません。一方、社債は、持分会社であっても発行可能です。

会社法では、株式について株式管理者という制度は規定されていません。

一方、社債は、原則として社債管理者を設ける必要があります。ただし、各社債の金額が1億円以上の場合など、一定の条件を満たす場合は、社債管理者を置く必要はありません。

資本金と資本準備金 【平成29年 第4問】(設問1)

 以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、新株発行による資金調達を行おうとしているX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲 氏:「新株発行により 3,000 万円を調達しようと考えています。株式の発行に際して払い込まれた金額は、資本金か資本準備金かのどちらかに計上しなければならないと聞きましたが、具体的にいくらにすればいいのでしょうか。」

あなた:「会社法上の規定により、3,000 万円のうち、少なくとも( A )円は、資本金として計上しなければならないので、残りの( B )円についていくらを資本金にするのかが問題になります。資本金の額が許認可の要件となっている事業を行う場合などを除き、一般的には資本金に計上する金額を少なくした方が有利なことが多いように思います。」

甲 氏:「資本金を増やす特別な理由がないのであれば、資本金に計上する金額は少なくした方がいいみたいですね。今回は、( B )円を資本準備金の金額としておきます。」

(設問1)

会話の中の空欄AとBに入る数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア A:1    B:2,999万9,999

イ A:300万  B:2,700万

ウ A:1,000万  B:2,000万

エ A:1,500万  B:1,500万

(設問2)

会話の中の下線部に関連し、最も適切なものはどれか。

ア 資本金の金額によって、監査役設置会社において会計監査人を設置しなければならないかどうかが影響を受けることはない。

イ 資本金の金額によって、個人情報の保護に関する法律に定める個人情報取扱事業者に該当するかどうかが影響を受けることはない。

ウ 資本金の金額によって、下請代金支払遅延等防止法によって保護される下請事業者に該当するかどうかが影響を受けることはない。

エ 増える資本金の額が多くなっても、資本金の額の変更に係る登記に要する登録免許税の金額が増えることはない。

個人情報の保護に関する法律に定める個人情報取扱事業者は、個人情報データベース等を事業の用に供している者のうち、国等の一定の者を除いた者と定義されています。また、個人情報データベース等とは、個人情報を含む情報の集合物であって、特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものや、特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるものとされています。これらの定義は資本金の金額を要件としていないため、資本金の金額によって、個人情報の保護に関する法律に定める個人情報取扱事業者に該当するかどうかが影響を受けることはありません。

株式会社の資本金の増加の登記に要する登録免許税の金額は、増加した資本金の額の1,000分の7(3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円)となります。したがって、増える資本金の額が多くなると、資本金の額の変更に係る登記に要する登録免許税の金額が増えることとなります。

株式会社の配当 1【平成30年 第7問】

 資本の部の計数の増減に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 資本金の額を減少させ、その減少させた金額と同じ金額だけその他資本剰余金の額を増やすためには、債権者異議手続を行う必要がある。

イ 資本金の額を減少させ、その減少させた金額と同じ金額だけ利益準備金の額を増やすためには、債権者異議手続を行う必要がある。

ウ 資本準備金の額を減少させ、その減少させた金額と同じ金額だけ資本金の額を増やすためには、債権者異議手続を行う必要がある。

エ その他資本剰余金の額を減少させ、その減少させた金額と同じ金額だけ資本金の額を増やすためには、債権者異議手続を行う必要がある。

分配可能額は剰余金の額を基準として計算されますが、この剰余金の額からは準備金が除かれます。したがって、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額が基準となります。

資本金と準備金の間での移動では分配可能額は変化しません。

その他資本剰余金減少・資本金増加は、分配可能額の減少につながります。したがって、債権者異議手続は不要です。

会社法では、株式会社が資本金または準備金の額を減少する場合には、債権者異議手続を必要としています。

資本金から準備金・剰余金への移動の場合、移動先は資本準備金・その他資本剰余金に限られます。


株式会社の配当2 【平成22年 第20問】

 会社法における株式会社の剰余金の配当規定に関連する説明として、最も不適切なものはどれか。なお、本問における株式会社は、取締役会設置会社であるが会計監査人設置会社ではないものとする。

ア 株式会社の純資産が300 万円を下回らない限り、株主総会の決議によっていつでも剰余金の配当をすることができる。

イ 株主総会の決議によって、配当財産を金銭以外の財産とする現物配当をすることができる。ただし、当該株式会社の株式等を配当財産とすることはできない。

ウ 事業年度の一定の日を臨時決算日と定め、臨時計算書類を作成して取締役会および株主総会で承認を受けた場合は、臨時決算日までの損益も分配可能額に含まれる。

エ 定款で定めることにより一事業年度の途中において何回でも取締役会の決議によって中間配当をすることができる。ただし、配当財産は金銭に限られる。

配当における分配可能額は、剰余金の額を基準にして、自己株式の帳簿価額や自己株式の処分対価などを控除するなどの調整を行うことで計算します。また、純資産の額が300万円を下回る場合には、配当を行うことはできません。


 剰余金の配当では、金銭以外の財産とする現物配当をすることが可能です。しかし、会社の株式や社債、新株予約権などを現物配当の配当財産とすることはできません。

 会社法では、事業年度の一定の日を臨時決算日と定め、臨時計算書類を作成して取締役会および株主総会で承認を受けた場合は、臨時決算日までの損益も分配可能額に含めることができると規定されています。

 株主総会の普通決議により承認を受けた場合の剰余金の配当は、何回でも行うことができますが、定款に定めた場合には一事業年度中1回に限り、取締役会決議による剰余金の配当をすることができます。

 なお、例外的に、一定の要件を満たす会計監査人設置会社では、取締役会決議によりいつでも剰余金の配当が可能です。本問における株式会社では会計監査人設置会社ではないため、この特則による配当をすることはできません。


計算書類【平成24年 第20問】

 株式会社が作成する計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書の取扱いに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 なお、本問の前提となる株式会社は、取締役会および監査役を置くが、会計参与、会計監査人は設置していない。

ア 株式会社は、計算書類を作成した時から10 年間、当該計算書類とその附属明細書を保存しなければならない。

イ 計算書類及び事業報告については監査役の監査を受けなければならないが、附属明細書は監査役監査の対象とはならない。

ウ 事業報告は、株式会社の状況に関する重要な事項を記載し、定時株主総会の日の2週間前の日から5年間その本店に備え置かなければならない。

エ 取締役は、計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、計算書類については承認を受けなければならないが、事業報告については内容の報告で足りる。

計算書類は作成後10年間保存する義務があります。

 監査役設置会社では、計算書類および事業報告とこれらの附属明細書は監査役の監査を受ける必要があります。

取締役は、計算書類について株主総会での承認を受ける必要があり、また、事業報告について株主総会に報告する必要があります。

金融商品取引法 【平成30年 第22問】

 下表は、金融商品取引法に基づき作成が義務付けられる書類の名称とその内容について説明したものである。空欄A〜Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 

名称内容の説明
新たに有価証券を発行する場合、又は、既発行の有価証券の売出しをする場合において、その取得の申込みの勧誘を行う相手方の人数及び発行(売出し)価額の総額等が一定の基準に該当するときに、発行者が内閣総理大臣に提出することが義務付けられる書類
発行(売出し)価額の総額等が( A )の提出が義務付けられる基準に満たない場合において、新たに有価証券を発行し、又は、既発行の有価証券の売出しをするときに、発行者が内閣総理大臣に提出することが義務付けられる書類
有価証券の発行者が、事業年度ごとに、内閣総理大臣に提出することが義務付けられる、事業の内容に関する重要な事項を記載した書類
有価証券の募集又は売出しに当たって、その取得の申込みを勧誘する際等に投資家に交付する文書

〔解答群〕

ア A:有価証券通知書  B:有価証券届出書

  C:目論見書     D:有価証券報告書

イ A:有価証券届出書  B:有価証券通知書

  C:目論見書     D:有価証券報告書

ウ A:有価証券届出書  B:有価証券通知書

  C:有価証券報告書  D:目論見書

エ A:有価証券報告書  B:有価証券届出書

  C:有価証券通知書  D:目論見書


AとBはほぼ同様の内容の書類であることが分かります。このうち、BはAの提出義務がない場合に提出するものですので、Aが有価証券届出書、Bが有価証券通知書と判断できます。

 Cは有価証券報告書です。なお、有価証券報告書の提出義務がある会社は、別途、四半期報告書または半期報告書も提出する必要があります。Dは目論見書です。目論見書のみ相手方である投資家に直接交付する点がポイントになります。

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