経済学・経済政策 不完全競争と市場の失敗  経済指標と財市場の分析 貨幣市場とIS-LM 分析 労働市場と主要理論

夜11時過ぎてからの1単元でもとりあえず本日中に問題を解くことが出来ました。

不完全競争と市場の失敗

完全競争市場の利潤最大化条件は「価格(P)=限界費用(MC)」「限界収入(MR)=限界費用(MC)」

独占企業の利潤最大化条件 限界収入(MR)=限界費用(MC)

独占価格は需要曲線上の点で決まる

独占市場における総余剰は、完全競争市場における総余剰よりも小さい。

ナッシュ均衡は、「相手が選ぶ戦略に対して、自分が最適の反応をしている」という状態が、全てのプレーヤーで成り立つ状態

囚人のジレンマとは、各プレーヤーが自らの利得の最大化を図るとき、両プレーヤーともより大きな利得を得る可能性があるにもかかわらず、個々の最適な選択が全体として最適な選択とはならず、より小さい利得になってしまうこと

パレート最適とは、パレート効率的とも呼ばれ、他の誰かの効用を犠牲にしない限り、他の誰かの効用を改善できない状況を言います。パレート最適な状態は、無駄なく資源配分されている状態を表します。

無限回の繰り返しゲームにおいて、協調解がナッシュ均衡として成立するという理論をフォーク定理

ミニマックス戦略とは、相手が自分にとって最も不利な行動をとることを想定して、そのときに自己の利益を最大限に確保しようとする戦略です。言い換えると、自己の損失を最も少なくしようとする戦略

トリガー戦略とは、繰り返しゲームにおいて、相手が協力する限りは協力で応じるが、相手が非協力の行動をとれば非協力に切り替えて、以後は非協力の行動をとり続けるという戦略

屈折需要曲線とは、企業の製品価格の変動に対する他の企業の反応が、価格を上昇させるか低下させるかで異なることから導出される屈折した需要曲線のこと

●自社が価格を引き上げたとき

→ 他社はこれに追随せず、価格を据え置く

⇒ この企業の製品に対する需要は大きく減少する

●自社が価格を引き下げたとき

→ 他社もこれに追随して、価格を低下させる

⇒ この企業の製品に対する需要の増加はそれほど大きくなくなる

屈折需要曲線の持つ重要な性質は、限界収入曲線が不連続になることです。このことは、生産要素価格の変化や生産技術の変化による企業の費用構造の変化が寡占企業の製品価格に影響を与えることが難しくなることを意味

寡占市場には価格の下方硬直性とよばれる特徴があるが、この価格の硬直性の理由を説明する際に用いられるのが屈折需要曲線である。

需要曲線が屈折していることから、価格は大きく変動しない

限界収入曲線は、独占市場と同様に需要曲線の傾きの2倍になります。完全競争市場では、限界収入=限界費用となる点で市場が均衡

ある寡占企業がシェア拡大を図るため行った価格引下げに他の寡占企業が追従したため需要曲線の傾斜が急になった、その状況にあっても、寡占市場であることに変わりはないため、完全競争市場になるわけではありません。

寡占市場の価格の下方硬直性により、限界費用曲線がシフトしても価格は留まります。

独占企業同様、寡占企業はプライスメイカーであるため、限界収入曲線の傾きは、需要曲線の傾きの2倍となります。従って、需要曲線の傾きは限界収入の傾きより緩くなる

●外部不経済 他の経済主体に不利な影響を及ぼす外部効果

外部効果が発生している場合には、私的限界費用PMCと社会的限界費用SMCは一致をせず、乖離しています。外部不経済が発生している場合、社会的限界費用SMCが私的限界費用PMCを上回っており、この差額は社会が払うコストです。これは、限界外部費用と呼ばれます。社会的限界費用SMCと私的限界費用PMCは一致しているのではありません。

外部不経済が発生している場合、私的限界費用曲線PMCと需要曲線Dの交点Eにおいて市場は均衡し、市場均衡価格はP0、市場均衡取引量はQ0となります。社会的に望ましい均衡点は、地域住民の被害額まで含めた社会的限界費用曲線SMCと需要曲線Dの交点Fです。このF点が最適な資源配分を達成することができる点となり、社会的な最適価格はP1、社会的な最適取引量はQ1となります。市場均衡価格P0、市場均衡取引量Q0と比較すると、市場に委ねた場合の価格は社会的な最適価格よりも安い価格で、社会的な最適取引量よりも過大に市場に供給されている(過大供給)ことがわかります。過小ではありません。このように、外部不経済が発生している場合には、市場メカニズムによって最適な資源配分を達成することができないという市場の失敗が生じています。

外部性を内部化するための税・補助金政策は、提唱者であるピグーの名をとってピグー的政策

●ピグー税

 私的限界費用(PMC)と社会的限界費用(SMC)が一致するように、政府が税金を課す

●ピグー補助金

 私的限界費用(PMC)と社会的限界費用(SMC)が一致するように、政府が補助金を出す

私的限界費用と社会的限界費用が一致するように、政府がこの市場に介入することによって、外部効果を是正し、最適な資源配分を達成することができる。

外部不経済が発生している場合、課税により私的限界費用PMCを社会的限界費用SMCの水準まで引き上げることによって、最適な資源配分を達成することができます。このような課税を、ピグー税といいます。

政府が地域住民の単位当たり被害額と同じtだけを企業に従量税として課した場合、最適な資源配分を達成することができる。

政府が介入することが社会的総余剰を減少させることになるのは、外部効果が働いていない完全競争市場においてです。外部効果が働いている場合は、政府が介入することによって最適な資源配分を達成することができます。

コースの定理とは、外部効果による非効率的な配分の問題は、当事者間の自発的な交渉によって解決することができるという定理

外部効果による非効率的な配分の問題は、当事者間の自発的な交渉によって解決することができます。

資産効果とは、保有する土地や株式などの資産価格や資産残高の実質価値が高まり、それが消費行動に与える効果のことをいいます。また、取引費用とは、財・サービスの取引行動にともない取引参加者が負担しなければならない費用のことで、 具体的には情報収集費、取引契約の実行の確認費用、危険負担費などが挙げられます。

資産効果や取引費用がない場合、交渉や契約の結果は所有権や財産権の帰属に影響されることなく、資源の分配問題から離れて、単に効率性だけで決定されるという命題のことを、コースの定理といいます。これは、外部不経済の発生者が被害者に補償金を支払っても、反対に被害者が外部不経済の発生者にお金を支払って、外部不経済をなくすような処置をしてもらっても、最適な資源配分を達成することができることをいっています。

費用逓減産業とは、固定費用が膨大であるために、通常の需要の範囲においては生産量の増加に伴って平均費用が逓減する産業のことをいいます。

 費用逓減産業は自然独占となり、自由な取引を市場に任せておくと、過少生産、高い独占価格となります。総余剰が最大とならず、最適な資源配分を達成することができないため、市場の失敗となります。

●限界費用価格形成原理

 需要曲線と限界費用曲線の交点によって価格を決定する

 〈メリット〉 総余剰が最大となり、最適な資源配分が達成される

 〈デメリット〉企業の利潤は赤字となり、独立採算で運営することができない

        政府は赤字を補てんしなければならない

 ●平均費用価格形成原理

 需要曲線と平均費用曲線の交点によって価格を決定する

 〈メリット〉 利潤が赤字とならず、独立採算で運営することができる

 〈デメリット〉総余剰が最大とならず、効率的な資源配分ができない

 限界費用価格形成原理のメリットと平均費用価格形成原理のデメリット、限界費用価格形成原理のデメリットと平均費用価格形成原理のメリットが反対の関係になっていることに注目してください

限界費用価格形成原理には、総余剰が最大となり、最適な資源配分が達成されるというメリット

平均費用価格形成原理には、利潤が赤字とならず、独立採算で運営することができるというメリット

逆選択(アドバース・セレクション、レモン市場)

 品質の悪い財が品質の良い財よりも多く市場に出回ること

不確実な状況では、個人は効用の期待値が最大になるように行動するということをいうのは、期待効用仮説

品質の悪い財が品質の良い財よりも多く市場に出回ることをいうのは、逆選択

モラルハザードとは、情報の非対称性が存在するために、契約後に自分が有利になるように行動することをいう。

プリンシパル・エージェント関係とは、依頼人と代理人の間の関係を表します。プリンシパル・エージェント関係では、情報の非対称性があるため、モラルハザードが発生しやすくなります。モラルハザードは発生しにくくなるのではありません。

契約あるいは取引の前に情報の非対称性が発生するのは、逆選択

モラルハザードは、相手の行動が観察できない場合に、契約あるいは取引をすることにより人々の行動が変化し、契約前に想定した状況と異なった行動をとる現象

経済指標と財市場の分析

45度線分析は、財市場が均衡しているときに国民所得がどのように決定するかを分析するものです。これは、財市場についてだけを対象にした分析で、貨幣市場、労働市場については、考慮していません。45度線分析は、3つの市場がすべて均衡しているものとして分析されるものではありません。

国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)

 ある一定期間で、国全体で新たに生み出された付加価値の総額

●国民総生産(GNP:Gross National Product)

 ある一定期間で、国民が生み出した付加価値の総額

 GNP=GDP+海外からの要素所得受取り-海外への要素所得支払い

●国内純生産(NDP:Net Domestic Product)

 GDPから固定資本減耗を控除したもの

NDP= GDP-固定資本減耗

国民経済計算の体系では減価償却のことを固定資本減耗

GDPに含まれないものとして、株式や土地の売買、親からの遺産など

土地の売却代金はGDPに計上されません。なぜなら,土地の売却額は新たに生産した付加価値ではないからです。ただし、土地売買の仲介手数料はGDPに計上されることに注意しましょう。

 GDPの計算においては、生産活動によって生み出された価値以外のものは除外します。よって、絵画や株式の代金はGDPに計上されません。しかし、仲介というサービスを提供した対価である仲介手数料についてはGDPに計上されます。

 GDPには、市場で取引されるものがすべて計算されるわけではなく、各産業の生産額から原材料などの中間投入額を差し引いた付加価値だけが計上されます。これにより二重計上を回避することができます。

 農家は農産物を栽培しこれを販売して収入を得ることが生業(なりわい)ですので、帰属計算として、農産物の自家消費分は市場で取引されなくてもその金額がGDPに計上されます。しかし、企業に勤めているサラリーマンが自宅の庭で野菜を栽培した場合、これを販売して収入を得ることを目的としたものではないので、それを自分で消費したものはGDPに計上されません。

国内総生産(GDP) ≡国内総所得(GDI)≡国内総支出(GDE)

●生産面から見たGDP

 国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)

 =総生産額-中間投入額=付加価値額

●分配面から見たGDP

 国内総所得(GDI:Gross Domestic Income)

 =雇用者報酬+営業余剰・混合所得+固定資本減耗+(間接税-補助金)

●支出面から見たGDP

 国内総支出(GDE:Gross Domestic Expenditure)

 =(民間消費支出+固定資本形成+在庫品増加+政府支出)+(輸出-輸入)

 国内総生産の三面等価の原則とは、国内総生産は生産、分配、支出の3つの面から計算することができ、それらは統計上、必ず一致するという原則のことをいいます。いつでも必ず一致するというわけではありません。「統計上、事後的に」という点に注意しましょう。需要と供給が一致するとすれば、需要である支出面から見たGDPは、供給である生産面から見たGDPと等しくなります。しかし、実際の経済では、需要と供給が常に一致するとは限りません。そこで、国民経済計算では、需要と供給が一致しないときは、事後的に差額を「在庫品増加」の項目で調整するという決まりがあります。よって、統計上、事後的に、支出面から見たGDPも、生産面から見たGDPと等しくなります。

生産面から見ると、国内総生産は、財・サービスの生産額から生産のための原材料等として使用された財・サービスの中間投入額を控除して求められる。

所得を集計する分配面から見ると、国内総生産は、国内総所得と等しくなる。

最終需要を集計する支出面から見ると、国内総生産は、「国内総生産=(民間消費支出+固定資本形成+在庫品増加+政府支出)+(輸出-輸入)」という計算式で表される。

●名目GDP

 物価を考慮していない国内総生産(GDP)のこと

●実質GDP

 物価を考慮した国内総生産(GDP)のこと

実質GDPの計算をする際の物価指数のことを、GDPデフレータといいます。

 一般に、実質値は名目値を物価で割ると計算される

一国内での生産量は変わらず、すべての財の価格が2倍になった場合、名目GDPは2倍になるが、実質GDPは以前と変わらない。

●パーシェ方式の物価指数

 比較時点の数量を用いて計算する

●ラスパイレス方式の物価指数

 基準時点の数量を用いて計算する

〈種 類〉

●GDPデフレータ

 経済全体の物価水準を表す指数

●消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)

 家計の消費支出のみを対象とした物価指数

●企業物価指数(CGPI: Corporate Goods Price Index)

 企業間で取引される財を対象とした物価指数

パーシェ方式の物価指数は、今の消費パターンを実現するための支払額を、以前と比較するものである。

消費者物価指数と、企業物価指数は、ラスパイレス方式という計算方式

ラスパイレス指数は、基準年の数量を用い、パーシェ指数は、比較年の数量を用います。

 ラスパイレス指数=(ΣPt×Q0)/(ΣP0×Q0)

 パーシェ指数=(ΣPt×Qt)/(ΣP0×Qt)

 Pt:比較年の価格、Qt:比較年の数量、P0:基準年の価格、Q0:基準年の数量

 GDPデフレータ=名目GDP/実質GDP×100

景気動向指数とは、複数の指標を組み合わせて、総合的に景気の状況を判断するための指数

先行系列は、景気に対して先行的に働く指標で、数ヶ月先の景気の動きを示します。「耐久消費財出荷指数」は先行系列の指標ではありません。一致系列の指標です。従来、先行系列であった「耐久消費財出荷指数」は、生産部門の比率の是正のため、第10次改定では一致系列に移されました。

一致系列は、景気に対して一致的に働く指標で、景気の現状を示します。「稼働率指数(製造業)」は、従来、一致系列の指標でしたが、生産部門の比率を是正することを理由に、第10次改定では除外されました。

遅行系列は、景気に対して遅行的に働く指標で、半年から1年遅れで反応します。「完全失業率(逆)」は遅行系列の指標です。よって、記述は適切です。世の中の景気がよくなるときには、まず、景気が完全によくなり始める前に「新規求人数(除学卒)」(先行系列)が増え、次に、景気がよくなっている最中に「有効求人倍率(除学卒)」(一致系列)が増え、最後に、景気が完全によくなった後に「完全失業率」(遅行系列)が低下していることが判明するというように考えるとわかりやすいです。

●ディフュージョンインデックス(DI:Diffusion Index)

 景気変動の方向性を表す

●コンポジットインデックス(CI:Composite Index)

 景気変動の大きさを表す

DIは、景気変動の方向性を表し、採用系列の変化方向を合成することにより景気局面を把握するものである。

一致系列のDIが50%を超えれば現在の景気は上向きであり、50%未満であれば現在の景気は下向きであると判断されます。

コンポジットインデックス(CI:Composite Index)は、景気変動の大きさを表します。これは、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標であり、主として景気変動の大きさ(量感)やテンポ(質感)を測定することを目的としています。CIは、景気変動の大きさを示すことができないものではありません。

一致系列のCIが100よりも小さい場合は、現在の景気は後退局面と判断されます。拡張局面ではありません。CIは、採用している各系列の変化量を平均し、累積したうえで、指数化して求めます。CIは、基準となる年度を決めて、その基準年からどれぐらい景気が変動したかを表します。CIでは、基準年の指標を100と置き、そこから各指標が変化した変化率をもとに、CIを算出します。一致系列のCIが100よりも大きければ現在の景気は拡張局面、100よりも小さければ現在の景気は後退局面と判断されます。

●求人倍率

・新規求人倍率

 新規求人倍率=新規求人数/新規求職者数

 先行系列の基礎指標

・有効求人倍率

 有効求人倍率=有効求人数/有効求職者数

 一致系列の基礎指標

●完全失業率

 完全失業率=完全失業者数/労働力人口

職業安定業務統計(一般職業紹介状況)とは、全国の公共職業安定所(ハローワーク)における職業紹介業務の実績を集計した、厚生労働省による業務統計のことをいいます。総務省が行っているのではありません。求人倍率には、「新規求人倍率」と「有効求人倍率」とがある

新規求人倍率は、「新規求人倍率(倍)=新規求人数÷新規求職者数」という計算式で求められ、これは労働力需給状況の変化の先行的な動きをとらえることができる。

有効求人倍率は、「有効求人倍率(倍)=有効求人数÷有効求職者数」という計算式で求められます。「有効求人数×有効求職者数」ではありません。ここで、「有効求人数」とは、前月から未充足のまま繰り越された求人数と新規求人数との合計をといいます。また、「有効求職数」とは、前月から繰り越して引き続き求職している者と新規求職者との合計数をいいます。有効求人倍率は、動きが安定し方向が読みとりやすく、また、景気の動向とほぼ一致した動きを示します。

労働力調査とは、国民の就業および不就業の状態を明らかにすることを目的とし、総務省により調査されるものです。完全失業率とは、労働力人口に占める完全失業者の割合をいいます。

労働力人口とは、満15歳以上満65歳未満の生産年齢人口のうちで所得を得るために労働している者(就業者数)と、休業中の就業者、そして労働をしたいと希望しながら仕事についていない者(完全失業者数)の総数のことをいいます。完全失業者とは、仕事がなくて調査期間中に少しも仕事をしなかった(就業者でない)者のうち、就業が可能でこれを希望しかつ仕事を探していた者および過去の求職活動の結果を待っていた者のことをいいます。よって、満15歳以上満65歳未満の生産年齢であっても、労働をしたいと希望せず仕事についていない者については、労働力人口には含まれません。

成長会計とは、経済成長の要因を生産要素の投入の増加要因による部分と、生産性の上昇要因による部分とに分解して、どの要因がどれだけ成長に貢献しているかを明らかにする分析のこと

全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)とは、生産の増加の中で資本、労働といった生産要素の投入の増大では計測することができない部分のこと

全要素生産性は、経済成長(GDPの増加)のうち、生産要素である資本と労働の投入の増加要因による寄与では説明できない部分、つまり残差として求められます。この全要素生産性は、技術進歩率と考えることができ、イノベーションや労働・資本の質的向上、経営の効率性などを表したものと解釈されます。残差という計測方法を使うのは、技術進歩そのものを定量的にマクロ経済全体のなかで計測することが難しいからです。

J.M.ケインズは、消費は所得に依存するものと考えました。つまり、所得が多ければ消費も多くなり、所得が少なくなれば消費も少なくなると考えたのです。そこで、一国の所得水準が決まれば、消費水準が決まるということを、消費は所得の関数であるとし、ケインズ型消費関数を導出しました。所得が多ければ消費は少なくなり、所得が少なくなれば消費は多くなるのではありません。

消費をC、国民所得をY、限界消費性向をc、独立消費(基礎消費)をC0とすると、ケインズ型消費関数は、グラフにおいて、傾きc、縦軸切片がC0 の直線で表される。

限界消費性向は、グラフでは、消費曲線上の点の接線の傾き、すなわち、消費曲線の傾きで表されます。原点と消費曲線上の点を結んだ直線の傾きで表されるのは、平均消費性向です。限界消費性向とは、国民所得が1単位増加したときに、消費がどれだけ増加するかを示すものです。これは国民所得の増加に対する消費の変化の度合いを表します。

平均消費性向は、グラフでは、原点と消費曲線上の点を結んだ直線の傾きで表されます。消費曲線上の点の接線の傾きで表されるのは、限界消費性向です。平均消費性向は、消費者が所得全体のうち、消費に向ける割合です。

傾きc、縦軸切片がC0 の直線で表されるのは、ケインズ型消費関数です。貯蓄関数ではありません。貯蓄関数は、「S=Y-C」に、ケインズ型消費関数「C=cY+C0」を代入することによって求められます。すると、貯蓄関数は、S=(1-c)Y-C0となります。グラフでは、傾き1-c、縦軸切片がーC0 の直線で表されます。

ケインズによると、限界貯蓄性向は、グラフでは、貯蓄曲線の傾きで表される。

平均貯蓄性向は、グラフでは、原点と貯蓄曲線上の点を結んだ直線の傾きで表されます。

平均貯蓄性向とは、国民所得1単位当たりの貯蓄を示すものです。国民所得が1単位増加したときに、貯蓄がどれだけ増加することを示すものではありません。これは、限界貯蓄性向です。

総需要(AD:Aggregate demand)とは、財市場における国全体の需要のことをいいます。総需要をD、消費支出をC(Consumer expenditure)、投資支出をI(Investment spending)、政府支出をG(Government purchases)、財・サービスの輸出をEX(Export)、財・サービスの輸入をIM(Import)とすると、総需要Dは、次の式で表されます。

 D=C+I+G+(EX-IM)

(EX-IM)は純輸出です。これは、(EX+IM)ではありません。

ケインズ型消費関数 C=cY+C0を、D=C+I+G+(EX-IM)に代入すると、総需要関数Dは、次の式で表されます。

 D=cY+C0+I+G+(EX-IM )

 D=cY-C0-I-G-(EX-IM )ではありません。

総需要曲線を表す総需要関数Dは、「D=cY+C0+I+G+(EX-IM )」です。したがって、総需要曲線は、傾きが限界消費性向c、縦軸切片がC0+I+G+(X-M)の右上がりの直線となります。

有効需要の原理とは、「需要はそれ自身の供給を創造する」といわれるものです。「供給はそれ自身の需要を創造する」といわれるのは、セイの法則です。有効需要の原理により、国民所得の大きさは有効需要の大きさに一致して決まることになります。有効需要の「需要」とは総需要のことで、「有効」とは、購買力に基づいていることを意味しています。J.M.ケインズは、『雇用・利子および貨幣の一般理論』において、セイの法則を否定し、有効需要の原理をもとに、失業の原因を明らかにしました。そして、古典派経済学のように自由な市場に委ねるのではなく、政府は積極的に総需要の拡大を図る政策を実施することの重要性を主張しました。

総供給(AS:Aggregate Supply) とは、財市場における国全体の供給のことをいいます。これは全ての財の国全体の生産の総額であり、全ての財に対する企業の生産活動の大きさを表します。全ての財についてであって、ある財に特定されるものではありません。

総供給は、財市場における国全体の供給のことでした。よって、総供給は国内総生産(GDP)に等しくなります。国内総生産から税金を控除したものではありません。財・サービスを売って得られた売上は、生産を行った労働者に報酬として支払われて、家計の所得として分配されます。マクロ経済学では、「生産されたもの=所得として分配されたもの」として捉えるため、総供給は国内総所得(GDI)に等しくなります。三面等価の原則により、生産面から見たGDPは、分配面から見たGDP、つまり国民所得と常に等しくなります。よって、総供給をS、国民所得をYとすると、総供給関数Sは、「S=Y」という式によって表されます。「S=Y-C」ではありません。

総供給曲線を表す総供給関数の計算式は、「S=Y」です。したがって、総供給曲線は、原点を通る傾きが45度の右上がりの直線となります。縦軸切片は原点です。

セイの法則とは、「供給はそれ自身の需要を創造する」といわれるものです。これは、市場において、需要と供給が一致しないときは価格調整が行われるということを前提にしています。ですから、供給が増え超過供給になっても、必ず価格が下がり、結果として、需要が増え、需要と供給は一致すると考えます。そのため、需要(あるいは国民所得)を増やすには、供給を増やせばよいということになります。

45度線分析では、財市場において、総需要と総供給が一致するように、均衡国民所得が決定されます。総供給が総需要を上回るようにではありません。均衡国民所得は、財市場が均衡しているときの国民所得のことです。「均衡」というのは、需要と供給が一致していることをいいます。

45度線分析では、均衡国民所得は、総供給曲線と総需要曲線の交点によって、決定される。

均衡国民所得よりも少ない国民所得だった場合は、総需要が総供給を上回っています(超過需要)。この場合は、供給側の企業はもっと生産すれば売れる状態となります。よって、企業は人を雇ったりすることで、供給量を増加しようとします。逆に、均衡国民所得よりも大きい国民所得だった場合は、総供給が総需要を上回っています(超過供給)。この場合は、市場で売れ残りが生じています。よって、企業は人を減らすなどして供給量を減少しようとします。このように、供給側が供給量を調整することで、国民所得が均衡国民所得に近づくように調整されていきます。数量調整であることを理解しておくことがポイントです。

総需要Dと総供給Sが一致する均衡点では、次の式が成り立ちます。cY+ A = Y

完全雇用国民所得水準における総需要の超過分のことを、インフレギャップ

完全雇用国民所得水準における総需要の不足分のことを、デフレギャップ

インフレギャップの解消のためには、総需要を引き下げることが必要です。政府が過熱している総需要の分だけ総需要を縮小させ、総需要を現実のYD1からYDFに下方にシフトさせれば、均衡点はF点となり、インフレーションを発生させずに完全雇用水準で財市場を均衡させることができます。このような政府による政策を、総需要引締政策といいます。具体的には、政府支出を削減する、あるいは増税を実施することになります。

投資が増加した場合、波及効果によってそれ自身の額よりも大きく国民所得が増加するのは、乗数効果によるものである。

投資が増加すると、総需要曲線が上方にシフトします。すると、総需要曲線と総供給曲線の交点である均衡点はE0点からE1点に右上方に移動します。その結果、Y0からY1点に均衡国民所得は増加します。投資が増加すると、均衡国民所得は減少するのではありません。

政府支出が減少すると、総需要曲線が下方にシフトします。すると、総需要曲線と総供給曲線の交点である均衡点は左下方に移動します。その結果、均衡国民所得は減少します。政府支出が減少すると、均衡国民所得は増加するのではありません。

均衡予算乗数の定理とは、租税を一括固定税とし、予算を均衡させるよう政府支出と租税を増加させたとき、政府支出の増加の大きさとちょうど同じだけ均衡国民所得が増加することをいいます。

一括固定税は、租税が国民所得に依存せず、一定である税

租税乗数とは、租税を変化させると、その租税の変化分の何倍の国民所得が変化するかを表すものをいう。

政府支出乗数とは、政府支出を変化させると、その政府支出の変化分の何倍の国民所得が変化するかを表すものをいいます。政府支出が1億円だけ増えたとき、均衡国民所得は2.5億円だけ増えるということにとなります。1億円だけ減税した場合は、均衡国民所得が1.5億円だけしか増えませんでした。よって、1単位の政府支出を増加させたときよりも、1単位の減税をしたときのほうが、乗数効果は小さいことがわかります。

予算を均衡させるよう政府支出と租税を増加させたとき、政府支出の増加の大きさとちょうど同じだけ均衡国民所得が増加します。これを、均衡予算乗数の定理といいます。この場合の「均衡」というのは、政府の支出額と租税収入が同額であることをいいます。その租税乗数倍だけ均衡国民所得が増加するのではありません。

所得が高くなるほど、税負担率が上昇するという制度は、累進課税制度です。これに対して、比例税は、所得に比例して税額が高くなるもので、税負担率は一定です。

所得が増大するが、税負担も増加するのは、好景気のときです。好景気のときには、可処分所得の増大が抑えられます。すると、消費や投資が抑えられます。

所得が減少するが税負担も減少するために、可処分所得の減少が抑えられるのは、不景気のときです。すると、消費や投資がさほど落ち込みません。

財政制度にあらかじめ組み込まれた仕組みとして、自動的に安定させるものは、景気です。税収額ではありません。

貨幣市場とIS-LM 分析

すぐに取引に使うことができ、通常では元本割れを起こすことがない普通預金は、貨幣である。

貨幣が安全資産であるのに対して、債券は危険資産といわれます。債券とは貨幣以外の金融資産のことをいいます。債券とはすぐに取引に使うことができない金融資産で、主なものは国債や社債です。危険資産とは、物価変動を考慮しない場合に、保有をしている間に価値が変動するものをいいます。

貨幣市場で超過需要が発生しているときには、債券市場では必ず超過供給が発生しています。両市場がともに超過供給になることはありません。貨幣市場と債券市場は表裏一体の関係にあるからです。マクロ経済学では、人々が手元にある金融資産をそのどれだけの部分を貨幣と債券に振り分けるかを分析します。金融資産は貨幣と債券から構成されます。金融資産の合計のうち、ある量だけ貨幣として需要すれば、金融資産の合計から貨幣需要量を控除した残りは債券を需要していることになります。このように、貨幣市場と債券市場は表裏一体の関係にあります。貨幣市場で超過需要が発生しているときには、債券市場では必ず超過供給が発生しています。逆に、貨幣市場で超過供給が発生しているときには、債券市場では必ず超過需要が発生しています。そして、貨幣市場が均衡しているときには、必ず債券市場も均衡します。すべての市場の超過需要額の和はゼロとなる性質のことを、ワルラス法則といいます。

貨幣は、価値尺度という役割も果たしています。貨幣には、次のような3つの役割があります。すなわち、①財の交換媒介物としての役割を果たすという「交換手段」、②安全資産としてリスクを負わずに富の将来への貯蔵をする役割を果たすという「価値貯蔵の手段」、③全てのモノを共通の尺度で表示し、価値の比較を容易にする役割を果たすという「価値尺度」です。

マネーストック統計

●M1

 現金通貨+預金通貨

●M2

 現金通貨+国内銀行等に預けられた預金

●M3

 M1+準通貨+CD(譲渡性預金)

●広義流動性

 M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債・FB+外債

マネーサプライとは、経済全体に供給している貨幣の供給量のことをいい、この貨幣には、預金も含まれる。

マネーストックとは、基本的に、通貨保有主体が保有する通貨量の残高です。通貨保有主体の範囲は、居住者のうち、一般法人、個人、地方公共団体・地方公営企業が含まれます。このうち一般法人は預金取扱機関、保険会社、政府関係金融機関、証券会社、短資等を除く法人です。マネーストックでは、金融機関や中央政府が保有する預金などは対象外となります。マネーストック統計の現金通貨は、金融機関保有現金を含まない点がポイントです。

マネーストック統計のM1は、最も容易に決済手段として用いることができる現金通貨と預金通貨から構成されている。

M3は、M1に準通貨やCDを加えた指標です。準通貨の大半は、定期預金ですが、定期預金は解約して現金通貨や預金通貨に替えれば決済手段になる金融商品で、預金通貨に準じた性格をもつという意味で準通貨とよばれています。譲渡性預金(CD:Certificate of Deposit) とは、第三者に譲渡できる定期性預金で、自由に発行条件を定めることができる預金証書のことです。CDを発行できるのは銀行など預金を受け入れる金融機関に限られており、CDの預金者は、金融機関及びその関連会社、証券会社などが中心です。

投機的動機に基づく貨幣需要のことを、貨幣の資産需要といいます。貨幣の資産需要は、利子率の減少関数です。ですから、利子率が上昇すると貨幣の資産需要は減少し、逆に、利子率が低下すると貨幣の資産需要は増加します。利子率が上昇すると貨幣の資産需要は増加するのではありません。また、利子率が低下すると貨幣の資産需要は減少するのでもありません。

貨幣需要は、国民所得と利子率という2つの要因によって決定されます。国民所得が増えた場合は、取引需要が増加し、貨幣需要が増加します。利子率が上昇した場合は、資産需要が減少し、貨幣需要が減少します。よって、ケインズ型貨幣需要関数は、国民所得の増加関数であり、利子率の減少関数となります。

縦軸に利子率をとり、横軸に貨幣需要をとると、ケインズ型貨幣需要関数は、一般に、右下がりの曲線で表される。

国民所得が増加すると、貨幣需要曲線は右方にシフトし、国民所得が減少すると、貨幣需要曲線は左方にシフトする。

流動性のわなが生じている場合は、貨幣需要曲線は、横軸に対して水平になる。

●公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)

 日本銀行が金融市場において、国債や手形などの有価証券を売買すること

・売りオペレーション(売りオペ)

 日本銀行が国債や手形などを民間金融機関に売却して、市場の余剰資金を吸収する

→ ハイパワード・マネーの減少 → 貨幣供給の減少

・買いオペレーション(買いオペ)

 日本銀行が国債や手形などを民間金融機関から購入して、市場に資金を供給する

→ ハイパワード・マネーの増加 → 貨幣供給の増加

●法定準備率操作(預金準備率操作、支払準備率操作)

 日本銀行が預金準備率を上げ下げすることで、貨幣供給を調節すること

・法定準備率の上昇

→ 貨幣乗数の低下 → 貨幣供給の減少

・法定準備率の低下

→ 貨幣乗数の上昇 → 貨幣供給の増加

 日本銀行が貨幣供給を増加させる場合には、買いオペを行うか、法定準備率を下げるかという具体的な手段

日本銀行の当座預金は、2016年1月にマイナス金利政策が導入されるまでは、無利子の預金でした。

M1、M2のいずれにもマネタリーベースは含まれません。

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