経済学・経済政策 不完全競争と市場の失敗 市場均衡

消費税の課税の影響 【平成30年 第15問】

 消費税の課税については、価格、取引量の変化や税収の金額に加えて、実際に税金を負担するのは誰かという問題も重要となる。下図では、供給の価格弾力性が無限大である場合を考える。ここで、生産物1単位当たりT円の課税を行うと、供給曲線S0は新しい供給曲線S1へとシフトする。また、需要曲線はDである。この図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 消費税の課税により、市場価格はPからPに上昇し、取引量はQ0 からQ1に減少する。〇

b 消費税の課税を行うと、消費者余剰は△AEP0から、△EFGの分だけ減少する。×

c 消費税の課税を行うと、税負担の一部が生産者に転嫁される。×

d 消費税の課税により、政府に入る税収は、□P1FGP0である。?〇

〔解答群〕

ア aとb

イ aとc

ウ aとd〇

エ bとc

オ cとd

関税政策と自由貿易 【平成30年 第20問】

 下図は、自由貿易地域の理論を描いたものである。自国が農産物の市場を開放し、貿易を行っている。A国から輸入される農産物の価格は PA、B国から輸入される農産物の価格は PB とする。

 当初、自国は、価格の低いA国から農産物を輸入し、その農産物には関税がかかっていた。そのときの国内価格は PA’ である。しかしながら、歴史的な背景から、自国はB国と自由貿易協定を締結した。その結果、B国からの農産物には関税がかからず、国内価格は PB になるが、域外のA国からの農産物には関税がかかる。 この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 関税が賦課された価格 PA’ に比べて、自由貿易協定を締結した後の価格 PBでは、自国の消費者余剰は □HMNK だけ大きくなっている。〇×

イ 自国がB国から農産物を輸入するときの国内の生産者余剰は、A国から農産物を輸入していたときの生産者余剰よりも □PAGNPB の分だけ小さくなる。×

ウ 自由貿易協定の締結によって、自国が失う関税収入は、□HIJK である。×〇

エ 自由貿易協定の締結による貿易創造効果は、△HLM と △KNR であり、貿易転換効果は、□HLRK である。?〇×貿易転換効果は、関税がかかる前の価格PAと自由貿易締結後のPBとの差額RJ×関税分の数量KH=□RJIL
自由貿易協定の締結による貿易創造効果とは、自由貿易協定締結前と締結後を比較して、回復した余剰のこと
貿易転換効果とは、自由貿易協定締結前と締結後で失われる余剰

関税引き下げの効果 【平成29年 第21問】

 昨今、WTO を中心とする多国間交渉はうまくいかず、FTA のような比較的少数の国の間の交渉が増加している。

 下図は、関税引き下げによって輸入品の価格が P0 から P1 に下落する場合を描いている。この図に関する説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 関税引き下げ後、国内の生産者余剰は、引き下げ前より三角形 FGH の分だけ減少する。×

イ 関税引き下げ後、消費者余剰は、関税引き下げ幅に輸入量 CG を乗じた分だけ増加する。?〇×

ウ 関税引き下げによる、国内の生産者から消費者への再分配効果は、四角形P0FGP1 である。〇

エ 関税引き下げによる貿易創造効果は、四角形 BCGF の部分である。×

 自由貿易 【平成20年 第8問】

 次の自由貿易地域に関する文章を読んで、自由貿易地域が形成された場合の経済効果の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 下図は、自国と2つの外国(X国とY国)間の貿易取引を表し、自国の輸入競争財市場(たとえば農産物)を対象としている。農産物の国内需要曲線がDD、国内供給曲線がSSで描かれている。

 いま、X国からの農産物の輸入価格がP0、Y国からの農産物の輸入価格がP1 であるとする。このとき、自由貿易を想定すれば、農産物はより安価なX国から輸入され、Y国から輸入されることはない。また、両国からの輸入に関税(T円)を同じだけ賦課したとしても、(P1+T)が(P0+T)よりも大きいため、農産物は依然としてX国から輸入され続ける。ここで、(P0+T)をP2 で示し、(P1+T)線は図示していない。

 ところが、X国からの輸入には関税を賦課したままで自国とY国が自由貿易地域を形成した場合、Y国に対する輸入関税は撤廃され、両国からの輸入価格はP2>P1 になるから、農産物の輸入先はX国からY国に切り替わる。

[解答群]

ア △EIJと△HKLの和が□FGLIより大きければ、自由貿易地域を形成することによって自国の総余剰が増加する。〇×〇

イ 自由貿易地域が形成されると、△BEFと△CGHの余剰が回復する。〇×

ウ 自由貿易地域形成下の貿易利益は、自由貿易下の利益△ABCより大きい。×

エ 貿易創造効果は□EFGHに等しい。×

オ 貿易転換効果は△EIJと△HKLの和に等しい。×

 保護貿易 【平成23年 第11問】

 下図は、2国モデルに基づく国際取引を表したものである。

 いま、農産物に関する自国の輸入需要関数をD0D1、外国の輸出供給関数をS0S1とする。自由貿易下の均衡価格はP0、均衡量はQ0 である。

 ところで、自国が輸入財1単位に対してT円の関税を賦課した場合、外国の輸出供給曲線はS0S1 からS2S3 にシフトし、輸入価格はP0 からP2 に下落し、反対に国内価格はP1 に上昇する。また、均衡量はQ1 に減少する。

 この図の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 自国が輸入関税を課した場合、外国の経済余剰は四角形S2FGS0 で示される。×P2GS0

b 自国が輸入関税を課した場合、世界全体で三角形EFGの経済余剰が失われる。?〇

c 自国では、関税収入が四角形P1FGP2 に相当し、関税賦課時の経済余剰が自由貿易時の経済余剰を上回ることがある。×〇

d 自由貿易の場合、自国の経済余剰は三角形S0EP0、外国の経済余剰は三角形D0EP0 で示される。?〇×

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc〇

エ bとd〇×

比較優位論1 【平成28年 第19問】

 いま、A さんと B さんだけが存在し、それぞれコメと豚肉のみが生産可能な世界を考える。下表は、A さんと B さんが、ある定められた時間 T のすべてを一方の生産に振り向けた場合に生産可能な量を示している。また、下表にもとづく2人の生産可能性フロンティアは、下図にある右下がりの直線のように描けるものとし、A さんと B さんは、自らの便益を高めるために生産可能性フロンティア上にある生産量の組み合わせを選択する。

 このような状況を説明する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

  1. Aさんは、いずれの財の生産においても、Bさんに対して比較優位を有するために、Bさんとの生産物の交換から便益を得ることができない。×
  2. A さんは、いずれの財を生産するにせよ Bさんよりも生産性が高く、絶対優位を有するために、Bさんとの生産物の交換から便益を得ることができない。×
  3. 比較優位性を考慮すると、Aさんはコメの生産に、Bさんは豚肉の生産にそれぞれ特化し、相互に生産財を交換し合うことで、双方が同時に便益を高めることができる。〇×コメの生産量を1とした場合、Aさんは豚肉を1/4で生産できますが、Bさんは1/6しか生産できません。したがって、Aさんは豚肉に比較優位を有し、Bさんはもう一方の財であるコメに比較優位
  4. 豚肉の生産について、A さんは Bさんに対して比較優位を有する。×〇

比較優位論2 【平成29年 第20問】

 下表に基づき、国際分業と比較優位について考える。製品P1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では 30 人の労働が必要である。また、製品Q 1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では 60 人の労働が必要である。

 このような状況に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

A国B国
製品P1個当たりの労働量5人30人
製品Q1個当たりの労働量5人60人

〔解答群〕

ア A国では、製品Qの労働生産性が相対的に高いので、製品Qの相対価格が高くなる。〇×

イ A国は製品Qに絶対優位があり、B国は製品Pに絶対優位がある。×

ウ B国は、A国に比べて、製品Pについては 1/6 、製品Qについては 1/12 の生産性なので、製品Qに比較優位を持つ。×その比較は絶対優位性を示すもの

エ 1人当たりで生産できる個数を同じ価値とすると、A国では、製品P1個と製品Q1個を交換でき、B国では製品P2個と製品Q1個を交換することができる。?〇

ワルラス的調整、マーシャル的調整 【平成22年 第16問】

 「レモン」市場のように情報が不完全な場合、買い手は価格が低くなると品質が低下することを予想する。下図は、「レモン」市場における需要曲線と供給線について、2つのパターンを示している。「レモン」市場における需要曲線の形状ならびに、ワルラス的調整およびマーシャル的調整に関し、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 需要曲線は図1のように描かれ、A点の近傍ではワルラス的調整、マーシャル的調整とも安定である。〇

イ 需要曲線は図1のように描かれ、B点の近傍ではワルラス的調整、マーシャル的調整とも不安定である。×

ウ 需要曲線は図2のように描かれ、C点の近傍ではワルラス的調整は安定で、マーシャル的調整は不安定である。×

エ 需要曲線は図2のように描かれ、D点の近傍ではワルラス的調整は不安定で、マーシャル的調整は安定である。×

ワルラス的調整、マーシャル的調整、蜘蛛の巣理論 【平成28年 第14問】

 下図には、相対的に緩い傾斜の需要曲線が破線で描かれ、相対的に急な傾斜の供給曲線が実線で描かれている。これら需要曲線と供給曲線の交点は、点Eとして与えられている。この図に関する説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 供給曲線が右下がりであるため、ワルラス的調整を通じて点Eへ収束する力は働かない。×

イ 供給曲線の傾きが相対的に急であるため、「蜘蛛の巣理論」による調整を通じて点Eへ収束する力は働かない。?×「供給曲線の傾きの絶対値」が「需要曲線の傾きの絶対値」を上回っていますので、蜘蛛の巣理論により安定

ウ 交点よりも価格が高いとき、需要量よりも供給量が多いため、価格調整を通じて点Eへ収束する力が働く。×〇価格調整ですので、ワルラス的調整についての内容です。需要曲線と供給曲線の交点Eより価格が高いとき、需要量を供給量が上回っており、超過供給が発生しています。すると、価格は低下するため、価格調整を通じて点Eへ収束する力

エ 交点よりも数量が少ないとき、供給価格が需要価格よりも高いため、マーシャル的な数量調整を通じて点Eへ収束する力が働く。?〇×、マーシャル的な数量調整を通じて点Eから離れる力

 需要曲線 【平成28年 第12問】

 いま、正常財と考えられる医療に対する需要曲線が下図のように描けるものとする。現状は実線で描かれている需要曲線上の点Aであり、同一の需要曲線上には点Cもある。また、破線の需要曲線上には点Bが描かれている。この図を用いて需要の変化の仕方を考察した記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 医療の価格を引き上げたとき、医療に対する需要は、点Aから点Bまで移動すると考えられる。×

イ 医療費の抑制が必要であることを需要者に説得できたとすれば、たとえ価格が変化しなくとも、医療に対する需要は、点Aから点Bまで移動すると考えられる。〇

ウ 需要者の所得が増加すれば、医療に対する需要は、点Aから点Cまで移動すると考えられる。×

エ 需要者の所得が増加すれば、たとえ価格が変化しなくとも、医療に対する需要は、点Aから点B まで移動すると考えられる。×

価格と消費者余剰 【平成29年 第10問】

 価格と消費者余剰について考える。下図に関する記述として、最も適切なものを下図の解答群から選べ。

[解答群]

ア 価格がP0のとき、消費者がQ0を選択する場合の消費者余剰は、消費者の支払意思額よりも大きい。×

イ 価格がP1のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q0を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。〇

ウ 価格がP2のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q2を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。×

エ 価格が0のとき、実際の支払額は0なので、消費者がQ0やQ1を選択しても、消費者余剰は得られない。×

生産者余剰 【平成30年 第10問】

 生産者余剰について考える。いま、A〜Eの5つの企業から構成される社会を想定する。下図では、それぞれの企業が、生産を継続するために最低限回収しなければならないと考える金額(生産物1単位当たり)が示されている。 この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 市場価格が400円を上回れば、5つの企業すべてが生産を行う。×

イ 市場価格が600円の場合、3つの企業は生産を行わないので、社会全体の生産量は2単位である。×

ウ 市場価格が1,400円の場合、社会全体の生産者余剰は1,800円である。〇

エ 市場価格が1,600円を上回ると、生産を行うのはEのみである。×

課税の影響 【平成24年 第14問】

 下図には、需要曲線と供給曲線が描かれており、市場で決まる「課税前の価格」はD 点によって与えられる。ここで、当該財へ政府が税を課すと、「課税後の買い手の支払い価格」はA 点で与えられ、「課税後の売り手の受取価格」はC 点で与えられることになるとする。

 この図の説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 課税によって生じる負担は需要者(買い手)の方が重い。〇

イ この財市場の需要曲線は、供給曲線に比べて価格弾力性が高い。×

ウ 三角形ABD は、課税によって失う生産者余剰である。×

エ 線分BC の長さは、課税によって生じる需要量の減少を意味している。×

消費税の課税の影響 【平成30年 第15問】

 消費税の課税については、価格、取引量の変化や税収の金額に加えて、実際に税金を負担するのは誰かという問題も重要となる。下図では、供給の価格弾力性が無限大である場合を考える。ここで、生産物1単位当たりT円の課税を行うと、供給曲線S0は新しい供給曲線S1へとシフトする。また、需要曲線はDである。この図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 消費税の課税により、市場価格はPからPに上昇し、取引量はQ0 からQ1に減少する。〇

b 消費税の課税を行うと、消費者余剰は△AEP0から、△EFGの分だけ減少する。×

c 消費税の課税を行うと、税負担の一部が生産者に転嫁される。×

d 消費税の課税により、政府に入る税収は、□P1FGP0である。〇

〔解答群〕

ア aとb

イ aとc

ウ aとd〇

エ bとc

オ cとd

関税政策と自由貿易 【平成30年 第20問】

 下図は、自由貿易地域の理論を描いたものである。自国が農産物の市場を開放し、貿易を行っている。A国から輸入される農産物の価格は PA、B国から輸入される農産物の価格は PB とする。

 当初、自国は、価格の低いA国から農産物を輸入し、その農産物には関税がかかっていた。そのときの国内価格は PA’ である。しかしながら、歴史的な背景から、自国はB国と自由貿易協定を締結した。その結果、B国からの農産物には関税がかからず、国内価格は PB になるが、域外のA国からの農産物には関税がかかる。 この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 関税が賦課された価格 PA’ に比べて、自由貿易協定を締結した後の価格 PBでは、自国の消費者余剰は □HMNK だけ大きくなっている。×

イ 自国がB国から農産物を輸入するときの国内の生産者余剰は、A国から農産物を輸入していたときの生産者余剰よりも □PAGNPB の分だけ小さくなる。×

ウ 自由貿易協定の締結によって、自国が失う関税収入は、□HIJK である。×?〇

エ 自由貿易協定の締結による貿易創造効果は、△HLM と △KNR であり、貿易転換効果は、□HLRK である。×

関税引き下げの効果 【平成29年 第21問】

 昨今、WTO を中心とする多国間交渉はうまくいかず、FTA のような比較的少数の国の間の交渉が増加している。

 下図は、関税引き下げによって輸入品の価格が P0 から P1 に下落する場合を描いている。この図に関する説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 関税引き下げ後、国内の生産者余剰は、引き下げ前より三角形 FGH の分だけ減少する。×

イ 関税引き下げ後、消費者余剰は、関税引き下げ幅に輸入量 CG を乗じた分だけ増加する。×

ウ 関税引き下げによる、国内の生産者から消費者への再分配効果は、四角形P0FGP1 である。〇

エ 関税引き下げによる貿易創造効果は、四角形 BCGF の部分である。×

 自由貿易 【平成20年 第8問】

 次の自由貿易地域に関する文章を読んで、自由貿易地域が形成された場合の経済効果の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 下図は、自国と2つの外国(X国とY国)間の貿易取引を表し、自国の輸入競争財市場(たとえば農産物)を対象としている。農産物の国内需要曲線がDD、国内供給曲線がSSで描かれている。

 いま、X国からの農産物の輸入価格がP0、Y国からの農産物の輸入価格がP1 であるとする。このとき、自由貿易を想定すれば、農産物はより安価なX国から輸入され、Y国から輸入されることはない。また、両国からの輸入に関税(T円)を同じだけ賦課したとしても、(P1+T)が(P0+T)よりも大きいため、農産物は依然としてX国から輸入され続ける。ここで、(P0+T)をP2 で示し、(P1+T)線は図示していない。

 ところが、X国からの輸入には関税を賦課したままで自国とY国が自由貿易地域を形成した場合、Y国に対する輸入関税は撤廃され、両国からの輸入価格はP2>P1 になるから、農産物の輸入先はX国からY国に切り替わる。

[解答群]

ア △EIJと△HKLの和が□FGLIより大きければ、自由貿易地域を形成することによって自国の総余剰が増加する。〇

イ 自由貿易地域が形成されると、△BEFと△CGHの余剰が回復する。×

ウ 自由貿易地域形成下の貿易利益は、自由貿易下の利益△ABCより大きい。×

エ 貿易創造効果は□EFGHに等しい。×

オ 貿易転換効果は△EIJと△HKLの和に等しい。×

 保護貿易 【平成23年 第11問

 下図は、2国モデルに基づく国際取引を表したものである。

 いま、農産物に関する自国の輸入需要関数をD0D1、外国の輸出供給関数をS0S1とする。自由貿易下の均衡価格はP0、均衡量はQ0 である。

 ところで、自国が輸入財1単位に対してT円の関税を賦課した場合、外国の輸出供給曲線はS0S1 からS2S3 にシフトし、輸入価格はP0 からP2 に下落し、反対に国内価格はP1 に上昇する。また、均衡量はQ1 に減少する。

 この図の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 自国が輸入関税を課した場合、外国の経済余剰は四角形S2FGS0 で示される。×

b 自国が輸入関税を課した場合、世界全体で三角形EFGの経済余剰が失われる。〇

c 自国では、関税収入が四角形P1FGP2 に相当し、関税賦課時の経済余剰が自由貿易時の経済余剰を上回ることがある。〇

d 自由貿易の場合、自国の経済余剰は三角形S0EP0、外国の経済余剰は三角形D0EP0 で示される。×

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc〇

エ bとd

比較優位論1 【平成28年 第19問】

 いま、A さんと B さんだけが存在し、それぞれコメと豚肉のみが生産可能な世界を考える。下表は、A さんと B さんが、ある定められた時間 T のすべてを一方の生産に振り向けた場合に生産可能な量を示している。また、下表にもとづく2人の生産可能性フロンティアは、下図にある右下がりの直線のように描けるものとし、A さんと B さんは、自らの便益を高めるために生産可能性フロンティア上にある生産量の組み合わせを選択する。

 このような状況を説明する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

  1. Aさんは、いずれの財の生産においても、Bさんに対して比較優位を有するために、Bさんとの生産物の交換から便益を得ることができない。
    ×
    1:1/4〇
    1:1/6
  2. A さんは、いずれの財を生産するにせよ Bさんよりも生産性が高く、絶対優位を有するために、Bさんとの生産物の交換から便益を得ることができない。×
  3. 比較優位性を考慮すると、Aさんはコメの生産に、Bさんは豚肉の生産にそれぞれ特化し、相互に生産財を交換し合うことで、双方が同時に便益を高めることができる。×
  4. 豚肉の生産について、A さんは Bさんに対して比較優位を有する。〇

比較優位論2 【平成29年 第20問】

 下表に基づき、国際分業と比較優位について考える。製品P1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では 30 人の労働が必要である。また、製品Q 1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では 60 人の労働が必要である。

 このような状況に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

A国B国
製品P1個当たりの労働量5人30人
製品Q1個当たりの労働量5人60人

〔解答群〕

ア A国では、製品Qの労働生産性が相対的に高いので、製品Qの相対価格が高くなる。×

イ A国は製品Qに絶対優位があり、B国は製品Pに絶対優位がある。×

ウ B国は、A国に比べて、製品Pについては 1/6 、製品Qについては 1/12 の生産性なので、製品Qに比較優位を持つ。×

エ 1人当たりで生産できる個数を同じ価値とすると、A国では、製品P1個と製品Q1個を交換でき、B国では製品P2個と製品Q1個を交換することができる。〇

ワルラス的調整、マーシャル的調整 【平成22年 第16問】

 「レモン」市場のように情報が不完全な場合、買い手は価格が低くなると品質が低下することを予想する。下図は、「レモン」市場における需要曲線と供給線について、2つのパターンを示している。「レモン」市場における需要曲線の形状ならびに、ワルラス的調整およびマーシャル的調整に関し、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 需要曲線は図1のように描かれ、A点の近傍ではワルラス的調整、マーシャル的調整とも安定である。〇需要曲線が右下がり、供給曲線が右上がりとなっています。これは、通常の完全競争市場における形状となっており、ワルラス的、マーシャル的ともに安定

イ 需要曲線は図1のように描かれ、B点の近傍ではワルラス的調整、マーシャル的調整とも不安定である。×

ウ 需要曲線は図2のように描かれ、C点の近傍ではワルラス的調整は安定で、マーシャル的調整は不安定である。×

エ 需要曲線は図2のように描かれ、D点の近傍ではワルラス的調整は不安定で、マーシャル的調整は安定である。×

 ワルラス的調整、マーシャル的調整、蜘蛛の巣理論 【平成28年 第14問】

 下図には、相対的に緩い傾斜の需要曲線が破線で描かれ、相対的に急な傾斜の供給曲線が実線で描かれている。これら需要曲線と供給曲線の交点は、点Eとして与えられている。この図に関する説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 供給曲線が右下がりであるため、ワルラス的調整を通じて点Eへ収束する力は働かない。×

イ 供給曲線の傾きが相対的に急であるため、「蜘蛛の巣理論」による調整を通じて点Eへ収束する力は働かない。×

ウ 交点よりも価格が高いとき、需要量よりも供給量が多いため、価格調整を通じて点Eへ収束する力が働く。〇

エ 交点よりも数量が少ないとき、供給価格が需要価格よりも高いため、マーシャル的な数量調整を通じて点Eへ収束する力が働く。×

価格と消費者余剰 【平成29年 第10問】

 価格と消費者余剰について考える。下図に関する記述として、最も適切なものを下図の解答群から選べ。

[解答群]

ア 価格がP0のとき、消費者がQ0を選択する場合の消費者余剰は、消費者の支払意思額よりも大きい。×

イ 価格がP1のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q0を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。〇

ウ 価格がP2のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q2を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。×

エ 価格が0のとき、実際の支払額は0なので、消費者がQ0やQ1を選択しても、消費者余剰は得られない。×

消費税の課税の影響 【平成30年 第15問】

 消費税の課税については、価格、取引量の変化や税収の金額に加えて、実際に税金を負担するのは誰かという問題も重要となる。下図では、供給の価格弾力性が無限大である場合を考える。ここで、生産物1単位当たりT円の課税を行うと、供給曲線S0は新しい供給曲線S1へとシフトする。また、需要曲線はDである。この図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 消費税の課税により、市場価格はPからPに上昇し、取引量はQ0 からQ1に減少する。〇

b 消費税の課税を行うと、消費者余剰は△AEP0から、△EFGの分だけ減少する。×

c 消費税の課税を行うと、税負担の一部が生産者に転嫁される。×

d 消費税の課税により、政府に入る税収は、□P1FGP0である。〇

〔解答群〕

ア aとb

イ aとc

ウ aとd〇

エ bとc

オ cとd

関税政策と自由貿易 【平成30年 第20問】

 下図は、自由貿易地域の理論を描いたものである。自国が農産物の市場を開放し、貿易を行っている。A国から輸入される農産物の価格は PA、B国から輸入される農産物の価格は PB とする。

 当初、自国は、価格の低いA国から農産物を輸入し、その農産物には関税がかかっていた。そのときの国内価格は PA’ である。しかしながら、歴史的な背景から、自国はB国と自由貿易協定を締結した。その結果、B国からの農産物には関税がかからず、国内価格は PB になるが、域外のA国からの農産物には関税がかかる。 この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 関税が賦課された価格 PA’ に比べて、自由貿易協定を締結した後の価格 PBでは、自国の消費者余剰は □HMNK だけ大きくなっている。×

イ 自国がB国から農産物を輸入するときの国内の生産者余剰は、A国から農産物を輸入していたときの生産者余剰よりも □PAGNPB の分だけ小さくなる。×

ウ 自由貿易協定の締結によって、自国が失う関税収入は、□HIJK である。〇

エ 自由貿易協定の締結による貿易創造効果は、△HLM と △KNR であり、貿易転換効果は、□HLRK である。×

 関税引き下げの効果 【平成29年 第21問】

 昨今、WTO を中心とする多国間交渉はうまくいかず、FTA のような比較的少数の国の間の交渉が増加している。

 下図は、関税引き下げによって輸入品の価格が P0 から P1 に下落する場合を描いている。この図に関する説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 関税引き下げ後、国内の生産者余剰は、引き下げ前より三角形 FGH の分だけ減少する。×

イ 関税引き下げ後、消費者余剰は、関税引き下げ幅に輸入量 CG を乗じた分だけ増加する。×

ウ 関税引き下げによる、国内の生産者から消費者への再分配効果は、四角形P0FGP1 である。〇

エ 関税引き下げによる貿易創造効果は、四角形 BCGF の部分である。×

自由貿易 【平成20年 第8問】

 次の自由貿易地域に関する文章を読んで、自由貿易地域が形成された場合の経済効果の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 下図は、自国と2つの外国(X国とY国)間の貿易取引を表し、自国の輸入競争財市場(たとえば農産物)を対象としている。農産物の国内需要曲線がDD、国内供給曲線がSSで描かれている。

 いま、X国からの農産物の輸入価格がP0、Y国からの農産物の輸入価格がP1 であるとする。このとき、自由貿易を想定すれば、農産物はより安価なX国から輸入され、Y国から輸入されることはない。また、両国からの輸入に関税(T円)を同じだけ賦課したとしても、(P1+T)が(P0+T)よりも大きいため、農産物は依然としてX国から輸入され続ける。ここで、(P0+T)をP2 で示し、(P1+T)線は図示していない。

 ところが、X国からの輸入には関税を賦課したままで自国とY国が自由貿易地域を形成した場合、Y国に対する輸入関税は撤廃され、両国からの輸入価格はP2>P1 になるから、農産物の輸入先はX国からY国に切り替わる。

[解答群]

ア △EIJと△HKLの和が□FGLIより大きければ、自由貿易地域を形成することによって自国の総余剰が増加する。〇

イ 自由貿易地域が形成されると、△BEFと△CGHの余剰が回復する。×

ウ 自由貿易地域形成下の貿易利益は、自由貿易下の利益△ABCより大きい。×

エ 貿易創造効果は□EFGHに等しい。×

オ 貿易転換効果は△EIJと△HKLの和に等しい。×

保護貿易 【平成23年 第11問】

 下図は、2国モデルに基づく国際取引を表したものである。

 いま、農産物に関する自国の輸入需要関数をD0D1、外国の輸出供給関数をS0S1とする。自由貿易下の均衡価格はP0、均衡量はQ0 である。

 ところで、自国が輸入財1単位に対してT円の関税を賦課した場合、外国の輸出供給曲線はS0S1 からS2S3 にシフトし、輸入価格はP0 からP2 に下落し、反対に国内価格はP1 に上昇する。また、均衡量はQ1 に減少する。

 この図の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 自国が輸入関税を課した場合、外国の経済余剰は四角形S2FGS0 で示される。×

b 自国が輸入関税を課した場合、世界全体で三角形EFGの経済余剰が失われる。〇

c 自国では、関税収入が四角形P1FGP2 に相当し、関税賦課時の経済余剰が自由貿易時の経済余剰を上回ることがある。〇

d 自由貿易の場合、自国の経済余剰は三角形S0EP0、外国の経済余剰は三角形D0EP0 で示される。×

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc〇

エ bとd

比較優位論1 【平成28年 第19問】

 いま、A さんと B さんだけが存在し、それぞれコメと豚肉のみが生産可能な世界を考える。下表は、A さんと B さんが、ある定められた時間 T のすべてを一方の生産に振り向けた場合に生産可能な量を示している。また、下表にもとづく2人の生産可能性フロンティアは、下図にある右下がりの直線のように描けるものとし、A さんと B さんは、自らの便益を高めるために生産可能性フロンティア上にある生産量の組み合わせを選択する。

 このような状況を説明する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

  1. Aさんは、いずれの財の生産においても、Bさんに対して比較優位を有するために、Bさんとの生産物の交換から便益を得ることができない。×
  2. A さんは、いずれの財を生産するにせよ Bさんよりも生産性が高く、絶対優位を有するために、Bさんとの生産物の交換から便益を得ることができない。×
  3. 比較優位性を考慮すると、Aさんはコメの生産に、Bさんは豚肉の生産にそれぞれ特化し、相互に生産財を交換し合うことで、双方が同時に便益を高めることができる。×
  4. 豚肉の生産について、A さんは Bさんに対して比較優位を有する。〇

比較優位論2 【平成29年 第20問】

 下表に基づき、国際分業と比較優位について考える。製品P1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では 30 人の労働が必要である。また、製品Q 1個を生産するのに、A国では5人の労働が必要であり、B国では 60 人の労働が必要である。

 このような状況に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

A国B国
製品P1個当たりの労働量5人30人
製品Q1個当たりの労働量5人60人

〔解答群〕

ア A国では、製品Qの労働生産性が相対的に高いので、製品Qの相対価格が高くなる。×

イ A国は製品Qに絶対優位があり、B国は製品Pに絶対優位がある。×

ウ B国は、A国に比べて、製品Pについては 1/6 、製品Qについては 1/12 の生産性なので、製品Qに比較優位を持つ。×

エ 1人当たりで生産できる個数を同じ価値とすると、A国では、製品P1個と製品Q1個を交換でき、B国では製品P2個と製品Q1個を交換することができる〇

独占企業の利潤最大化

独占企業の利潤を最大にする生産量は、限界収入曲線MRと供給曲線S(=限界費用曲線MC)の交点

独占企業の利潤を最大にする価格は、クールノーの点であるF点
独占価格は需要曲線上の点 クールノーの点

独占企業の利潤を最大にする条件は、「限界収入(MR)=供給曲線(S)」

独占企業の利潤を最大にする条件は、「限界収入(MR)=供給曲線S(=限界費用曲線MC)」

ナッシュ均衡

ナッシュ均衡は、「相手が選ぶ戦略に対して、自分が最適の反応をしている」という状態が、全てのプレーヤーで成り立つ状態

 囚人のジレンマ

ナッシュ均衡が必ずしも、最大の利得の組み合わせとならない点に注目

繰り返しゲーム

フォーク定理

屈折需要曲線1

寡占市場には価格の下方硬直性とよばれる特徴があるが、この価格の硬直性の理由を説明する際に用いられるのが屈折需要曲線である。

屈折需要曲線2

寡占企業はプライスメイカーであるため、限界収入曲線の傾きは、需要曲線の傾きの2倍となります。

ピグー的政策

私的限界費用と社会的限界費用が一致するように、政府がこの市場に介入することによって、外部効果を是正し、最適な資源配分を達成することができる。

課税により私的限界費用を社会的限界費用の水準まで引き上げることによって、最適な資源配分を達成することができる。

政府が地域住民の単位当たり被害額と同じtだけを企業に従量税として課した場合、最適な資源配分を達成することができる。

コースの定理

コースの定理とは、外部効果による非効率的な配分の問題は、当事者間の自発的な交渉によって解決することができるという定理

逆選択



逆選択とは、品質の悪い財が品質の良い財よりも多く市場に出回ることをいう。

モラルハザード

モラルハザードとは、情報の非対称性が存在するために、契約後に自分が有利になるように行動することをいう。

気づけば1000時間越えました!時間の割には定着度が遅く、もどかしいですが個人差ということで今からが成長期と冬期に耐えます。

朝の早起き、毎日10分ずつ早めて遂に計画スケジュール通りに始めることが出来ました。

忘却ワード クールノーの点 フォーク定理 ミニマックス戦略 トリガー戦略 価格の下方硬直性 コースの定理。。

フォーク定理の名称由来が気になったので調べてみたら、「証明をつけようと思えばつけられると誰もが思っているが、実際には誰一人としてその証明をつけたことがない定理」のことを一般に folklore (民間伝承) と呼ぶので、この定理はフォーク (folk) 定理と呼ばれることになったとか。ナイフフォークは関係無かったんですね。これで忘れないだろう^^

2021年02月12日 (金) の学習履歴
5時間
スマート問題集-1次試験全科目セット [2021年度試験対応]55分00秒(1レッスン終了)
科目5 経済学・経済政策55分00秒
スマート問題集:5-4 不完全競争と市場の失敗55分00秒 13/15点
過去問セレクト講座-1次試験全科目セット[2021年度試験対応]1時間52分(1レッスン終了)
科目5 経済学・経済政策1時間52分
過去問セレクト演習-5-3 市場均衡1時間52分 14/14点
その他の学習履歴2時間13分
問題集1時間33分
テキスト・書籍15分00秒
その他25分00秒
中小企業診断士
いいね! 21 コメント 1 シェア
れのん

1000時間一つの目標ですね。すごいです!
いいね! 1 コメント1 2021年02月12日
SHOW

ありがとうございます!褒めて頂いて励みになります!(^^)!
いいね! コメント 2021年02月13日

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