経済学・経済政策 貨幣市場とIS-LM分析 労働市場と主要理論

大学の一般教養経済学科目試験時代から因縁・腐れ縁のIS-LM分析でした。

空振りに耐える。

貨幣市場とIS-LM分析

【平成23年 第4問】

 貨幣市場に関する説明として最も適切なものはどれか。

ア 古典派の貨幣数量説では、貨幣需要は投機的需要のみであると考える。

イ ハイパワードマネーは、公定歩合の引き下げ、売りオペによって増加する。

ウ マネーストックのうちM1は、現金通貨と預金通貨から構成される。

エ 流動性選好理論では、貨幣市場において超過需要が発生する場合、債券市場も超過需要の状態にあり、それは利子率の上昇を通じて解消されると考える。

【平成24年 第8問】(設問1)

 金融政策およびマネーサプライ(マネーストック)に関する下記の設問に答えよ。

(設問1)

 金融政策に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 貨幣の供給メカニズムで中央銀行が直接的に操作するのは、マネタリーベース(ハイパワードマネー)というよりも、マネーサプライ(マネーストック)である。

b 市中銀行の保有する現金を分子、預金を分母とする比率が上昇すると、信用乗数(貨幣乗数)は上昇する。

c 市中銀行から中央銀行への預け金を分子、市中銀行の保有する預金を分母とする比率が上昇すると、信用乗数(貨幣乗数)は低下する。

d 信用乗数(貨幣乗数)は、分子をマネーサプライ(マネーストック)、分母をマネタリーベース(ハイパワードマネー)として算出される比率のことである。

[解答群]

ア aとb 

イ aとd 

ウ bとc 

エ cとd

【平成29年 第7問】

 2016年9月、日本銀行は金融緩和強化のための新しい枠組みとして「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入した。この枠組みでは、「消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」こととされている。

 マネタリーベースに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a マネタリーベースは、金融部門から経済全体に供給される通貨の総量である。

b マネタリーベースは、日本銀行券発行高、貨幣流通高、日銀当座預金の合計である。

c 日本銀行による買いオペレーションの実施は、マネタリーベースを増加させる。

d 日本銀行によるドル買い・円売りの外国為替市場介入は、マネタリーベースを減少させる。

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

【平成24年 第8問】(設問2)

 金融政策およびマネーサプライ(マネーストック)に関する下記の設問に答えよ。

(設問2)

 日本銀行が公表しているマネーサプライ統計は、2008 年に、マネーストック統計へと見直しが行われた。この見直しに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 証券会社が保有する現金通貨が、M1 に含まれることになった。

イ ゆうちょ銀行への要求払預金が、M1 に含まれることになった。

ウ 預金取扱機関が保有する現金通貨が、M1 に含まれることになった。

エ 預金取扱機関への定期性預金が、M1 に含まれることになった。

 【平成21年 第8問】(設問1)

次のIS-LM 分析に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 下図は、生産物市場の均衡を表すIS 曲線と、貨幣市場の均衡を表すLM 曲線を描いている。

 まず、生産物市場の均衡条件は

    Y=C+I+G

 で与えられる。ここで、Y:GDP、C:消費支出、I:投資支出、G:政府支出である。

 消費関数は、

    C=C0+c(Y-T0)

 であり、C0:独立消費、c:限界消費性向(0<c<1)、T0:租税収入(定額税)である。

 また、投資関数は

    I=I0-ir

であり、I0:独立投資、i:投資の利子感応度、r:利子率である。

 さらに、政府支出は与件であり、G=G0 とする。

 この結果、IS曲線は

として導出される。①この式はIS曲線の傾きや位置を示すものである。

 次に、貨幣市場の均衡条件は

    M=L

 である。ここで、M:貨幣供給、L:貨幣需要である。

 貨幣需要関数は

    L=kY-hr

 で与えられ、k:貨幣需要の所得感応度、h:貨幣需要の利子感応度である。

 また、貨幣供給は与件であり、M=M0 とする。

 これらから、LM曲線が導出され、

 として示される。②この式はLM曲線の傾きや位置を表している。

(設問1)

 文中の下線部①について、IS曲線の特徴に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a IS曲線より右側の領域では、生産物市場は超過供給の状態にある。

b 限界貯蓄性向が大きいほど、IS曲線はより緩やかな形状で描かれる。

c 政府支出の拡大と増税が同じ規模で実施された場合、IS曲線の位置は変わらない。

d 投資の利子感応度が小さいほど、IS曲線はより急な形状で描かれる。

[解答群]

ア aとb

イ aとc

ウ aとd

エ bとc

オ cとd

(設問2)

 文中の下線部②について、LM曲線の特徴に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a LM曲線より下方の領域では、貨幣市場は超過供給の状態にある。

b 貨幣供給の増加はLM曲線を上方にシフトさせる。

c 貨幣需要の利子感応度が大きいほど、LM曲線はより緩やかな形状で描かれる。

d 貨幣需要の利子感応度がゼロの場合、LM曲線は垂直に描かれ、GDPの水準は貨幣市場から決定される。

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

オ cとd

【平成24年 第9問】

 IS-LMモデルでは、横軸にGDP、縦軸に利子率をとり、IS曲線とLM曲線を描く。IS曲線とLM曲線の形状とシフトに関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア GDPが増えると貨幣の取引需要も大きくなることから、貨幣市場の均衡利子率は低くなり、LM 曲線は右上がりに描かれる。

イ 貨幣供給量を増やすと、貨幣市場を均衡させる利子率が低下することから、LM曲線は上方向にシフトする。

ウ 政府支出を拡大させると、生産物の供給も拡大することから、IS曲線は右方向にシフトする。

エ 利子率が高い水準にあると投資水準も高くなると考えられることから、生産物市場の均衡を表すIS曲線は、右下がりに描かれる。

オ 流動性のわなが存在する場合、貨幣需要の利子弾力性がゼロになり、LM曲線は水平になる。

【平成27年 第6問】

拡張的な財政政策、たとえば政府支出の拡大は、下図のIS曲線をISからIS′へとシフトさせる。ただし、YはGDP、rは利子率である。下図に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 政府支出拡大の結果、利子率の上昇によって投資が減少するため、GDPはY1となる。

b E2では、貨幣市場において、貨幣の超過供給が発生している。

c 「r1 - r0」で表される利子率の上昇は、政府支出拡大による、貨幣の取引需要増加の結果生じた。

d 「Y1 - Y0」が政府支出の拡大分に相当する。

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

【平成23年 第7問】

 経済が「流動性のわな」に陥った場合の説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 貨幣供給が増加しても伝達メカニズムが機能せず、利子率は低下するが、投資支出の増加が生じない。

b 政府支出の増加が生じてもクラウディング・アウトは発生しない。

c 「流動性のわな」のもとでは、貨幣需要の利子弾力性はゼロになり、利子率が下限値に達すると、債券価格は上限値に到達する。

d 「流動性のわな」のもとでは、GDP の水準は貨幣市場から独立であり、生産物市場から決定される。

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

【平成22年 第6問】(設問1)

 次の財政・金融政策の効果と有効性に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 いま、生産物市場の均衡条件が

   Y=C+I+G

 で与えられ、YはGDP、Cは消費支出、Iは民間投資支出、Gは政府支出である。

 ここで、

 消費関数 C=C0+c(Y-T)

   C0:独立消費、c:限界消費性向(0<c<1)、T:租税収入

 投資関数 I=I0-ir

   I0:独立投資、i:投資の利子感応度、r:利子率

 とする。

 他方、貨幣市場の均衡条件は

   M=L

 であり、Mは貨幣供給、Lは貨幣需要である。

 ここで、

 貨幣需要関数 L=kY-hr

   k:貨幣需要の所得感応度、h:貨幣需要の利子感応度

 とする。

 これらを連立させることにより、均衡GDP は

 として求められる。

 上記の式から、①財政政策(政府支出)の乗数は

 である。

 また、②金融政策の乗数は

 である。

(設問1)

 文中の下線部①について、財政政策の効果に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 貨幣需要の利子感応度が小さいほど、クラウディング・アウトの程度が小さく、財政政策に伴う所得拡大効果は大きくなる。

b 限界貯蓄性向が大きいほど、財政政策の乗数はより大きくなる。

c 投資の利子感応度が大きいほど、クラウディング・アウトの程度が大きく、財政政策に伴う所得拡大効果は小さくなる。

d 「流動性のわな」に陥った場合、財政政策の乗数は1/1-cで示される。

[解答群]

ア aとb

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

オ cとd

(設問2)

 文中の下線部②について、金融政策の効果に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 貨幣需要の利子感応度が小さいほど、貨幣供給の増加に伴う利子率の低下幅が大きく、金融政策の所得拡大効果が大きくなる。

b 投資の利子感応度が大きいほど、利子率の低下に伴う民間投資支出の拡大幅が大きく、金融政策の有効性が高まる。

c 投資の利子感応度が無限大の場合、金融政策の乗数はゼロになる。

d 「流動性のわな」に陥った場合、金融政策の乗数は1/kになる。

ア aとb

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

オ cとd

労働市場と主要理論

【平成20年 第4問】

  次の古典派マクロ経済学に関する文章中の空欄AおよびBに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 古典派マクロ経済理論では、市場の価格調整メカニズムが万全であり、物価および名目賃金が上下に伸縮的であると考える。このため、労働市場では常に完全雇用が実現し、GDPは完全雇用GDPの水準と一致する。古典派マクロ経済理論では( A )が成立し、( B )サイドからGDPが決定されると主張する。

[解答群]

ア A:セイの法則   B:供給

イ A:セイの法則   B:需要

ウ A:有効需要の原理 B:供給

エ A:有効需要の原理 B:需要

「セイの法則」とは、「供給はそれ自身に等しい需要を生み出す」という考え方。

「有効需要の原理」とは、ケインズ経済学によって提唱された考え方。


【平成28年 第6問】
 賃金に関する考え方の1つに効率賃金理論がある。効率賃金理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 企業が支払う効率賃金の下で完全雇用が実現すると主張する。

イ 均衡賃金に等しい水準の賃金を支払うことが企業の効率的な生産につながると主張する。

ウ 均衡賃金を超える水準の賃金を支払うことが生産性を高め、企業の利潤を増やすと主張する。

エ 均衡賃金を下回る水準の賃金を支払うことが生産性を高め、企業の利潤を増やすと主張する。

【平成30年 第14問】

 下図は、労働市場の需要曲線と供給曲線を示している。Dは労働需要曲線、Sは労働供給曲線であり、均衡賃金率はW0である。労働市場における所得分配に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

ア 最低賃金率をW1 に設定すると、市場均衡と比較して、企業の余剰は増加する。

イ 市場均衡において企業が労働者に支払う賃金は□OBEN0 である。

ウ 市場均衡における労働者の余剰は、△AW0Eである。

エ 労働供給が増加すると、当初の市場均衡と比較して、企業の余剰は増加する。

【平成25年 第5問】

 労働のみを用いて生産を行っている企業を考える。この企業が生産物1単位を生産するのに必要な労働量は一定であり、生産物価格と名目賃金率に基づいて利潤が最大になるように生産量を決定する。他方、労働者は、実質賃金率の水準に応じて、労働供給量を決定する。縦軸に物価水準を、横軸に生産量をとり、これら企業と労働者の行動から導き出された総供給曲線を描くとき、その形状として、最も適切なものはどれか。

ア 垂直

イ 水平

ウ 右上がり

エ 右下がり

「生産物価格と名目賃金率に基づいて利潤が最大になるように生産量を決定する」は、古典派の第一公準。

「労働者は、実質賃金率の水準に応じて、労働供給量を決定する」は、古典派の第二公準。

ケインズ経済学は、古典派の第二公準は認めず、賃金の下方硬直性を仮定。

【平成27年 第7問】(設問1)

 総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)が下図のように描かれている。ただし、Pは物価、Yは実質GDP、Yfは完全雇用GDPであり、Eが現在の均衡点である。

 下記の設問に答えよ。

(設問1)

総需要曲線の右シフト要因として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 中央銀行による買いオペレーションの実施

b 政府支出の削減

c 所得減税の実施

d 民間銀行による融資縮小

[解答群]

ア aとb

イ aとc

ウ bとd

エ cとd

(設問2)

総供給曲線に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a GDPが完全雇用水準を下回っても、つまり非自発的失業が存在しても、名目賃金率が硬直的であれば、総供給曲線の形状は右上がりになる。

b GDPが完全雇用水準を下回っても、つまり非自発的失業が存在しても、実質賃金率が硬直的であれば、総供給曲線の形状は右上がりになる。

c 技術進歩が生じると、総供給曲線は下方にシフトする。

d 原油価格が高騰すると、総供給曲線は下方にシフトする。

[解答群]

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

名目賃金率が硬直的であれば、総供給曲線の形状は右上がり。

技術進歩が生じると、労働生産性が向上するため、生産量が増大することから、総供給曲線は下方にシフト。

労働市場と主要理論

【平成20年 第10問】(設問1)

 下図は、ケインズ派モデルにおける総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)を描いたものである。ここで、供給サイドにおいては、物価は上下に伸縮的であるが、名目賃金は硬直的であると考える。下記の設問に答えよ。

(設問1)

 総需要曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選

べ。

a 経済が「流動性のわな」の状態にあるとき、総需要曲線は垂直に描かれる。

b 増税は総需要曲線を右方にシフトさせる。

c 投資の利子弾力性が大きいほど、総需要曲線はより急勾配に描かれる。

d 物価の下落は、実質貨幣供給の増加を通じて利子率を低下させ、投資の拡大と総需要の増加をもたらす。

[解答群]

ア aとb    イ aとd    ウ bとc

エ bとd    オ cとd

流動性のわなが生じている場合、国民所得が一定であるため垂直。

(設問2)

 総供給曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選

べ。

a エネルギーなどの原材料費の上昇は、総供給曲線を左方にシフトさせる。

b 技術進歩は生産性の上昇を通じて総供給曲線を右方にシフトさせる。

c 人口構成の少子化・高齢化に伴う労働市場の変化は、総供給曲線を右方にシフトさせる。

d 物価の上昇は、実質賃金の上昇を通じて労働需要を増加させ、生産量の拡大を生じさせる。

[解答群]

ア aとb    イ aとc    ウ aとd

エ bとc    オ bとd

【平成28年 第7問】

 デフレーションからの脱却は、日本経済が抱える長年の課題である。デフレーションが経済に及ぼす影響として、最も適切なものはどれか。

ア デフレーションは、実質利子率を低下させる効果をもち、投資を刺激する。

イ デフレーションは、賃借契約における負債額の実質価値を低下させるので、債務を抑制する。

ウ デフレーションは、保有資産の実質価値の増加を通じて、消費を抑制する。

エ デフレーションは、名目賃金が財・サービスの価格よりも下方硬直的である場合には実質賃金を高止まりさせる。

【平成27年 第8問】

 中央銀行は、名目貨幣量を拡大させる金融緩和政策を実施することがある。この名目貨幣量拡大により、総需要が増加することで、名目賃金率と物価が上昇し始めると、企業側は総供給を増やそうとする。このときの労働者側の短期における行動について、自然失業率仮説の記述として最も適切なものはどれか。

ア 物価上昇は認識せず、名目賃金率上昇のみを認識するため、労働供給量を増やす。

イ 名目賃金率上昇と物価上昇をともに認識し、労働供給量を増やす。

ウ 名目賃金率上昇と物価上昇をともに認識せず、労働供給量を変えない。

エ 名目賃金率上昇は認識せず、物価上昇のみを認識するため、労働供給量を減らす。

労働市場と主要理論

【平成29年 第5問】

 需給ギャップ(GDPギャップ)は景気や物価の動向を把握するための有効な指標であり、マクロ経済政策の判断において重要な役割を果たしている。日本では、内閣府や日本銀行などがこれを推計し、公表している。

 需給ギャップに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア オークンの法則によれば、需給ギャップがプラスのとき、雇用市場は過少雇用の状態にあると考えられる。

イ 需給ギャップのプラスが拡大しているとき、物価はディスインフレーションの状態にあると考えられる。

ウ 需給ギャップのマイナスが拡大しているとき、景気は後退していると考えられる。

エ 需給ギャップは、(潜在GDP-実際のGDP)/実際のGDP によって計算される。

需給ギャップ=実際のGDP-潜在GDP

 または需給ギャップ=(実際のGDP-潜在GDP)÷潜在GDP

【平成23年 第3問】

 消費の決定に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 倹約のパラドクスでは、美徳とされる倹約の推奨が経済全体では消費支出とGDP の減少を引き起こすと考える。

イ 消費の習慣仮説では、景気の後退局面においても、消費の減少に対して歯止めが作用すると考える。

ウ 絶対所得仮説では、1回限りの減税によって変動所得が増加しても消費は一定にとどまると考える。

エ ライフサイクル仮説では、生涯所得の増加が消費の増加を引き起こすと考える。

【平成25年 第8問】

 政府は一時的な減税を行うのと同時に、公債を発行するものとする。家計が生涯所得に依存して消費を決定し、また子孫世代のことを考慮に入れる場合、このような公債発行が家計行動に与える影響として、最も適切なものはどれか。

ア 家計に流動性制約がある場合、現時点の貯蓄を増加させる。

イ 家計は公債が償還される将来を見通して行動するため、現時点の消費を増加させる。

ウ 公債償還時に借換債の発行が行われ続けることが予想されると、現時点の貯蓄を減らす。

エ 公債の償還が自らの生存中にないことが分かっている場合、現時点の消費を減らす。



【平成22年 第4問】

 投資決定の説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a ケインズの投資理論では、投資の限界効率が利子率を下回るほど、投資を実行することが有効になると考える。

b 資本のレンタル料が資本の限界生産物価値を上回る場合、投資が増加し、資本ストックの積み増しが生じる。

c 投資の加速度原理では、生産拡大の速度が大きくなるほど、投資も拡大すると考える。

d トービンのq理論では、株価総額と負債総額の合計である企業価値が、現存の資本ストックを再び購入するために必要とされる資本の再取得費用を上回るほど、設備投資が実行されると考える。

[解答群]

ア aとb

イ aとc

ウ bとc

エ bとd

オ cとd

資本のレンタル料とは、資本ストックを1 単位追加するのにかかる費用。

資本の限界生産物価値とは、資本を1 単位追加したことによって得られる収入の追加分。

 投資の加速度原理では、「投資は、国民所得の変化分に比例して変動する」と考えます。

【平成19年 第8問】

 貨幣理論および金融政策に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 貨幣数量説と完全雇用を前提とすれば、名目貨幣供給が増加しても実質貨幣供給は不変であるが、利子率の低下を通じて投資を刺激する。

イ 貨幣数量説と完全雇用を前提とすれば、名目貨幣供給の増加はそれと同率の物価の上昇を引き起こし、貨幣の中立性が成立する。

ウ 公定歩合の引き下げ、売りオペ、外貨準備の増加はハイ・パワード・マネーの増加を通じて貨幣供給量を増加させる。

エ 流動性選好理論では、所得の増加によって貨幣の投機的需要が増加すると考える。

オ 流動性選好理論では、利子率の低下によって貨幣需要が減少すると考える。

 完全雇用を前提とすると、実質国民所得は一定。

完全雇用を前提とすると、名目貨幣供給が増加した場合、同じ比率で物価水準が上昇。

【平成27年 第10問】

 今日、経済政策の効果は、開放経済の枠組みで考える必要がある。

 下図は、開放経済におけるマクロ経済モデルを描いたものである。小国開放経済、不完全資本移動、変動相場制度、物価硬直性、期待外国為替相場一定を仮定する。図中のBP曲線は、国際収支を均衡させる、GDPと利子率との組み合わせを表したものである。

 貨幣量の拡大に伴う効果に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 貨幣量の拡大はLM曲線を下方にシフトさせ、純輸出を増加させるものの、民間投資支出の減少を通じてGDPを減少させる。

イ 貨幣量の拡大はLM曲線を下方にシフトさせ、GDPを増加させるものの、クラウディングアウトを発生させる。

ウ 貨幣量の拡大は自国金利が相対的に低下することで内外金利差を生み出し、自国通貨を減価させる。

エ 貨幣量の拡大は自国通貨を増価させ、純輸出を減少させる。

 「期待外国為替相場一定」の仮定とは、将来の為替レートは現在と変わらないと予測すること。


自国通貨の減価、すなわち、自国通貨安外国通貨高は、自国の純輸出を増加

【平成30年 第6問】

マクロ経済循環では貯蓄と投資の均衡が恒等的に成り立つことが知られており、これは「貯蓄投資バランス」と呼ばれている。貯蓄投資バランスに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 経常収支が黒字で財政収支が均衡しているとき、民間部門は貯蓄超過である。

イ 経常収支の黒字を民間部門の貯蓄超過が上回るとき、財政収支は黒字である。

ウ 国内生産よりも国内需要が少ないとき、経常収支は赤字である。

エ 国内の純貯蓄がプラスであるとき、海外の純資産は減少している。

X = (S - I) + (T - G) ⇒ 純輸出 =貯蓄超過 + 財政黒字

ISバランスは、財政収支=経常収支-純貯蓄

【平成30年 第9問】(設問1)

 下図において、IS曲線は生産物市場の均衡、LM曲線は貨幣市場の均衡、BP曲線は国際収支の均衡を表す。この経済は小国経済であり、資本移動は完全に自由であるとする。 この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)

変動相場制の場合における政府支出増加の効果に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 為替レートは増価する。

b GDPは増加する。

c 純輸出の減少が生じる。

d 民間投資支出の減少が生じる。

〔解答群〕

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

(設問2)

変動相場制の場合における貨幣供給量増加の効果に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 為替レートは増価する。

b GDPは増加する。

c 純輸出の増加が生じる。

d 民間投資支出の増加が生じる。

〔解答群〕

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd

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