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吸収合併 【平成23年 第3問】

 A株式会社(以下「A社」という。)と、B株式会社(以下「B社」という。)は、A社を吸収合併消滅会社、B社を吸収合併存続会社として、おおむね以下のスケジュールで吸収合併を実施する予定である。その際、A社の吸収合併の手続に関する記述として最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、A社の定款には、関連する事項についての特段の定めはなく、また、A社は、発行する株式の全てが譲渡制限株式であり、かつ、取締役会設置会社であるものとする。

 平成24 年2月20 日(月) 吸収合併契約の調印

 平成24 年3月14 日(水) 吸収合併契約承認の株主総会

 平成24 年4月1日(日) 吸収合併の効力発生日

[解答群]

ア A社では、吸収合併契約書を本店に備え置く必要があるが、本件の場合、吸収合併契約調印の翌日の平成24 年2月21 日から備置きを実施しなければ、本吸収合併は無効となる。×
吸収合併の際、消滅会社においては、合併契約に関する書面を備え置き、会社債権者および株主に閲覧させる必要があります。この書面を備え置く期間は、原則として、合併の承認を受ける株主総会の日の2週間前の日から、合併の効力発生日後6ヶ月を経過する日までとなっています。

イ A社の株主に対しては、株主総会の招集通知と株式買取請求権に関する通知をしなければならないが、前者は株主総会の1週間前まで、後者は吸収合併の効力発生日の20 日前までと決まっているので、同時に通知することはできない。×
A社は、株式譲渡制限会社であり、取締役会設置会社でもあります。よって、株主総会の招集は、1週間前までに、書面または電磁的方法で株主に通知を発する必要があります。株主総会は平成24年3月14日(水)に実施されるため、中7日となる平成24年3月6日(火)までに通知を発する必要があります。 一方、株式買取請求権に関する通知は、合併の効力発生日(平成24年4月1日)の20日前までにする必要があります。A社の場合、中20日となる平成24年3月11日(日)までに通知することになります。 この株主総会の招集に関する通知と、株式買取請求権に関する通知は同時に行っても問題ありません。A社の場合、平成24年3月6日(火)までに、同時に行うことが可能です。

ウ A社の債権者が1社だけの場合であっても、A社では、その債権者に対して本件吸収合併について通知するだけでなく、吸収合併の公告を行わなければならない。〇?合併をするためには、会社は債権者保護手続きが必要になります。債権者保護手続きでは、会社は合併に関する事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別に催告(通知)する必要があります。これは、債権者が1社だけであっても同様です。

エ 今回の吸収合併の場合、効力発生日が日曜日にあたり、法務局で登記を受け付けてもらえないため、A社の登記上、解散の理由は、実際に登記申請した日に合併した旨記載され、平成24 年4月1日に合併した旨は記載されない。×会社法では、吸収合併の効力は、登記日ではなく、会社間で定めた効力発生日に発生すると規定しています。従って、今回の場合、効力発生日の平成24年4月1日(日)に登記が行えず、翌日以降の登記となっても、登記上は平成24年4月1日(日)に合併した旨の記載がされます。

会社分割 【平成22年 第4問】

 甲株式会社(以下「甲社」という。)では、営業部門を会社分割の手続を利用して分社化することとしているが、その中で、従業員A~Dの所属について、以下の対応を検討している。これら従業員のうち、「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」第2条第1項に基づく通知が必要となる者の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、分社化により新たに設立される会社を乙株式会社(以下「乙社」という。)とする。

 従業員A:入社以来、営業部門に従事している者であるため、会社分割に際しても、乙社所属とする。〇×分割する事業に従事する労働者に該当するため、会社の分割契約に関する通知が必要となります。

 従業員B:総務部門に従事する者であるが、乙社での総務担当者がおらず、従業員Bは過去に営業部門に関連する総務業務も担当していたことがあるため、会社分割に際しては、乙社所属とする。×会社分割後は乙社の所属となります。従って、通知が必要となります。

 従業員C:経理部門に従事し、営業部門に関連する経理も若干担当していたことはあるものの、会社分割に際しては、甲社所属とする。〇会社分割後も甲社の所属となります。そのため、Cには会社分割に伴う特段の不利益はありません。従って、通知は必要ありません。

 従業員D:一昨年の人事移動で、営業部門に異動となり、その後約2年間その業務に従事していたが、適性の問題もあることから、会社分割に際しては、甲社所属とし、異動前の部署に戻す。×会社分割後は甲社の所属となります。従って、通知が必要となります。

[解答群]

ア A、B、C

イ A、B、D〇

ウ A、C、D

エ B、C、D

新設分割 【平成28年 第3問】(設問1)

 以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏との間で行われたものである。X社は、αの製造販売事業(以下「α事業」という。)を営んでいる。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

 甲氏:「おかげさまで弊社のα事業は好調です。そこで、業容を拡大したいと考えていたところ、先日ちょうど、取引銀行を通じて、弊社と同じα事業を営んできたY社から、事業の選択と集中を進めたいから同事業を買収しないかという話をもらいまして、現在前向きに検討しています。Y 社は、α事業以外の事業も営んでいるので、新設分割でα事業をいったん切り出して子会社Z社を設立し、弊社がY社からZ社の全株式を現金で買い取るスキームを考えています。何か注意しておいた方がいいことはありますか。」

 あなた:「(A)。それから、同業他社から競合する事業を買収することになりますから、独占禁止法に抵触するかどうかも問題になります。少なくとも公正取引委員会への届出の要否については検討しなければなりません。」

 甲氏:「(B)。」

 あなた:「(C)。いずれにせよ、事業の買収、特に買い手の場合には、大小様々なリスクを伴いますから、その分野に詳しい専門家からアドバイスを受けないと後で痛い目を見ますよ。ちょうどいい人を知っていますから紹介しますよ。」

 甲氏:「ありがとうございます。」

(設問1)

 会話の中の空欄Aに入る記述として、最も不適切なものはどれか。

ア α事業に関係する債務は、Z社が承継する債務から除外することはできないので、α事業に関係する簿外債務がないかどうかの調査が重要になります×新設分割の場合、契約関係は新設会社に包括的に承継されますので、簿外債務の調査は重要です。そのため、後半部分の記述は適切です。しかし、承継の対象となる債務などの権利義務関係については、新設分割計画書で自由に範囲を決めることができます。α事業に関係する債務は、Z 社が承継する債務から除外することはできないという前半部分の記述は不適切です。

イ Y社がα事業に関して締結している契約の中に、会社分割が解除事由として定められているものがないかの確認が重要になります〇新設分割の場合、契約関係は新設会社に包括的に承継されますので、契約上の地位は新設会社に移転します。しかし、個別の契約において、会社分割が解除事由と定められている場合には、事業に不可欠な契約であっても、会社分割を理由に解除されるリスクがあります。

ウ Z社においてα事業を営むのに新たに許認可を取得することが必要な場合には、その許認可を得るのに必要な期間やコストを把握しておく必要があり、そのコストをX社が負担するのかY社が負担するのか交渉する必要があります〇新設分割の場合、許認可を受けた分割会社と新設される会社は別法人であるため、原則として許認可は承継されません。

エ 契約の分割等の要否を検討するために、Y社が、α事業とそれ以外の事業の双方で、同一の契約に基づいて使用しているリース資産やシステムがないかどうかの確認が必要になります〇分割会社と新設される会社は、それぞれ別の法人となるため、事業に使用している物品やシステムについて分別が必要になります。また、物品やシステムを使用する前提となるリースなどの契約関係について、契約の分割が必要です。

新設分割 【平成28年 第3問】(設問2)

 以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏との間で行われたものである。X社は、αの製造販売事業(以下「α事業」という。)を営んでいる。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

 甲氏:「おかげさまで弊社のα事業は好調です。そこで、業容を拡大したいと考えていたところ、先日ちょうど、取引銀行を通じて、弊社と同じα事業を営んできたY社から、事業の選択と集中を進めたいから同事業を買収しないかという話をもらいまして、現在前向きに検討しています。Y 社は、α事業以外の事業も営んでいるので、新設分割でα事業をいったん切り出して子会社Z社を設立し、弊社がY社からZ社の全株式を現金で買い取るスキームを考えています。何か注意しておいた方がいいことはありますか。」

 あなた:「(A)。それから、同業他社から競合する事業を買収することになりますから、独占禁止法に抵触するかどうかも問題になります。少なくとも公正取引委員会への届出の要否については検討しなければなりません。」

 甲氏:「(B)。」

 あなた:「(C)。いずれにせよ、事業の買収、特に買い手の場合には、大小様々なリスクを伴いますから、その分野に詳しい専門家からアドバイスを受けないと後で痛い目を見ますよ。ちょうどいい人を知っていますから紹介しますよ。」

 甲氏:「ありがとうございます。」

(設問2)

 会話の中の空欄BとCに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア B:株式買取りのスケジュールには影響しますか〇

  C:公正取引委員会が短縮を認めてくれない限り、最短でも届出を受理されてから、30日を経過するまでは、株式を取得することはできないので、スケジュールに影響しますね

原則として公正取引委員会の株式取得の届出受理の日から30日を経過するまで、会社は株式取得を禁止されます。これを禁止期間といいます。例外的に、会社が期間の短縮を請求して、公正取引委員会が認めた場合には禁止期間が短縮されます。

イ B:届出を行うのは、X 社ですか。Y社ですか×

  C:Y社です

公正取引委員会に届出をする必要があるのは、株式の取得をしようとする会社です。本問では、株式の取得をしようしているのはX社ですので、届出をする必要があるのはX社です。

ウ B:届出を行う前に、公正取引委員会に相談に行くことはできるのですか×

  C:できません

企業結合審査の事前相談制度は、平成23年に廃止されました。しかし、これに代わって、株式取得の届出を行う前に、公正取引委員会に対して企業結合計画に関する相談を行うことができるようになりました。これは、届出前相談といわれています。

エ B:どんな規模でも届出が必要になるのですか×

  C:X社の企業グループ全体の国内売上高が10億円以上の場合で、かつ、Z社とその子会社の国内売上高の合計が1億円以上の場合に、届出が必要になります

企業結合集団の国内売上高の合計額が200億円を超える会社が、国内売上高が(子会社も含めて)50億円を超える会社の株式を取得しようとする場合で、一定の要件に該当するときに、株式取得の届出が必要になります。

組織再編 【平成24年 第4問】

 あなたの顧客であるX 株式会社(以下「X 社」という。)の代表取締役甲氏からの、X 社の組織再編に関する以下の相談内容を前提に、Y 株式会社(以下「Y 社」という。)のC 部門を独立した1つの会社とする手続きとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【甲氏が持参した書面】

 X 社では、100 パーセント子会社としてA 株式会社(以下「A 社」という。)を保有している。

 一方、Y 社では、B 部門とC 部門の2つの事業を行っており、このうち、C 部門の事業は、A 社の事業と同じである。

 X 社としては、事業を拡大するため、Y 社のC 部門を譲り受けたい。

 譲り受けるにあたっては、A 社とY 社では、従業員の処遇に違いがあることから、一度に統合することは難しい可能性もある。そのため、C 部門をそのまま切り出して、直接1つの独立した会社とした後に、その株式を譲り受け、A 社と同様に、X 社の100 パーセント子会社とすることとしたい。

[解答群]

ア 吸収合併×
吸収分割は、分割した事業を別の会社が承継する方法です。吸収分割は、事業を他の会社に売却したい時などに使われます。

イ 吸収分割×

ウ 事業譲渡×
事業譲渡は、会社の事業の全部または一部を他の会社に譲渡することです。事業譲渡は、営業譲渡と呼ばれることもあります。事業譲渡は、会社を分割するのではなく、事業を対象とした売買契約を行うことと位置付けられます。そのため、会社分割では対価が原則として株式になるのに対して、事業譲渡では事業価値に見合った金銭が原則となります。

エ 新設分割〇
新設分割は、分割した事業を新しく設立した会社が承継する方法です。新設分割は、事業を切り離して分社化したい時などに使われます。
新設分割では会社を新しく設立しますが、新設会社が発行した全ての株式は、事業を分割した会社に割り当てられます。このとき、分割会社が新設会社の株式を全て所有するため、完全親会社と完全子会社の関係が成立します。1つの独立した会社を設立し、新設会社が発行した株式について事業を分割した会社に割り当てることで、完全親会社と完全子会社の関係を作ることができるのは、新設分割となります。今回の場合、まずはY社がC部門を新設分割して新会社を設立し、Y社が保有することとなる新会社の全株式をX社に譲渡することで、新会社もA社と同様にX社の100パーセント子会社となります。

事業譲渡と会社分割 【平成20年 第4問】(設問1)

 中小企業診断士であるあなたは、X株式会社の全株所有者である甲社長から相談を受けた。以下は、あなたと甲社長との会話の一部である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

 甲社長:「私もだいぶ高齢になったので、そろそろ引退しようと思っているんですが、会社にはどうも適当な後継者がいないんですよ。
それで、どうしようかと思っていたら、どうもY株式会社が引き継いでくれそうな感じなんです。私が持っている100 パーセントの株式をY株式会社に譲渡しようかと思ったのですが、当社は、若干ですが、不動産の賃貸業もやっていますから、Y株式会社に引き継いでもらうとしても本業だけにして、不動産の賃貸業は残しておこうかと思うんです。
賃貸業でもちょっとした収入になりますから、私の生活の足しにもなりますし、私一人でできますから。そういったこともできますかね。」

 あなた:「事業譲渡、会社分割の方法で可能になると思いますよ。」

 甲社長:「事業譲渡というのは、わかるのですが、会社分割というのを使うとどういう形に進めるわけですか。」

 あなた:「( A )」

 甲社長:「なるほど。事業譲渡と会社分割なら、どちらの方がいいわけですか。」

 あなた:「どちらにも一長一短ありますし、Y株式会社の都合にもよりますから、何ともいえません。」

 甲社長:「じゃあ、この2つの方法で、何か違うところがあるのですか。」

 あなた:「ありますよ。例えば、( B )」

(設問1)

 会話の中の空欄Aに入る文章として最も適切なものはどれか。

ア 不動産業をX株式会社に残して、会社分割の方法によって、本業を行う子会社を作ります。それから、その子会社の株式をY株式会社に譲渡します。〇新設分割と株式譲渡を組み合わせた方法です。

イ 本業をX株式会社に残して、会社分割の方法によって、不動産業を行う子会社を作ります。その子会社設立と同時に、その子会社の株式を全部Y株式会社に割り当てます。×不動産業がY社に承継されるため、不適切です。

ウ 本業をX株式会社に残して、会社分割の方法によって、不動産業を行う子会社を作ります。それから、X株式会社の株式をY株式会社に譲渡します。×不動産業がY株式会社の孫会社の事業となり、甲氏の元に残らないため不適切です。

エ 本業を分割して、当然にY株式会社の一部門とすることができますから、その結果、甲社長もY株式会社の株主となることができます。×本業を分割してY社に承継すると、その対価としてY社の株式が交付されます。しかし、Y社株式の交付先は甲氏ではなくX社となるため、甲氏がY社の株主となるわけではありません。

吸収分割とは、分割した事業を別の会社が承継する方法です。新設分割とは、分割した事業を新しく設立した会社が承継する方法です。会社分割では、事業を承継する会社は、対価として株式等を交付します。この株式等は、事業を分割した会社に割り当てられます。 事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部を他の会社に譲渡することです。会社分割は、1つの会社を2つの会社に分割することと位置付けられるのに対して、事業譲渡は、会社を分割するのではなく、事業を対象とした売買契約を行うことと位置付けられます。そのため、会社分割では原則として株式が対価になるのに対して、事業譲渡では事業価値に見合った金銭などの財産が対価となります。

事業譲渡 【平成25年 第14問】

 中小企業診断士であるあなたと、顧客である SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)運営会社の社長甲氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲 氏:「今度、当社の SNS事業を、乙社に譲渡することになりました。」

あなた:「やはり、最近外資系の SNS サイトや無料通話アプリに押され気味でしたものね。」

甲 氏:「これからいろいろ面倒な手続があるみたいですけど。」

あなた:「そうですね、譲渡資産の帳簿価額が御社の総資産額の( A )であれば、株主総会の( B ) による事業譲渡契約の承認が必要ですし、従業員の雇用の引継ぎについても、( C )が適用されるのは( D )の場合ですから、事業譲渡では原則に戻って労働者から個別に乙社への移籍について同意を得る必要があります。」

甲 氏:「知的財産の権利関係はどうなりますか。当社は独自開発した SNSの機能について特許を複数取得しており、その一部は SNS の運用ソフトウェアやデザインの著作権とまとめてライセンスに出しているんですが。」

あなた:「特許については登録をしなくてもライセンシーが乙社に通常実施権を対抗できます。著作権については、登録制度はライセンシーから乙社に対して利用権を対抗するための手段ではないので、ライセンシーが利用を継続するには乙社の許諾が必要です。」

会話の中の空欄A〜Dに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。

ア A:15% 超 B:普通決議 C:労働契約法 D:会社整理

イ A:20% 超〇 B:特別決議〇 C:労働契約法 D:合併

ウ A:20% 超 B:特別決議 C:労働契約承継法〇 D:会社分割〇

エ A:30% 超 B:普通決議 C:労働契約承継法 D:支配株主の変更

事業譲渡は、会社の事業の全部または一部を他の会社に譲渡することです。事業を全部譲渡する場合や、事業のうち重要な一部を譲渡する場合には、株主総会の特別決議の承認が必要になります。事業の重要な一部の譲渡とは、譲渡資産の帳簿価格が譲渡会社の総資産の20%を超える場合です。

事業譲渡では、譲り受けた事業に従事していた労働者を雇い入れる場合は、労働者個人の個別同意が必要です。一方で、会社分割では、労働契約承継法の定めるところに従って労働契約を承継させます。

簡易組織再編 【平成21年 第2問】

 A株式会社(以下「A社」という。)は、100 パーセント子会社であるB株式会社に対し、A社の事業の一部を分割し、吸収させることを検討している。A社の貸借対照表及び分割を検討している資産等の状況は下記のとおりである。これを前提とした簡易吸収分割(会社法第784 条第3項)に関する説明のうち、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

A社貸借対照表 (単位:百万円)

A社が分割を検討している資産、負債の項目及び帳簿価額 (単位:百万円)

[解答群]

ア 分割対象となる資産合計額から負債合計額を控除した額は1億3,000 万円で〇、A社の総資産額の5分の1を下回っているが、20 分の1を超えるので、簡易吸収分割の規定が適用とならず、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がある。×

イ 分割対象となる資産合計額から負債合計額を控除した額は1億3,000 万円で〇、A社の純資産額の5分の1を下回っているので〇、簡易吸収分割の規定が適用となり、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がない。〇×

ウ 分割対象となる資産額合計は2億3,000 万円で、A社の純資産額の5分の1を下回っているが〇、20 分の1を超えるので、簡易吸収分割の規定は適用とならず、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がある。×

エ 分割対象となる資産額合計は2億3,000 万円で、A社の総資産額の5分の1を下回っているので〇、簡易吸収分割の規定が適用となり、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がない。〇×〇A社は分割会社であるため、総資産額の5分の1が基準となります。A社の総資産額は24億円で、その5分の1の額は4億8,000万円です。従って、分割する資産の帳簿価額の合計額が4億8,000万円を超えない場合、簡易吸収分割が認められることになります。A社が分割を検討している資産額合計を見てみると、2億3,000万円となり、4億8,000万円を下回っているため、簡易吸収分割が可能です。

 吸収分割において、

承継会社では、分割の対価が承継会社の純資産額の5分の1を超えない場合、簡易組織再編が認められます。

分割会社では、分割する資産の帳簿価額の合計額が分割会社の総資産額の5分の1を超えない場合、簡易組織再編が認められます。

分割会社の場合は、純資産額ではなく総資産額の5分の1となる点に注意。

簡易組織再編と略式組織再編 【平成30年 第2問】

 下表は、合併及び会社分割の各手続において、簡易手続及び略式手続の有無を整理したものである。空欄A〜Dに入る記号の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 なお、該当する手続があるものについては「○」、ないものについては「×」を記載することにしている。

〔解答群〕

ア A:○  B:×  C:×  D:○

イ A:○  B:×  C:×  D:×

ウ A:×  B:○  C:○  D:○

エ A:×  B:○  C:○〇  D:×〇

吸収合併消滅株式会社は自身を身売りして、吸収合併存続株式会社から対価を得る立場にあります。対価を支払う立場にありませんから、簡易組織再編はできません。

吸収合併消滅株式会社が吸収合併存続株式会社に支配されている関係にあれば、吸収合併消滅株式会社で株主総会の特別決議を行うことに意味はありません。したがって、略式組織再編が可能

新設分割株式会社はその事業の全部または一部を新設分割設立株式会社に承継させ、その対価を得る立場にあります。新設分割株式会社は対価を支払う立場にはありません。会社分割の場合は、事業の一部のみを分割することがありえます。このとき、その一部が新設分割株式会社にとって重要でなければ、株主への不利益は大きくありません。そこで、承継させる資産の額(事業の一部)がその会社の総資産額の5分の1以下であれば、新設分割株式会社でも簡易組織再編を可能としています。

新設分割株式会社が新設分割を行う場合、その会社分割を決定する時点では新設分割設立株式会社は存在していません。したがって、支配関係が生じる余地はありませんので、略式組織再編はできません。

 持分会社、組合、特定非営利活動法人 【平成21年 第16問】(設問1)

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 有限責任制の人的会社制度として、会社法に合同会社制度が創設された。また、有限責任事業組合契約に関する法律により、新たな事業体としての有限責任事業組合の設立が可能となった。

 このほか人的資産の活用としては、民間の行う社会貢献活動の健全な発展を促進する目的で特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動法人を設立することが可能となっている。

(設問1)

 合同会社と有限責任事業組合は共通点も多い。次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。

ア 合同会社、有限責任事業組合の債権者は、当該会社または組合の営業時間内は、いつでも、作成した日から5年以内の計算書類または財務諸表の閲覧または謄写の請求をすることができる。〇合同会社、有限責任事業組合ともに、その債権者は、営業時間内であればいつでも、作成した日から5年以内の計算書類または財務諸表の閲覧または謄写の請求をすることができます

イ 合同会社の常務に属する業務以外の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。有限責任事業組合も重要な財産の処分および譲受けや多額の借財という業務執行を決定するには、総組合員の過半数の同意によらなければならない。×〇×合同会社の常務に属する業務以外の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定します。一方、有限責任事業組合の場合、業務執行には原則として総組合員の同意が必要となります。有限責任事業組合においては、重要な財産の処分および譲受けや、多額の借財という重要な業務執行については、組合契約によっても総組合員の同意を省略できません。

ウ 合同会社の設立手続きは、社員になろうとする者が定款を作成し、設立の登記をする時までにその出資の全額を払い込みまたは給付を行う。有限責任事業組合では、各当事者が組合契約書を作成し、それぞれの出資に係る払込みまたは給付の全部を履行する。いずれも、設立時に公証人の定款認証を受ける必要はない。×〇合同会社の設立は、社員になろうとする者が定款を作成し、設立の登記をする時までに、その出資の全額を払い込みまたは給付を行うことで成立します。有限責任事業組合では、各当事者が組合契約書を作成し、それぞれの出資に係る払込みまたは給付の全部を履行することで、組合契約が成立します。いずれの場合も、設立時に公証人の定款認証を受ける必要はありません。

エ 合同会社は定款、有限責任事業組合は総組合員の同意により、その出資者の損益分配の割合を出資の価額に応じたものと異なる割合に定めることができる。〇合同会社は、定款の定めによって、その出資者の損益分配の割合を、出資の価額に応じたものと異なる割合に定めることができます。また、有限責任事業組合では、総組合員の同意により、その出資者の損益分配の割合を出資の価額に応じたものと異なる割合に定めることができます。

持分会社、組合、特定非営利活動法人 【平成21年 第16問】(設問2)

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 有限責任制の人的会社制度として、会社法に合同会社制度が創設された。また、有限責任事業組合契約に関する法律により、新たな事業体としての有限責任事業組合の設立が可能となった。

 このほか人的資産の活用としては、民間の行う社会貢献活動の健全な発展を促進する目的で特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動法人を設立することが可能となっている。

(設問2)

 合同会社と有限責任事業組合との相違点の説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 合同会社は、合同会社名義で特許権の出願ができる。これに対し有限責任事業組合では、有限責任事業組合名義で特許権の出願をすることはできない。×〇有限責任事業組合は、組合員同士の契約という位置付けとなり、法人格はありません。そのため、組合名義での特許出願を行うことはできません。

イ 合同会社は、合名会社、合資会社、株式会社に組織変更することができる。これに対して有限責任事業組合は、このような組織変更ができず、当該有限責任事業組合を解散し、新たに会社を設立しなければならない。×〇合同会社は、株式会社への組織変更や、合名会社、合資会社への種類変更が可能です。一方、有限責任事業組合は法人格が無いため、合併などの事業再編や、株式会社への移行といった組織変更ができません。

ウ 合同会社は社員1名でも設立できる。これに対し有限責任事業組合は、2名以上の個人または法人の組合員が必要となる。ただし、組合員のうち過半数以上は、日本の居住者または内国法人でなければならない。〇×合同会社の社員は1名でも構いません。一方、有限責任事業組合は、組合契約を締結する必要があるため、最低でも組合員が2名以上必要となります。ただし、その組合員は、「1人以上が日本の居住者または内国法人でなければならない」とされています。

エ 合同会社は、配当額が当該利益の配当をする日における利益額を超える場合には、当該利益の配当をすることができない。有限責任事業組合の組合財産は、その分配の日における純資産額から組合員の出資総額と300 万円のいずれか小さい額を控除した額を超えて分配することができない。〇合同会社は、配当額が、配当をする日の利益額を超える場合には、当該利益の配当をすることができません。一方、有限責任事業組合の組合財産は、その分配の日における純資産額から、組合員の出資総額と300万円のいずれか小さい額を控除した額を超えて分配することができません。

持分会社、組合、特定非営利活動法人 【平成21年 第16問】(設問3

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 有限責任制の人的会社制度として、会社法に合同会社制度が創設された。また、有限責任事業組合契約に関する法律により、新たな事業体としての有限責任事業組合の設立が可能となった。

 このほか人的資産の活用としては、民間の行う社会貢献活動の健全な発展を促進する目的で特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動法人を設立することが可能となっている。

(設問3)

 特定非営利活動法人の説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 特定非営利活動法人の役員として、理事3名以上および監事1名以上を置かなければならない。なお、役員のうち報酬を受ける者の数は役員総数の3分の1以下でなければならない。〇×〇特定非営利活動法人の役員としては、理事3 名以上および監事1 名以上を置かなければなりません。また、役員のうち報酬を受ける者の数は、役員総数の3 分の1 以下でなければならないという制限があります。

イ 特定非営利活動法人は、特定非営利活動を目的としなければならないが、特定非営利活動の事業に支障のない範囲で、その他の事業を行うことができる。〇ここにいう「非営利」とは、団体の構成員に収益を分配せず主たる事業活動に充てることを意味し、収益を上げること自体を制限するものではありません。特定非営利活動の事業に支障のない範囲で、その他の事業を行うこともできます。

ウ 特定非営利活動法人は、毎事業年度初めの3か月以内に、前事業年度の事業報告書等ならびに役員名簿等を作成し、定款等とともに、その社員その他の利害関係人が閲覧できるよう主たる事業所に備え置かなければならない。〇特定非営利活動法人は、毎事業年度初めの3 ヶ月以内に、前事業年度の事業報告書と役員名簿を作成して、定款などとともに、社員やその他の利害関係人が閲覧できるように主たる事務所に備えおかなければなりません。

エ 特定非営利活動法人を設立するためには、定款、役員名簿、社員7名以上の名簿、設立趣旨書などの必要書類を添付した申請書を所轄庁に提出して、設立の認証を受けなければならない。〇×特定非営利活動法人を設立するためには、定款、役員名簿、社員10 名以上の名簿、設立趣旨書などの必要書類を添付した申請書を所轄庁に提出して、設立の認証を受けなければなりません。

持分会社 【令和元年 第1問】

 合同会社、合名会社、合資会社の比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 合同会社、合名会社、合資会社のいずれの会社も、会社成立後に新たに社員を加入させることができる。〇合同会社、合名会社、合資会社のいずれの会社も、定款変更手続きをすることにより、会社成立後に新たに社員を加入させることができます。
  2. 合同会社、合名会社、合資会社のいずれの会社も、社員は2名以上でなければならない。×合名社員と合同会社は、社員1名でも設立できます。
  3. 合同会社、合名会社、合資会社のいずれの会社も、定款の定めによっても、一部の社員のみを業務執行社員とすることはできない。×持分会社の社員は、いずれも原則として業務執行社員となります。ただし、業務執行社員を定款で定めることもできます。つまり、定款の定めによって、一部の社員のみを業務執行社員とすることができます。
  4. 合同会社と合名会社の社員は無限責任社員のみで構成されるが、合資会社の社員は無限責任社員と有限責任社員により構成される。×

契約の成立

 契約に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 契約とは、2つ以上の意思表示が合致することによって、当事者間に債権・債務(権利と義務)が発生するものである。〇

イ 原則として契約書などの書面がなくても契約は成立する。〇

ウ 未成年者は、行為能力が不十分(制限行為能力者)とされ、このような人が行った法律行為は取り消す事ができる場合がある。〇

エ 契約の内容の重要な部分について錯誤があった場合、その契約は錯誤した者が無効を主張することができる。×錯誤による意思表示は以前は「無効」とされていましたが、民法改正により「取り消すことができる」へと変更されました。

契約の種類とその周辺

 契約に関する説明として、最も不適切なものはどれか。


ア 契約の基本法には民法があり、民法の原則として契約自由の原則がある。〇私的自治の原則(契約自由の原則

イ 契約自由の原則とは、契約等の行為を自分の自由に決めることができることをいう。〇契約自由の原則は、契約などの行為を自分の自由な意思で行うことができることを表します。

ウ 民法は、よく使用される契約を典型契約として規定している。〇民法では、良く使用される契約を「典型契約」として記載しています。

エ 典型契約には13種類あり、売買や賃貸借はこれに入っているが、単独で行える贈与はこれに入っていない。×贈与契約は「あげましょう」「もらいましょう」という意思表示が合致した契約です。

国際取引1

 国際取引に関する次の文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

( A )では、国際貿易の統一規則が規定されている。( B )とは、商品を本船に船積された時に、引渡し義務が終了する取引条件である。CIFでは、( C )は、貨物を荷揚げ地の港で荷揚げするまでの運賃、海上保険料等を負担し、荷揚げ以降の費用は( D )の負担となる。

ア A:インコタームズ〇 B:FOB〇 C:買主 D:売主

イ A:インコタームズ B:FOB C:売主〇 D:買主

ウ A:準拠法 B:CFR C:買主 D:売主

エ A:準拠法 B:CFR C:売主 D:買主

FOB(Free on board)

 貿易における取引条件のひとつです。FOBとは、Free on Boardの略で、本船渡しのことです。船舶の手配、保険料等は買主の義務になります。

 ●CIF(Cost Insurance and Freight)

 貿易における取引条件のひとつです。CIFとは、Cost Insurance and Freightの略で、運賃保険料込みのことです。運賃、保険料を売主が負担する条件です。

 ●インコタームズ(International Commercial Terms)

 インコタームズ (Incoterms) では、国際商業会議所 (ICC) が策定した国際貿易の統一規則が規定されています。貿易取引を円滑に行うため、運賃、保険料等の条件に関して、国際的に統一的な定義を取り決めています。上記のFOBやCIFもインコタームズで定められています。

 ●準拠法

 外国企業との取引で、紛争が発生した時に、どこの国の法律が適用されるのかを決めなければなりません。この適用になる国の法律を準拠法といいます。

国際取引2

 国際取引に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ウィーン売買条約は、国際的な物品売買に関する条約であり、締約国間の取引では個別の契約書に記載されていなくても原則として適用される。〇ウィーン売買条約は、国際的な物品売買に関して取り決めを行っている条約です。締約国間の取引では、条約で規定されている内容が原則として適用となり、個別の契約書に記載されていなくても有効です

イ マドリッドプロトコルは、商標の国際出願制度であり、日本での商標登録出願をしなくても制度を利用して外国での商標権の取得をすることができる。×マドリッドプロトコルは、日本が加盟している商標の国際出願制度です。外国での商標権の取得が日本の特許庁での手続で可能ですが、特許庁に出願もしくは登録されている国内の商標を基礎とします。そのため、日本での商標登録出願が必要です。なお、日本での出願と並行して国際登録出願をすることもできます。

ウ インコタームズは、国際貿易の統一規則であり、強制力があるため契約書中に適用を記載していなくても効力が発生する×インコタームズは、国際商業会議所が策定した国際貿易の統一規則です。貿易取引を円滑に行うため、運賃、保険料等の条件に関して、国際的に統一的な定義を取り決めています。ただし、インコタームズは法律のように強制力はないため、インコタームズの規定を使うには、契約書の中で適用する旨を記載する必要があります。

エ パリ条約は、産業財産権の国際的な保護を目的としており、ある加盟国にて出願していれば、その後に他の加盟国で出願したときはいつでも、最初に出願した時を基準として優先権が認められる条約である。×パリ条約は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権といった産業財産権の国際的な保護を目的とした条約です。ある加盟国にて出願をした者が、別の加盟国に同一の出願をした場合、最初の国での出願の時を基準として、新規性や進歩性のある発明かどうかなどの判断が行われます。いわゆる優先権制度を定めています。ただし、この優先権は最初の出願の日から一定期間内に申請を行った場合に適用されるものです。

契約の不履行1

 AはBに1000万円の債務を負っている。この場合に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア Aは事業資金としてBから1000万円借り受け、10月1日に返済する予定であったが、失念している。これは履行遅滞の問題である。〇「債務不履行」のうち、「履行遅滞」にあたります。履行遅滞は、契約で定めた履行期に遅れることです。履行遅滞は、期日に遅れたものの履行自体は可能な状況の場合を表します。

イ Aは事業資金としてBから1000万円借り受け、10月1日に返済する予定であったが、事業に失敗し、全ての財産を清算したが、1000万円は絶対に返済できないことが分かった。これは履行不能の問題である。×「履行不能」の問題ではなく、「履行遅滞」にあたります。履行不能は、契約で定めた履行が不能になることです。例えば、売買目的の物を、債務者の不注意で紛失してしまい、引き渡しが不能になるような場合です。金銭債権の場合、お金自体がなくなったわけではないので、履行不能の問題は起きません。金銭債権では履行不能の問題は起きない

ウ AはBから別荘を買ったが、引渡しを受ける前日に山火事で別荘が焼失した。これは、危険負担の問題である。〇「危険負担」の問題です。売買契約締結後、引渡しの前までに、売主が責を負わない事由(台風で建物が倒壊した、あるいは隣家の失火によって建物が類焼した等)によって売主の引渡義務が履行できなくなった場合に、買主の代金支払債務が消滅するのか、しないのかの問題です。危険負担は、債務者主義が原則です(民法改正により特定物の債権者主義は削除)。本肢の場合、危険は引渡債務者である売主Bの負担となり、Aは契約を解除して代金支払を拒むことができます。

エ AはBから別荘を買い、引渡しを受けた後に別荘にBも知らない白アリが巣食っていることを発見した。これは、契約不適合責任の問題である。〇「契約不適合責任」の問題です(民法改正前の瑕疵担保責任)。契約不適合責任は、売買契約等で、契約は履行されたものの、目的物に欠陥などの契約不適合があった場合の、売主の責任を指します。売主の故意・過失を要件とせず、たとえ売主が契約不適合を知らなかった場合でも、買主は、目的物の修補、代替物または不足分の引渡しによる履行の追完や代金減額を請求することができる

契約の不履行2

 AはBに絵画を売却した代金として100万円の債権を持っているが、期日になってもBは支払わない。この場合に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア Aは強制履行により代金を取り立てることができる。〇債務不履行が生じた場合、債権者は、強制履行や損害賠償請求、契約の解除といった手段を取ることができます。強制履行は、債権者が、国家機関の力を借りて強制的に履行をさせることです。強制履行には、「直接強制」、「代替執行」、「間接強制」という3つの方法があります。

イ AはBに対して損害賠償の請求ができる。損害賠償請求権の消滅時効は、原則として権利を行使できることを知った時から5年間である。〇債務不履行が生じた場合には、債権者は債務者に対して損害賠償を請求することができます。ただし、金銭債務以外の債務不履行につき損害賠償請求ができるのは、債務者に故意または過失がある場合に限ります。債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効は、原則として権利を行使できることを知った時から5年とされています。

ウ AはBとの契約を解除することができる。その場合は、損害賠償の請求はできなくなる。×債務不履行の場合は、債権者は債務者の承諾を要さずに、一方的に契約を解除することができます。このように、合意によらず契約を解除できることを「法定解除権」と呼びます。しかし、解除権を行使したのちも損害があればその賠償請求はできます

エ 契約が解除された場合は、契約は最初から無かったものとされるため、A・Bは互いに受け取っていた物や金銭を返却する必要がある。〇契約が解除された場合は、契約は最初から無かったものとされるため、当事者同士は互いに受け取っていた物や金銭を返却する必要があります。これを原状回復義務と呼びます。

不法行為

 Aは歩行中、わき見運転をしていたピザ宅配会社B社の社員Cのバイクにはねられ、負傷した。この場合に関する説明として、最も不適切なものはどれか。


ア Aは、治療費等の損害をCに対し、賠償請求することができる。〇一般不法行為の問題です。不法行為が成立するにはいくつかの要件があります。それは、被害者に損害が発生していること、加害者に故意または過失があること、加害者に責任能力があること、加害行為が違法なものであること、損害と加害行為の間に因果関係があることです。

イ Aは、Cがピザの配達中の事故であれば、Bに対して損害賠償の請求ができる。〇使用者責任の問題です。会社の従業員が、その会社の事業を執行する上で不法行為を行った場合、従業員の使用者である会社は、損害賠償責任を負います。これを使用者責任と呼びます。

ウ Bは、Cの選任・監督について相当な注意をしたときは、Aに対する損害賠償責任を負わない。〇民法は、使用者責任において、使用者が従業員の選任・監督について相当な注意をした時は、使用者は責任を負わなくても良いと規定しています。

エ Aは、損害及び加害者を知らない限り、損害賠償請求権は消滅することはない。×人の生命または身体に対する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、被害者または法定代理人が、損害および加害者を知ったときから5年となっています。さらに、不法行為の時から20年を経過した場合も、権利は消滅します。したがって、いつまでも損害賠償の請求ができるわけではありません。

担保物権

 担保物権に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 抵当権には、優先弁済効力はあるが、留置的効力はない。〇抵当権には、優先弁済効力はありますが、留置的効力はありません。

イ 質権には、優先弁済効力はあるが、留置的効力はない。×質権には、優先弁済効力と留置的効力の両方があります。

ウ 留置権には、優先弁済効力はないが、留置的効力はある。〇留置権には、留置的効力はありますが、優先弁済効力はありません。

エ 先取特権には、優先弁済効力はあるが、留置的効力はない。〇先取特権には、優先弁済効力はありますが、留置的効力はありません。

留置権

他人の物を占有する者が、その物に関する債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる権利。

先取特権

一定の債権を有する者が、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利。

質権

債権の担保として受け取った物を占有し、その物について優先的に弁済を受けることができる権利。

抵当権

債務の担保に供した物について、優先的に弁済を受ける権利。質権と違い、引渡しを要しない。

優先弁済効力

他の一般債権者に優先して弁済を受けられる効力。

留置的効力

担保物権の対象となる物の占有を保持することができる効力。

消費者保護に関する法律

 消費者保護法制に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 消費者契約法は、事業者と消費者の契約の際に、契約の重要事項について不実告知があったり、不当な勧誘がされたことにより、消費者が誤認または困惑して契約をした場合には、その契約は無効である旨を規定している。×〇×消費者契約法は、事業者と消費者の契約に適用される法律です。事業者と消費者の契約の際に、契約の重要事項について不実告知があったり、不当な勧誘がされたことにより、消費者が誤認または困惑して契約をした場合には、消費者は契約を取り消すことができます。無効になるわけではありません

イ 消費者契約法は、事業者は消費者にとって一方的に不利益な契約条項を定めることはできないと規定する。〇

ウ 割賦販売法は、割賦販売では、消費者が後で申込みの撤回ができる「クーリング・オフ」の制度を設けている。〇×〇割賦販売法は、分割払いによる商品の販売の際に適用される法律です。割賦販売では、業者は、割賦販売の条件などの情報開示や、契約書などの書面の交付が必要になります。また、消費者が後で申込みの撤回ができる「クーリング・オフ」の制度を設けています。

エ 特定商取引法は、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売といった特定商取引について、それぞれに規制を設ける法律である。〇特定商取引法は、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売といった特定商取引について、それぞれに規制を設ける法律です。特定商取引法でも、書面の交付義務や、クーリング・オフの制度などを設けています。

景品表示法

 景品表示法に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 優良誤認表示とは、商品・サービスの内容が、実際のものや競合他社よりも著しく優良であると誤認させることであり、有利誤認表示とは、 商品・サービスの価格や取引条件が、実際のものや競合他社よりも著しく有利であると誤認させることである。〇景品表示法における「不当な表示の禁止」は、「優良誤認表示」の禁止、「有利誤認表示」の禁止、「その他誤認されるおそれのある表示」の禁止の3つに分けられます。優良誤認表示は、商品やサービスの品質や内容が事実に反して優良であると表示するものです。有利誤認表示は、商品やサービスの価格や取引条件が事実に反して有利であると表示するものです。

イ 内閣総理大臣は、景品表示法の違反行為があるとみとめたときは、その事業者に対して、誤認の排除,再発防止策の実施,今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる措置命令をすることができる。〇不当な表示の禁止・過大な景品類の提供の禁止のいずれかの規制に抵触した事業者に対して、内閣総理大臣(または内閣総理大臣から委任を受けた消費者庁長官)は「措置命令」をすることができます。なお、不当な表示の禁止の規制に抵触した事業者に対しては、措置命令に加えて、課徴金納付命令を下すこともあります。

ウ 商店街が実施する福引などの共同懸賞は、以前からの風習であることや、個別事業者の不当な利益の獲得にはつながりにくいことなどから、景品規制から除外されている。×商店街が実施する福引などの共同懸賞も、景品類のひとつとして景品表示法の規制対象になっています。景品表示法においては、景品類を一般懸賞共同懸賞総付景品の3つに分けて、景品の最高額や総額を規制しています。懸賞とは、くじや抽選、じゃんけん、ゲームなどの結果に応じて景品類を提供することを指します。複数の事業者が参加して行う場合を共同懸賞と呼び、それ以外の場合を一般懸賞と呼びます。総付景品とは、懸賞によらず全ての利用者や購入者、来店者などにもれなく提供する景品類のことを指し、先着順や申し込み順で提供されるものもこれにあたります。

エ 景品表示法における景品類は、顧客を誘引する手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する、物品・金銭その他の経済上の利益を指す。〇景品表示法における景品類とは、「顧客を誘引するための手段であること」「取引に附随して提供されるものであること」「経済上の利益であること」を満たす場合に該当します。ただし、通常の商慣習の範囲での値引きやアフターサービスなどは景品には含まれません。

倒産に関する法律1

 倒産に関する法律について、最も不適切なものはどれか。

ア 倒産は企業が経済的に破たんすることであり、一般的には、手形が不渡になって銀行取引停止処分となった場合などをさす。〇倒産は企業が経済的に破たんすることです。ただし、法律的には「倒産」という概念は厳密に規定されていません。一般的には、手形が不渡になって銀行取引停止処分となった場合などに倒産という言葉が使われています。倒産となると、債権者は債権の弁済を受けられなくなるなどの大きな影響があります。よって、何らかの形で倒産処理を行う必要があります。

イ 特別清算は、清算中の株式会社について、清算の遂行に著しい支障があるか、債務超過の疑いがある時に行われる特殊な清算手続きである。〇清算型の倒産処理には、破産と特別清算があります。特別清算は、清算中の株式会社について、清算の遂行に著しい支障があるか、債務超過の疑いがある時に行われる特殊な清算手続きです。

ウ 民事再生は、経済的に窮地にある債務者の事業の再生をすることを目的とし、法人だけでなく個人も行うことができる。〇

エ 会社更生は、倒産に至る前の比較的早期の段階にある会社を再建する手続きで、全ての会社が対象で、個人は行うことができない。×株式会社に限って認められている倒産処理です。

相続

 相続に関する法律について、最も不適切なものはどれか。


ア 個人事業主が死亡した場合、事業上のものであるか否かを問わず、その者の積極財産、消極財産はすべて相続の対象となる。〇

イ 相続人が、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務を弁済すべきことを留保して相続の承認をすることができ、これを限定承認という。〇

ウ 負債を相続したくないときには、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うと、初めから相続人にならなかったとみなされる。×〇相続放棄をすると、初めから相続人にならなかったとみなされます(民法939条)。この手続きも、上記限定承認と同様に相続開始があったことを知った日から3か月以内に行う必要があります。

エ 遺産分割協議によって、相続人は遺産を分割することができる。この場合の遺産とは積極財産ばかりではなく、消極財産も含まれる。〇×遺産分割協議によって、相続人は遺産を分割することができます(民法907条)。この場合の遺産とは積極財産(プラスの財産)のみを指し、消極財産(マイナスの財産、つまり負債)は遺産分割の対象とはなりません。負債は、各相続人の相続分に応じて分割して相続されることになります。

相続2

 被相続人Xが死亡し、相続が生じた。AはXの配偶者であり、BはX及びAの子である。また、CはBの子である。Xには兄弟姉妹Dがおり、EはDの子である。さらに、Xには内縁関係のGがいる。その他の親族はXの死亡より前にすべて死亡している。

 この場合、Xの相続財産について、それぞれの相続人が相続する割合として、最も適切なものはどれか。

 なお、特に断りがない限り、各相続人は相続について承認したものとする。

 また、遺言はなく、遺産分割協議も整っておらず、相続人はいずれも廃除されていないものとし、寄与分及び特別受益についても考慮しないものとする。

ア Xの死亡以前にBが死亡していた場合、Aが4分の3、Dが4分の1を相続する。×Xの死亡以前にBが死亡しています。このとき、②の順位に従えば兄弟姉妹Dが相続すると考えられますが、Bに子がいる場合にはその子が相続人となります(代襲相続)。

イ Bが相続放棄をした場合、Aが2分の1、Cが2分の1を相続する。×相続放棄の場合には代襲相続はありません。したがって、②の順位に従い、(Bが相続放棄をしているため)兄弟姉妹Dが相続人となります。相続分はAが4分の3、Dが4分の1です。

ウ Xの死亡以前にDが死亡しており、Bが相続放棄をした場合、Aが4分の3、Eが4分の1を相続する。〇代襲相続があり、Eが相続人となります。したがって、Aが4分の3、Eが4分の1を相続します。

エ Xの死亡以前にA、B、C、D、Eのすべてが死亡していた場合に、GがXの相続財産のすべてを相続する。×相続人が不存在となるため、Gが特別縁故者として財産分与の対象となる可能性はあります。

経営承継円滑化法1

 遺留分に関する法律について、最も不適切なものはどれか。

ア 遺留分は、被相続人の財産のうち、一定の割合の承継を法定相続人に保証する制度である。〇直系尊属のみが相続人である場合には、相続財産全体の3分の1、それ以外の場合には2分の1が遺留分権利者全体の遺留分となります。なお、被相続人の兄弟姉妹には、遺留分はありません。

イ 被相続人が遺言などで遺留分に反する相続を行った場合、直ちに無効になるわけではなく、遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することで初めて、遺言によって侵害された遺留分を取り戻すことができる。〇

ウ 中小企業の事業主が亡くなり、その後継者が事業を承継する場合は、事業主が持っていた会社の株式等を後継者が相続するが、他の相続人が、遺留分侵害額請求権を行使すると会社の株式や資産が分散するおそれがある。〇

エ 近時制定された経営承継円滑化法では、生前贈与株式を遺留分の対象に加えることによって、会社資産や株式の分散を未然に防止することが可能になった。×同法では、旧代表者の生前に、遺留分権利者全員の合意を書面で行い、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を得ることで、生前贈与株式を遺留分の対象から除外する特例を受けられるようになりました。これにより、相続に伴う株式分散を未然に防止することができます。

経営承継円滑化法2

 中小企業経営承継円滑化法に関する説明として、最も適切なものはどれか。

先代経営者甲が死亡し、その子であるA、B、Cが甲の財産を相続することになった。甲の有する財産は、不動産3,000万円のみである。また、Aは後継者として甲の死亡の半年前に当時の価額で3,000万円の自社株式の贈与を受けており、当該株式は相続開始の時に1億2,000万円に価値が上昇していた。

ア Aが生前贈与を受けた自社株式3,000万円について除外合意の対象となっている場合、Bの遺留分の額は750万円である。×500 遺留分の総額は遺留分算定基礎財産の2分の1である1,500万円であり、これをA、B、Cの3人で等分するとBの遺留分の額は500万円

イ Aが生前贈与を受けた自社株式3,000万円についてこの額で固定合意の対象となっている場合、Bの遺留分の額は1,500万円である。×1000 遺留分算定基礎財産は不動産3,000万円と贈与株式3,000万円を合わせた6,000万円となります。したがって、遺留分の総額は遺留分算定基礎財産の2分の1である3,000万円であり、これをA、B、Cの3人で等分するとBの遺留分の額は1,000万円となります。

ウ 除外合意や固定合意などの特段の合意がない場合、Bの遺留分の額は2,500万円である。〇除外合意や固定合意などの特段の合意がないため、遺留分算定基礎財産は不動産3,000万円と贈与株式(相続開始時の価額)1億2,000万円となります。したがって、遺留分の総額は遺留分算定基礎財産の2分の1である7,500万円であり、これをA、B、Cの3人で等分するとBの遺留分の額は2,500万円

エ Aが生前贈与を受けた自社株式3,000万円のうち、1,500万円が除外合意の対象となり、残りの1,500万円がこの額で固定合意の対象となっている場合、Bの遺留分の額は1,125万円である。×遺留分算定基礎財産は不動産3,000万円と贈与株式1,500万円となります。したがって、遺留分の総額は遺留分算定基礎財産の2分の1である2,250万円であり、これをA、B、Cの3人で等分するとBの遺留分の額は750万円

相殺 【平成30年 第19問】

 相殺に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。

ア 時効によって消滅した自働債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていたとしても、相殺の意思表示をしたのが時効消滅後である場合は、相殺することはできない。〇×A、Bがそれぞれお互いに対して100万円の債権を持っている場合、当事者の感覚としてはすでに相殺がなされていると考えるのが通常です。それにも関わらずAの債権(Aの自働債権)が消滅した後にBに債権(Aの受働債権)を行使されることはAに酷です。そこで債権が時効消滅した後であっても消滅以前に相殺に適するようになっていたときは相殺を可能としています。

イ 相殺の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。×〇相殺の意思表示の時ではなく、相殺に適するようになった時にさかのぼるとされています。

ウ 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合で、受働債権が弁済期にあれば、自働債権の弁済期が到来しなくても、相殺することができる。×自働債権の弁済期は借金の返済日であり、受働債権の弁済期は売掛金の支払日です。ここでAからの相殺ができるとすると、Bは借金の返済日がまだ来ていないのに、勝手に返済したことにさせられてしまいます。したがって、自働債権の弁済期前に相殺をすることはできません。なお、自働債権の弁済期後、受働債権の弁済期前であれば、Aが自身の売掛金を早めに支払うだけですので、相殺が可能です。

エ 不法行為から生じた債権を自働債権として相殺することはできない。×不法行為から生じた債権とは、例えば交通事故の被害者が加害者に有する損害賠償請求権です。上の例でAが貸金債権ではなくこの損害賠償請求権を持っているとします。このときにAは自己の損害賠償請求権を自働債権とする相殺をすることは可能です。

保証 【平成30年 第17問】

 保証に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、別段の意思表示はないものとする。

ア 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けた場合、保証契約に基づく支払義務はなくなる。〇×保証契約は主たる債務者が支払いをできなくなったときに、主債務者に代わってその支払いを行うものです。主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたというのは、まさに主たる債務者が支払いをできなくなった場面です。このような場合に保証契約に基づく支払義務がなくなるとすると、保証契約の意義がありません。したがって、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けた場合であっても、保証契約に基づく支払義務はなくなりません。主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたときは、保証人は催告の抗弁権を主張できなくなると規定されています。このことからも、破産手続開始決定によって保証債務がなくならないことが分かります。

イ 売買契約の売主の債務不履行によって生じる損害賠償義務は、当該売主のための保証債務の担保する範囲に属する。〇×〇売主の債務不履行とは目的物の引渡しができなくなることです。このとき売主の保証人は何を保証しているでしょうか。売主に代わって売買目的物を引渡すことも考えられますが、むしろ債務不履行による損害賠償金の支払いを保証していると考えるのが通常でしょう。保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他の債務に従たるすべてのものを包含するものです。

ウ 保証契約は、口頭でしても、その効力を生じる。×

エ 連帯保証人が債権者から債務の履行を請求されたときは、連帯保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。×

契約の不履行 【平成22年 第12問】

 ホテル業を営むA会社は、新しくホテルを建設することとし、B設計建築会社(以下「B会社」という。)との間で工事請負契約を締結した。予定どおり竣工し、A会社は、当該契約に基づいてこのホテルの引渡を受け営業を開始した。 しかし、このホテルは、B会社から構造設計の委託を受けた一級建築士Cが、建築基準法令で定められた耐震強度を満たしたかのように偽装したものであった。なお、このホテルの建築に関し、D会社による確認審査、E会社による構造計算適合性判定においては、それぞれ建築基準関係規定に適合しているとされていた。 その後、同地域を襲った地震により、このホテルの耐震強度偽装が発覚した。その結果、行政当局の指導を受け、このホテルを休業および補修し、A会社は多額の損害を被った。 これらの状況を前提に、以下の選択肢ア~エのうち最も適切なものはどれか。 

ア A会社は、B会社に請求する損害賠償とは関係なく、建築士Cに対してもB会社を債権者代位して契約上の義務に違反するとして損害賠償請求をすることができる。×A会社とCとは契約関係がないため、A会社はCに対する債務不履行による損害賠償請求ができません。Cに対して債権者代位権を行使できるかですが、B会社が損害賠償義務を履行した場合、A会社にとっては、保全すべきB会社への損害賠償請求権は消滅します。そのため債権者代位権の「債権を保全する必要があること」という要件を満たさなくなるため、Cに対する債権者代位権の行使はできません。

 イ A会社は、偽装を見抜けなかったD会社・E会社に対しても、自己に生じた損害について無過失責任を追及することができる。×

A会社とD会社、E会社とは、直接の契約関係がないため、A会社がD会社、E会社に対して債務不履行責任を追及することは困難です。しかし、Cの偽装を見抜けなかったD会社、E会社には、それぞれ建築確認審査、構造計算適合性における注意義務違反を理由に、不法行為に基づく損害賠償責任を追及することが可能です。 ただし、不法行為が成立するにはいくつかの要件があります。それは、被害者に損害が発生していること、故意または過失があること、加害者に責任能力があること、加害行為が違法なものであること、損害と加害行為の間に因果関係があることです。 よって、A会社はD会社、E会社に対して無過失責任を追及することはできない

 ウ A会社は、不完全履行があるとして、B会社に対して、補修に要した相当額の不当利得返還請求をすることができる。×

不当利得は、正当な法律上の原因がないのに、他人の財産や労務によって利益を得ることです。このような利益は不当利得と呼ばれ、損失を受けた者に対してその利益を返還する義務を負います。 不当利得が成立するにはいくつかの要件があります。それは、他人の財産または労務によって利益を受けたこと、そのために他人に損失を与えたこと、上記の利益と損失の間に因果関係があること、法律上の原因がないことです。 設問のケースの場合、B会社は耐震強度の不足によりA会社に損失を与えていますが、それによって利得を得たとは言えません。よって、不当利得は成立しない

 エ A会社は、補修および休業したことにより生じた損害について、B会社に過失があるときは、B会社に対し、債務不履行責任に基づく損害賠償請求をすることができる。〇B会社は耐震強度が不足した建物を引き渡した、債務不履行の「不完全履行」に該当し、また、B会社には過失があるとされています。従って、A会社はB会社に対して、債務不履行責任に基づく損害賠償請求をすることが可能です。

契約の解除【平成26年 第14問】

 契約の解除に関する記述として最も適切なものはどれか。

ア AからBが買い受けた土地をBからCが買い受けたところ、AがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除した場合、Aが背信的悪意者のような場合でない限り、Cは、登記を得なければAに対して自らの所有権を主張できない。〇債務不履行の場合は、債権者は債務者の承諾を要さずに、一方的に契約を解除することができます。このように、合意によらず契約を解除できることを「法定解除権」と呼びます。契約が解除された場合は、契約は最初から無かったものとされるため、当事者同士は互いに受け取っていた物や金銭を返却する必要があります。これを原状回復義務と呼びます。Aが法定解除権を持ち、Bに原状回復義務が生じます。BはAに土地を返還しなければなりません。ところで民法は、解除による原状回復義務は第三者の権利を害することはできないと規定しています。そして判例は、この第三者が保護されるためには登記を備えることを要するとしています。本肢のCは契約の解除前にBから土地を購入しており、この第三者に当たるため、(Aに背信的悪意が認められなければ)登記を具備しないとAに対して自らの所有権を主張できません。

イ 自宅の工事を発注した施主が発注後に死亡した場合、施主の共同相続人は、請負契約で定められた工期を遅延したまま督促しても工事完了の見込みが立たない請負業者に対して、特約がない限り、法定相続分に応じて個別に解除権を行使できる。×特約がない限り、契約の解除は共同相続人全員で行わなければならず、個別に解除することはできません。

ウ 商人間の売買でなくても、債務者に履行の意思がないことが明らかであれば、履行遅滞を理由とする債務不履行解除には催告を必要としない。×債務者に履行の意思がないことが明らかである場合でも、履行の催告をした後でなければ、契約の解除はできません。

エ 特定物の売買契約における売主のための保証人は、反対の特約がない限り、契約解除による売買代金の返還義務についての保証の責任を負わない。×売買契約において、売主の保証人は契約解除による売買代金の返還義務についても保証の責任を負うことになります。

消滅時効 【平成29年 第17問】

 消滅時効に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 主債務者が時効の利益を放棄した場合でも、その保証人は時効を援用することができる。〇主たる債務が時効により消滅すれば付従性により保証債務も消滅します。したがって、主たる債務の消滅時効が完成すれば保証人は保証債務の消滅を期待します。その期待を主債務者が勝手に時効の利益を放棄したことで奪うことはできません。そこで主債務者が時効の利益を放棄した場合でも、その保証人は時効を援用することができます。

イ 時効の完成後に債務を承認したとしても、時効完成の事実を知らなかった場合には、時効を援用することができる。×(時効完成後の債務の承認)では信義則に反するため、たとえ時効完成の事実を知らなくても時効の援用はできないとされます。

ウ 内容証明郵便による請求をすれば時効の完成が6か月猶予されることになり、当該6か月が経過する直前に再度内容証明郵便による請求をすれば、さらに時効の完成が6か月猶予される。×裁判上の請求、差押え・仮差押え・仮処分等があると時効完成が猶予されます。この場合の「裁判上の請求」とは簡単に言うと裁判所が関係してくる請求であり、内容証明郵便によるとしても単に請求書を送っただけというものは「請求」に当たりません(これは「催告」に当たります)。催告があったときは、その時から6か月以内に裁判上の請求等をすることが必要であり、最初の催告後6か月以内に再度の催告をしても、再度の催告には時効完成猶予の効力はありません。

エ 平成29年1月15日に機械を売却し、その代金の弁済期を平成29年2月28 日とした場合、代金債権の時効は平成29年1月15日から進行する。×消滅時効は原則として権利を行使することができる時から進行します。確定期限付きの債権の場合、権利を行使することができるのは期限が到来した時からです。本肢では平成29年2月28日を代金の弁済期(支払期日)としているため、代金債権を行使することができるのは平成29年2月28日(原則として取引開始時間以降)となります。したがって、消滅時効は(初日不算入の原則により)平成29年3月1日から進行することになります。

消費貸借契約 【平成26年 第12問】

 消費貸借契約に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 現金を渡した相手方から借用証を受け取っても、返済期日の約束がなければ、消費貸借契約の効力が生ずることはない。×返済期日を定めない金銭消費貸借の契約では、貸主が請求を行ってから相当期間を経過すると借主は履行遅滞となります。つまり、請求を受けた場合に、相当期間の経過前に返済をする必要があるわけです。このように、返済期日の約束がなくても、消費貸借契約の効力は生じます。

イ 準消費貸借契約のメリットとして、債務の弁済期を遅らせたり、売掛金の消滅時効期間を貸付金のそれに切り替えたり、金利改定ができる場合があることが挙げられる。〇準消費貸借契約とは、売買契約といった消費貸借によらない契約を消費貸借契約に置き換えるものです。たとえば、商品を購入してまだ代金を支払っていない場合、その代金の未払いを売主からの借金に置き換えることが該当します。それによって、複数の債権を一本化して新たな消費貸借契約として整理する、元の売掛金の弁済期と異なる弁済期を設定する、売掛金の消滅時効を貸付金のそれに切り替えて延長する、金利に関する約定を変更するといったメリットがあります。

ウ 消費貸借契約公正証書を作成しても、執行認諾文言がなければ、その公正証書を債務名義として強制執行をすることができない。〇

エ 利息制限法上、貸付金50万円の約定利息の上限は年額9万円である。〇10万円未満では年20%、10万円以上100万円未満では年18%、100万円以上では年15%

消費者保護法制 【平成22年 第14問】

 株式会社Aは、一般消費者である女性をターゲットに各家庭を訪問して、あるいはインターネットにおける自社のショッピングサイト上で、高額化粧品をディスカウントして販売する業者である。この株式会社Aによる商品の販売に関する説明として最も適切なものはどれか。

ア 株式会社Aがインターネットのショッピングサイト上で掲載している売買契約上、当該化粧品から生ずるいかなる肌のトラブルについても責任を負わない旨の規定がある場合には、当然に、当該契約全体が無効となる。×無効となるのは条項のみで、契約全体が無効となるわけではない

イ 株式会社Aによる商品のインターネット販売にはクーリング・オフ規定の適用はないが、この商品のショッピングサイト上に返品の可否および条件を記載していない場合、インターネットを通じてこの商品を購入した女性の都合により契約を解除されることがある。〇特定商取引法上、通信販売についてはクーリング・オフの規定はありません。しかし、消費者保護のため、事業者が返品の可否および条件を記載していない場合に限り、商品の引渡日から8日を経過する日までの期間に、購入者は契約の申し込みの撤回または解除ができるとされています。

ウ 株式会社Aの担当者が訪問販売において、「重大な過失がある場合でも株式会社Aの損害賠償額は10 万円を限度とさせていただきます。」とする旨を女性に手渡しした売買契約書において規定し、女性がこれについて説明を受け、納得した上で署名押印した場合は、かかる規定は有効である。×消費者契約法では、事業者の故意または重大な過失による債務不履行や、不法行為によって消費者に生じた損害について、それを賠償する責任の一部を免除する条項は無効であるとしています。

エ 株式会社Aの担当者が訪問販売において、女性から「商品が必要ないので、帰ってください。」と言われたにもかかわらず、居座って話を続けて説得した上で販売した商品は、この女性が契約書面を受領した日から起算して8日間が経過すると、女性から売買契約を取り消すことができない。×消費者契約法では、消費者が事業者に退去を求めたにもかかわらず、その場所から退去しないことで消費者が困惑した場合、それによってされた契約の申込みや承諾を取り消すことができると規定しています。従って、株式会社Aの担当者が、女性から退去を求められたにもかかわらず、居座って話を続けて説得した上で販売した商品については、女性から契約を取り消すことができます。

倒産処理 【平成22年 第3問】

 破産手続、民事再生手続及び会社更生手続について述べた次の文章について、下線部①~④の説明のうち最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 破産手続、民事再生手続及び会社更生手続の違いとしては、第一に、手続が目指す結果の違いが挙げられる。即ち、①破産手続は、清算型と呼ばれ、法人・自然人を問わず破産者が破産手続開始決定時に保有する全ての資産を金銭に換価して配当に充てることになるが、民事再生手続、会社更生手続は、再建型と呼ばれ、それぞれの手続に従って、債務者の再建を図りながら弁済を行うこととなる。

 第二に、対象となる人の違いが挙げられる。②破産手続、民事再生手続は、法人・自然人を問わず全ての人に適用されるが、会社更生手続は、会社法上に規定がある会社のみに適用され、それ以外の法人・自然人には適用されない。

 第三に、手続の主体の違いが挙げられる。③破産手続、会社更生手続では、管財人が選任され、管財人が資産の管理処分等を行うが、民事再生手続では、管財人という制度が法律上存在しないため、債務者自身が主体となって手続を遂行することとなっている。

 第四に、抵当権等の担保権に関する基本的な取り扱いの違いが挙げられる。④破産手続、民事再生手続は、担保権は別除権となり、担保権者は手続外で担保権を実行することが可能であるが、会社更生手続においては、担保権は更生担保権となり、手続外での実行は禁止される。

[解答群]

ア 下線部①〇×破産者が、破産手続き開始の時に保有する99 万円以下の金銭や、差押を禁止された財産は、破産財団に属さないものとされます。よって、全ての資産を金銭に換えて配当に充てるわけではない

イ 下線部②〇×会社更生手続は、株式会社を再建する手続であり、持分会社には適用されません。よって、会社法上に規定がある会社すべてに適用されるわけではない

ウ 下線部③×経営者の能力、資質に問題があるといった理由で、裁判所によって必要があると認められた場合は、管理命令が発せられ、再生管財人を選任することができます。よって、管財人という制度が法律上存在しないわけではない

エ 下線部④×〇

破産手続、民事再生手続では、質権や抵当権などの担保権は別除権となり、担保権者は手続外で担保権を実行することで、その売却代金から優先弁済を受けることができます。

 一方、会社更生手続においては、担保権は更生担保権となり、手続外での実行は禁止されます。

遺留分に関する民法の特例 【平成27年 第5問】

 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に定められた遺留分に関する民法の特例に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 後継者が旧代表者から贈与により取得した財産のうち、一部を除外合意の対象とし、残りの一部を固定合意の対象とすることができる。〇

 イ 除外合意や固定合意の効力を生じさせるためには、経済産業大臣の許可を受ける必要がある。〇×経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を得る必要があります。経済産業大臣の「確認」が必要ですが、「許可」は必要ではありません。

 ウ 除外合意や固定合意の効力を生じさせるためには、後継者以外の旧代表者の推定相続人も家庭裁判所の許可を受ける必要がある。×、遺留分に関する民法の特例を受けるには、事業を承継する後継者が家庭裁判所の許可申立てをする必要があります。後継者以外の推定相続人については、書面で合意する必要がありますが、家庭裁判所に申立てをして許可を得る必要はありません。

 エ 除外合意や固定合意の対象となる株式を除いた後継者が所有する株式に係る議決権の数が総株主の議決権の50%を超える場合であっても、除外合意や固定合意をすることができる。×後継者が所有する株式のうち、除外合意や固定合意の対象となる株式を除いたものに係る議決権の数が、総株主の議決権の100分の50を超える数となる場合は、遺留分に関する民法の特例を受けられないとされています。これは、除外合意や固定合意の対象となる株式を除いても、後継者が議決権の過半数を確保できる場合は、会社の運営に支障がなく特例を認める必要がないとされているためです。

相続 【平成26年 第1問】

 X株式会社(以下「X社」という。)の発行済株式総数は、30万株であり、そのすべてをAが保有していた。その後、Aは死亡し、B・C・D・E の4名のみが相続人としてAの財産を相続した。Bは、Aの配偶者である。C及びDは、AとBとの間で出生した子である。Eは、AとAと婚姻関係を有したことがないFとの間で出生した子であり、AはEを認知している(下図参照)。

 この場合、X社の株式の権利関係に関する記述として最も適切なものはどれか。

 なお、遺言はなく、遺産分割協議も整っておらず、相続人はいずれも廃除されていないものとし、寄与分及び特別受益についても考慮しないものとする。

ア B、C、D及びEが30万株を共有し、Bの共有持分が2分の1、C、D 及びEの3名の共有持分がそれぞれ6分の1となる。〇

イ B、C、D 及びEが30万株を共有し、Bの共有持分が2分の1、C及びDの2名の共有持分がそれぞれ5分の1、Eの共有持分が10分の1となる。×

ウ Bが15万株を、C、D及びEがそれぞれ5万株を保有する株主となる。×

エ Bが15万株を、C及びDがそれぞれ6万株を、Eが3万株を保有する株主となる。×

英文契約 【平成25年 第13問】(設問1)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

外国からの医療機器の輸入に関して、輸入業者側が手配した輸送手段に輸出業者が製品を積載することによって製品を受領する旨の合意が成立し、次の英文契約書の条項が定められた。

PURCHASE AGREEMENT FOR MEDICAL DEVICE PRODUCT

Article XX

x. Delivery of the Products shall be made at San Francisco Port,California, on or
before the 31st of August, 2013, on A San Francisco bases.

xx. The trade term “ A ” shall be interpreted in accordance with B .

(設問1)

契約書の空欄Aには、「本船渡し」の貿易条件を意味する貿易用語が入る。この用語として最も適切なものはどれか。

ア CIF (cost, insurance, freight)

イ DDP (delivered duty paid)

ウ EXW (ex works)

エ FOB (free on board)〇

英文契約 【平成25年 第13問】(設問2)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

外国からの医療機器の輸入に関して、輸入業者側が手配した輸送手段に輸出業者が製品を積載することによって製品を受領する旨の合意が成立し、次の英文契約書の条項が定められた。

PURCHASE AGREEMENT FOR MEDICAL DEVICE PRODUCT

Article XX

x. Delivery of the Products shall be made at San Francisco Port,California, on or
before the 31st of August, 2013, on A San Francisco bases.

xx. The trade term “ A ” shall be interpreted in accordance with B .

(設問2)

契約書の空欄Bには、国際商業会議所が制定した、貿易取引慣習として普遍的に使用されている貿易取引条件の解釈に関する国際規則の略称が入る。この略称として最も適切なものはどれか。

ア CISG イ INCOTERMS 2010〇 ウ U.C.C.2009-2010 ed. エ UPICC

国際条約 【平成27年 第6問】

 以下の記述は、ある条約に関するものである。この内容を定める条約として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 1883年に成立したこの条約が適用される国は、工業所有権の保護のための同盟を形成する。各同盟国の国民は、工業所有権の保護に関し、この条約で特に定める権利を害されることなく、他のすべての同盟国において、当該他の同盟国の法令が内国民に対し現在与えており又は将来与えることがある利益を享受する。すなわち、同盟国の国民は、内国民に課される条件及び手続に従う限り、内国民と同一の保護を受け、かつ、自己の権利の侵害に対し内国民と同一の法律上の救済を与えられる。

[解答群]

 ア シンガポール条約

 イ 特許協力条約

 ウ パリ条約〇

 エ マドリッド協定

 国際取引 【令和元年 第16問】(設問1)

 中小企業診断士であるあなたと株式会社Xの代表取締役甲氏との間の以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲 氏:「弊社は、現在、自社ブランド製品について、外国の販売業者と取引を開始しようと考えています。先方から届いた契約書案を検討しているのですが、以下の規定について教えてください。

Title & Risk

Risk of loss of the Products sold by Seller under this Agreement shall pass to Purchaser upon Purchaser’s acceptance of delivery of the same at the Designated Delivery Site, and title of the Products shall pass to Purchaser only upon full payment therefor.」

あなた:「この規定は、危険負担と所有権の移転に関する条項です。このうち、( A )については、( B )に移転するものと定められています。また、( C )については、( D )に移転するものと定められてい ます。なお、 C については、貿易取引条件の解釈の誤解や行き違いを回避する目的で、国際商業会議所が制定したインコタームズという規則がありますので、それによることも考えられます。

(設問1)

会話の中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

  1. A:危険負担〇×  B:代金支払時  C:所有権〇   D:引渡時
  2. A:危険負担  B:引渡時〇    C:所有権   D:代金支払時〇
  3. A:所有権〇  B:代金支払時〇  C:危険負担〇  D:引渡時〇
  4. A:所有権   B:引渡時    C:危険負担  D:代金支払時

国際取引 【令和元年 第16問】(設問2)

 中小企業診断士であるあなたと株式会社Xの代表取締役甲氏との間の以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲 氏:「弊社は、現在、自社ブランド製品について、外国の販売業者と取引を開始しようと考えています。先方から届いた契約書案を検討しているのですが、以下の規定について教えてください。

Title & Risk

Risk of loss of the Products sold by Seller under this Agreement shall pass to Purchaser upon Purchaser’s acceptance of delivery of the same at the Designated Delivery Site, and title of the Products shall pass to Purchaser only upon full payment therefor.」

あなた:「この規定は、危険負担と所有権の移転に関する条項です。このうち、( A )については、( B )に移転するものと定められています。また、( C )については、( D )に移転するものと定められてい ます。なお、 C については、貿易取引条件の解釈の誤解や行き違いを回避する目的で、国際商業会議所が制定したインコタームズという規則がありますので、それによることも考えられます。

(設問2)

会話の中の下線部に関連して制定された「海上および内陸水路輸送のための規則」のうち、CIFの説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 運賃込み
  2. 運賃保険料込み〇
  3. 船側渡し×
  4. 本船渡し

FOBは、商品が本船に船積された時に、引渡し義務が終了するという条件です。つまり、船舶の手配、保険料等の負担は買主の義務となるため、「本船渡し」を意味します。

 一方、CIFは、貨物が荷揚げ地の港で荷揚げされるまでの運賃、保険料等は、売主が負担するという条件であり、「運賃保険料込み」を意味します。

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