運営管理も覚えることが山盛りです^^;
マテリアルハンドリング
マテリアルハンドリングに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 平均活性示数は、停滞工程の活性示数の合計を停滞工程数で除した値として求められる。
イ マテリアルハンドリングによって、運搬の自動化や効率化が図れるようになる。
ウ 運搬管理の改善には、レイアウトの改善、運搬方法の改善、運搬制度の改善がある。
エ 運搬活性示数は、置かれている物品を運び出すために必要となる取り扱いの手間の数を示している。
マテリアルハンドリングは輸送機械や自動化装置を指す場合が多いですが、こういった運搬に関して自動化することで運搬を効率化することができます。
ア ○:
平均活性示数は、停滞工程の活性示数の合計を停滞工程数で割った値として求めることができます。値が小さいほど物の置き方が非効率であり、移動のために多くの手間を要することになります。よって記述は適切です。
イ ○:
マテリアルハンドリングによって、運搬の自動化や効率化が図れるようになります。よって記述は適切です。
ウ ○:
運搬管理を改善するには、非効率な部分をなくすことが必要になります。具体的には、レイアウトの変更、運搬方法の改善、運搬制度の改善があります。これらの改善に取り組むことによって、運搬の効率化が図れるようになります。よって記述は適切です。
エ ×:
運搬活性示数は、物を移動するときに「すでに省かれている手間の数」を表し、0から4の間の数値を取ります。例えば、活性示数0は、床にバラ置きしてあるものを運搬する状態のことを指します。活性示数1は、箱に入っているものを運搬する状態のことで、まとめるという手順を省くことができます。このように、活性示数は大きいほうが効率的に運搬している状態となります。よって記述は不適切であり、これが正解です。
稼働分析
稼働分析の手法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 連続観測法は、ワークサンプリングと比較して測定に手間がかかる。
イ 稼働率は、「実際の稼働時間」を、「実際の稼働時間と非稼働時間の合計」で除して求めることができる。
ウ ワークサンプリングは、隠れて観測することで作業者が観測されることを意識せず、偏りのないデータが取れる。
エ 連続観測法は、非繰返しの作業の観測に適している。
ワークサンプリング
ワークサンプリングに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア ワークサンプリングは、瞬間的な観測のため深い分析に不向きである。
イ ワークサンプリングのメリットには、少ない労力で観測できる点が挙げられる。
ウ ワークサンプリングでは、1人の観測者が多くの観測対象を観測することが難しい。
エ ワークサンプリングは、連続観測法のように、観測対象に付きっきりになる必要がない。
時間研究
標準時間に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 余裕時間のうち、機械を調整し、打合せをするなどの余裕は、人的余裕に含まれる。
イ 標準時間は、正味時間と余裕時間の和で求められ、外掛け法で算出された余裕率を使う場合は、「標準時間 = 正味時間 X (1+余裕率)」によって計算される。
ウ 標準時間は、「その仕事に習熟した作業者が」、「適切な所定の作業条件のもとで」、「必要な余裕を持ち」、作業するのに必要となる時間である。
エ 作業時間を観測した作業者のペースが、基準より早い場合は、レイティング係数の値は100%よりも小さくなる。
ア ×:
人的余裕に含まれるのは、休憩やトイレに行くなど人間的な要素で必要な余裕です。選択肢の記述にあるような、作業の管理に必要な余裕は、管理余裕になります。よって記述は不適切です。
イ ○:
外掛け法による余裕率は、正味時間に対する余裕時間の割合です。このため、「余裕時間 = 正味時間 × 余裕率」 となります。また、「標準時間 = 正味時間 +余裕時間」となりますから、この式に最初の式を代入すると、「標準時間 = 正味時間 X(1+余裕率)」となります。よって記述は適切です。
ウ ×:
標準時間を設定する際は、選択肢の記述に対して「正常な無理のない作業ペースで作業する」を加えた、4つの条件が必要になります。これら4つの条件を全て満たした上で作業にかかる時間が、標準時間となります。よって記述は不適切です。
エ ×:
レイティング係数は、基準とする作業ペースを100%とした場合の、作業者の作業ペースです。基準値より作業者のペースが早い場合は、レイティングは100%より大きくなります。よって記述は不適切です。
標準時間の設定法
標準時間を設定する手法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア ストップウォッチ法を用いて標準時間を設定する際は、レイティング操作を行う必要がある。
イ 標準時間資料法は、作業時間のデータを分類・整理した図表などを用いて標準時間を設定する方法である。
ウ 実績資料法では、過去のデータを基礎として標準時間を設定する方法で、個別生産でよく利用される。
エ PTS法は、繰返しの少ない作業の標準時間の設定に適しており、標準時間の設定も容易にできる。
●PTS法(Predetermined Time Standard System) 動作を微動作(サーブリッグ)のレベルに分解し、あらかじめ定められた微動作ごとの標準時間を合計する方法です。この方法は、標準時間資料法より、さらに細かい微動作まで分解するのが特徴です。 |
エ ×:
PTS法は、動作を微動作(サーブリッグ)のレベルに分解し、あらかじめ定められた微動作ごとの標準時間を合計する方法です。作業者を直接計測する必要がなく、繰返しの多い作業の標準時間の設定に適しています。一方で、作業を微動作レベルまで分析する必要があるため、手間がかかります。よって記述は不適切です。
運搬活性分析
次に示す工程の平均活性示数の値として、最も適切なものはどれか。
①鉄の棒材が床に平置き。
②搬送用の箱に鉄の棒材を入れる。
③パレットに搬送用の箱を乗せる。
④フォークリフトでパレットを運ぶ。
⑤トラックにパレットを積み、加工工場に運ぶ。
⑥フォークリフトでパレットを降ろす。
⑦パレットを所定場所に置く。
ア 2.4
イ 3.5
ウ 4.4
エ 5.5
①鉄の棒材が床に平置き。0
②搬送用の箱に鉄の棒材を入れる。1
③パレットに搬送用の箱を乗せる。2
④フォークリフトでパレットを運ぶ。4
⑤トラックにパレットを積み、加工工場に運ぶ。4
⑥フォークリフトでパレットを降ろす。3
=14/6=2.333
①部品倉庫に生産に必要な部品を取りに行く。(運搬 ⇒)
②部品棚に保管してある部品梱包箱から、使用する部品を取り出す。(加工○)
③部品を持って現場に戻る。(運搬⇒)
④部品Aと部品Bを接着材で固定する。(加工○)
⑤接着が乾くまで待つ。(滞留D)
⑥部品Cの数か所にドリルで穴を開ける。(加工○)
⑦部品Aを部品Cにネジで固定する。(加工○)
⑧トルク試験機でネジの締付けトルクを確認する。(品質検査◇)
⑨出荷出来るように製品梱包箱に入れる。(加工○)
⑩発送場まで梱包箱を移動する。(運搬⇒)
工程分析2
工程分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 製品工程分析では、工場などのレイアウト図の上に、工程図記号を記入することで、工程の流れを表す。
イ 流れ線図は、製品が加工される流れを、運搬、検査、停滞を含めて表し、問題点を明らかにする。
ウ フロムツーチャートは、工程間の物の流れを分析する手法で、各工程間でどれぐらいの物が滞留しているかを分析する。
エ 作業者工程分析は、作業者の作業を中心に分析するもので、作業手順や作業の無駄を改善する際に利用される。
ウ ×:
フロムツーチャートでは、各工程間でどれぐらいの物量が流れているかを分析します。滞留の分析ではありません。よって記述は不適切です。
運搬活性分析
次に示す工程の平均活性示数の値として、最も適切なものはどれか。
①鉄の棒材が床に平置き。
②搬送用の箱に鉄の棒材を入れる。
③パレットに搬送用の箱を乗せる。
④フォークリフトでパレットを運ぶ。
⑤トラックにパレットを積み、加工工場に運ぶ。
⑥フォークリフトでパレットを降ろす。
⑦パレットを所定場所に置く。
ア 2.4
イ 3.5
ウ 4.4
エ 5.5
●活性示数
運搬のしやすさを表す数値で、活性示数は、0から4の間の数値を取ります。これは、物を移動するときに、既に省かれている手間の数を表します。この手間の種類は、
①まとめる
②起こす
③持ち上げる
④持っていく
、の4つです。具体的には次のようになります。
本問の①~⑦の状態を活性示数は、それぞれ次のようになります。

この中で④~⑥は少し判断に迷ったかもしれません。既に動いている状態は最も活性度が高い4となります。以上を踏まえると活性示数の合計が17、工程数が7ですから、平均活性示数は「17÷7」より約2.4となります。よって正解はアとなります。
運搬活性分析
次に示す工程の平均活性示数の値として、最も適切なものはどれか。
①鉄の棒材が床に平置き。
②搬送用の箱に鉄の棒材を入れる。
③パレットに搬送用の箱を乗せる。
④フォークリフトでパレットを運ぶ。
⑤トラックにパレットを積み、加工工場に運ぶ。
⑥フォークリフトでパレットを降ろす。
⑦パレットを所定場所に置く。
ア 2.4
イ 3.5
ウ 4.4
エ 5.5
①鉄の棒材が床に平置き。0
②搬送用の箱に鉄の棒材を入れる。1
③パレットに搬送用の箱を乗せる。2
④フォークリフトでパレットを運ぶ。4
⑤トラックにパレットを積み、加工工場に運ぶ4。
⑥フォークリフトでパレットを降ろす。3
⑦パレットを所定場所に置く。2
=16/7=2.28..
新製品を組み立てるための標準時間をPTS(Predetermined Time Standard)法を利用して算定することにした。標準時間を設定するための準備に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a PTS 法で算定された標準時間を組立作業を行う作業者の習熟度に応じて調整するために、作業者の組立職場での就業年数を調査した。
b 設備による加工時間を別途付与するために、設備で試加工を実施して加工時間を計測した。
c 標準時間を見積もるための基礎資料を整備するために、既存製品の組立作業に対して時間分析を実施した。
d 試作品を組み立てるための模擬ラインを敷設して、製品組立の標準作業を決定した。
〔解答群〕
- aとb
- aとd
- bとc
- bとd
PTS法は、動作を微動作(サーブリッグ)のレベルに分解し、あらかじめ定められた微動作ごとの標準時間を合計する方法です。この方法は他の方法に比べ、より細かい微動作まで分解するのが特徴です。
aですが、「標準時間を組立作業を行う作業者の習熟度に応じて調整する」という作業は、実際に観測した作業時間を正味時間に修正する「レイティング」のことです。例えば、作業が早い作業者を基に正味時間を設定してしまうと、標準時間としては相応しくないものになってしまいます。そのため、レイティング係数という数値を使って作業者による時間の個人差が生じないよう調整を行います。PTS法では、前述の通り細かく分解された微動作を基に標準時間を設定し、このレイティングの作業を行うことはありません。よって、aは不適切です。
bですが、設備によって加工を行う場合、作業者の作業時間とは別に、設備による加工時間を把握した上で、作業者の作業時間に別途付与する必要があります。そのため、設備で試加工を実施して加工時間を計測することで、その設備による加工時間を把握することができます。よって、bは適切です。
cですが、「標準時間を見積もるための基礎資料を整備する」という作業は、直接時間を観測せずに、あらかじめ用意しておいた作業要素別の標準時間を合計することで、標準時間を合成する「標準時間資料法」という方法を指しています。これは、直接時間を観測せずに、標準時間を求めることができるものであり、毎回時間を観測する手間を削減するメリットがあります。PTS法では、前述の通り細かく分解された微動作を基に標準時間を設定しますので、標準時間資料法を用いて、既存製品の組立作業に対して時間分析を実施する必要はありません。よって、cは不適切です。
dですが、PTS法を含め、標準時間を設定するには、対象となる標準作業を決定する必要があります。製品組立の標準作業を決定するために、試作品を組み立てるための模擬ラインを敷設することは、標準作業の基となるラインの配置や設備を定めることができ、標準時間を設定する準備として有効な方法です。よって、dは適切です。
ワークサンプリング法 【平成28年 第16問】
人の作業者が電気部品の組み立てを行っている工程でワークサンプリング法を実施した結果が下表に示されている。この実施結果から算出される「主体作業」と「職場余裕」の時間構成比率の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 主体作業:58% 職場余裕:11%
イ 主体作業:58% 職場余裕:12%
ウ 主体作業:70% 職場余裕:11%
エ 主体作業:70% 職場余裕:12%
主体作業は、ロットの間の主体となる作業です。準備段取作業は、ロットごと、もしくは始業や終業時に発生する、準備や段取、後始末などの作業です。
余裕時間は、様々な理由で発生する遅れの時間です。余裕は、さらに管理余裕と、人的余裕に分類されます。管理余裕は更に、作業余裕と職場余裕に分類されます。
作業余裕は、機械の調整など、作業を行う中で不規則的、偶発的に発生する作業や状況です。
職場余裕は作業の管理のために不規則的、偶発的に発生する作業や状況で打合せをするなど、作業の管理に必要な余裕です。
人的余裕は、疲労余裕と用途余裕に分類されます。疲労余裕は休憩などで用途余裕は人間として普通に発生する生理的欲求でトイレに行くなどで必要な余裕です。
分類 | 説明 | 本問の作業項目 | ||
正味作業 | 主体作業 | 主作業 | 材料を加工したり、部品を組み立てたりする、本来の作業 | ハンダ付け 基盤への部品の取り付け 基盤のネジ止め |
付随作業 | 主作業に付随して規則的に発生し、作業の目的に間接的に関与する作業 | 組立作業完了後の製品検査(全数) | ||
準備段取作業 | ロットごと、もしくは始業や終業時に発生する、準備や段取、後始末など | ロット単位での完成部品の運搬 | ||
余裕 | 管理余裕 | 作業余裕 | 必要な作業であるが、不規則、偶発的に発生する作業 | 不良品の手直し ネジ・ハンダの補充(不定期) |
職場余裕 | 作業の管理に必要な余裕 | 部品不足による手待ち 打ち合わせ 朝礼 | ||
人的余裕 | 用途余裕 | 休憩やトイレに行くなど人間的な要素で必要な余裕 | 水飲み 用便 | |
疲労余裕 | 正規の休憩や他の余裕で作業による疲労の回復を回復できない場合に考慮する余裕 | 該当なし | ||
非作業 | 作業者の個人的理由や怠惰により発生するもの | 該当なし |
表より、
主体作業には、主作業に分類される「ハンダ付け」「基盤への部品の取り付け」「基盤のネジ止め」と、付随作業に分類される「組立作業完了後の製品検査(全数)」が該当します。
職場余裕には「部品不足による手待ち」「打ち合わせ」「朝礼」が該当します。
ここから、主体作業及び職場余裕の度数の合計は、それぞれ以下の通りとなります。
主体作業 120 + 90 + 80 + 60 = 350
職場余裕 24 + 19 + 12 = 55
度数の合計が500であるため、主体作業及び職場余裕の度数の合計を500で割り、時間構成比率を計算します。
主体作業 350 ÷ 500 × 100 = 70%
職場余裕 55 ÷ 500 × 100 = 11%
ワークサンプリング法(サンプル数の算出式) 【平成30年 第18問】
ある作業の出現率をワークサンプリング法を使って推定したい。出現率を信頼度 95%、相対誤差aで推定するために必要なサンプル数nは次式で与えられる。ここで、pは予備調査により予想された作業の出現率である。

このサンプル数nを絶対誤差eを用いて求める下記の計算式について、空欄に 入る最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕
ア
1- p
イ
p
ウ

エ
p(1-p)
サンプル数の算定では、出現率p自体の不確実性を織り込んでサンプル数を算出するものになりますから、相対誤差は出現率pのブレの程度となります。従って、絶対誤差=相対誤差×出現率pとなる点をしっかりとおさえておきましょう。
本問では、この式はe=α×pとなります。従って、α=e/pですのでこの式を、

のαに代入します。
すると

となります。

の分子と分母のpを消去すると

となります。
従って、選択肢エが適切です。
時間計測と分析 【平成28年 第15問】
作業改善を目的とした時間測定と分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 作業時間が管理状態にあるかどうかを確認するために、pn管理図を作成して分析した。
イ 作業時間の測定精度を高めるために、やり直しを行った作業等の異常値は記録から除外して測定を行った。
ウ 作業方法の変化を見つけ易くするために、作業の各サイクルに規則的に表れる要素作業と不規則に表れる要素作業は区別して時間測定を行った。
エ 測定対象となる作業者に心理的な負担を与えないために、測定の実施を事前に通告せずに作業者から見えない場所で測定を行った。
選択肢アについて、pn管理図は計数値に対する管理図であるため、計量値である作業時間を管理する用途には向いていません。この場合は、 Xbar-R管理図を用いて作業時間が管理状態にあるかどうかを確認します。よって、選択肢アは不適切です。
選択肢ウについて、規則的に表れる要素作業と不規則に表れる要素作業を区別して時間測定を行うと、規則的に表れる要素作業に要する時間の変化から、作業方法が変化したことを見つけやすくなります。よって、選択肢ウは適切です。
選択肢エについて、測定対象となる作業者には、心理的負荷を軽減するために、観測目的を理解してもらい協力を得るようにします。これを行わない場合、正しく時間を測定できない可能性があります。よって、選択肢エは不適切です。
(補足)
管理図
管理図には、管理対象がとる値や、管理する品質により、いくつかの種類があります。
長さ、重量、時間、硬さ、純度などといった計量値の管理では、Xbar-R管理図が用いられます。
不良数などの計数値の管理では、p管理図 (不良率)、pn管理図 (不良数の個数)、c管理図 (一定単位の中の欠点数)、u管理図 (単位が一定でないものの欠点数)が用いられます。
標準時間 【平成23年 第15問】
標準時間の算定法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア PTS 法では、長時間の作業の標準時間を簡便に算定することができる。
イ 経験見積法では、余裕時間を必ず別途算定しなければならない。
ウ 実績資料法では、精度の高い標準時間を得ることができる。
エ ストップウォッチ法では、レイティングを行う必要がある。
選択肢アについて、PTS 法とは、動作を微動作のレベルに分解し、あらかじめ定められた微動作ごとの標準時間を合計する方法です。PTS 法は、標準時間法と似ていますが、さらに細かい微動作まで分解するのが特徴です。精度は高いが、分析に時間がかかるというデメリットもあります。よって選択肢アは不適切です。
選択肢イについて、経験見積法とは、経験者の実績と経験によって標準時間を見積もる方法です。一般に主観的になりやすく、精度は悪い場合が多いという特徴があります。経験により見積もられた時間に余裕時間が含まれていない場合には、別途余裕時間を算定しなければなりません。しかし、実際には求めた作業時間に余裕時間も含まれている場合が多く、余裕時間を必ず別途算定しなければならないわけではありません。よって選択肢イは不適切です。
選択肢ウについて、実績資料法とは、過去の作業日報などから標準時間を見積もる方法です。
実績資料法は新たに測定の必要がないため手間があまりかからないメリットはありますが、精度が低いというデメリットもあります。よって選択肢ウは不適切です。
選択肢エについて、ストップウォッチ法とは、作業の要素ごとにストップウォッチで時間を測定する手法です。この測定時間には作業者の個人差があるので、レイティング処理が必要になります。また、余裕率については、ワークサンプリング法などで求めます。よって選択肢エは適切で、正解です。
標準時間2 【平成29年 第10問】
標準時間に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア PTS法ではレイティングを行う必要はない。
イ 内掛け法では、正味時間に対する余裕時間の割合で余裕率を考える。
ウ 主体作業時間は、正味時間と余裕時間を合わせたものである。
エ 人的余裕は、用達余裕と疲労余裕に分けられる。
選択肢イについて、内掛け法では、正味時間に余裕時間を加えた標準時間に対して、余裕時間がどれくらいの割合なのかで余裕率を求めます。正味時間に対する余裕時間の割合で余裕率を求めるのは、外掛け法です。よって選択肢イは不適切で、これが正解です。
選択肢ウについて、主体作業時間は、正味時間と余裕時間を合わせたものになります。なお、作業全体の標準時間は、この主体作業時間と準備段取り時間を合わせて求めます。よって選択肢ウは適切です。
選択肢エについて、余裕は管理余裕と人的余裕に分けられます。管理余裕は作業余裕と職場余裕、人的余裕は用達余裕と疲労余裕にそれぞれ分けられます。用達余裕とは水飲みやトイレなどの生理的欲求で発生する時間、疲労余裕とは作業者が疲労回復のために休憩する時間や疲労によって仕事が遅くなるために余計に発生する時間のことを言います。よって選択肢エは適切です。
ワークサンプリング法 【平成28年 第16問】
人の作業者が電気部品の組み立てを行っている工程でワークサンプリング法を実施した結果が下表に示されている。この実施結果から算出される「主体作業」と「職場余裕」の時間構成比率の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 主体作業:58% 職場余裕:11%
イ 主体作業:58% 職場余裕:12%
ウ 主体作業:70% 職場余裕:11%
エ 主体作業:70% 職場余裕:12%
職場余裕
不良品の手直し30
手待ち24
=54/500=0.108
主体作業
はんだ付け120
取付90
ねじ止め80
500-54=446/500=
標準時間は、正味時間と余裕時間から構成されます。
正味時間は、主体作業と準備段取作業を遂行するのに必要な時間です。主体作業は、ロットの間の主体となる作業です。準備段取作業は、ロットごと、もしくは始業や終業時に発生する、準備や段取、後始末などの作業です。
余裕時間は、様々な理由で発生する遅れの時間です。
余裕は、さらに管理余裕と、人的余裕に分類されます。
管理余裕は更に、作業余裕と職場余裕に分類されます。
作業余裕は、機械の調整など、作業を行う中で不規則的、偶発的に発生する作業や状況です。
職場余裕は作業の管理のために不規則的、偶発的に発生する作業や状況で打合せをするなど、作業の管理に必要な余裕です。
人的余裕は、疲労余裕と用途余裕に分類されます。疲労余裕は休憩などで用途余裕は人間として普通に発生する生理的欲求でトイレに行くなどで必要な余裕です。 ここまで押さえた上で、本問で挙げられた作業項目を正味時間と余裕時間に分類すると、次の表のようになります。
分類 | 説明 | 本問の作業項目 | ||
正味作業 | 主体作業 | 主作業 | 材料を加工したり、部品を組み立てたりする、本来の作業 | ハンダ付け 基盤への部品の取り付け 基盤のネジ止め |
付随作業 | 主作業に付随して規則的に発生し、作業の目的に間接的に関与する作業 | 組立作業完了後の製品検査(全数) | ||
準備段取作業 | ロットごと、もしくは始業や終業時に発生する、準備や段取、後始末など | ロット単位での完成部品の運搬 | ||
余裕 | 管理余裕 | 作業余裕 | 必要な作業であるが、不規則、偶発的に発生する作業 | 不良品の手直し ネジ・ハンダの補充(不定期) |
職場余裕 | 作業の管理に必要な余裕 | 部品不足による手待ち 打ち合わせ 朝礼 | ||
人的余裕 | 用途余裕 | 休憩やトイレに行くなど人間的な要素で必要な余裕 | 水飲み 用便 | |
疲労余裕 | 正規の休憩や他の余裕で作業による疲労の回復を回復できない場合に考慮する余裕 | 該当なし | ||
非作業 | 作業者の個人的理由や怠惰により発生するもの | 該当なし |
表より、
主体作業には、
主作業に分類される
「ハンダ付け」
「基盤への部品の取り付け」
「基盤のネジ止め」
と、
付随作業に分類される
「組立作業完了後の製品検査(全数)」
が該当します。
職場余裕には
「部品不足による手待ち」
「打ち合わせ」
「朝礼」
が該当します。
ここから、主体作業及び職場余裕の度数の合計は、それぞれ以下の通りとなります。
主体作業 120 + 90 + 80 + 60 = 350
職場余裕 24 + 19 + 12 = 55
度数の合計が500であるため、主体作業及び職場余裕の度数の合計を500で割り、時間構成比率を計算します。
主体作業 350 ÷ 500 × 100 = 70%
職場余裕 55 ÷ 500 × 100 = 11%
よって、正解はウになります。
工程分析・動作研究 【平成20年 第7問】
ある社員食堂において、食事をする人の流れの問題点を見いだしたい。次の条件のもとで用いられる生産管理の分析手法として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。
【条件】
食事をする人は、出入り口から入り、食券を購入し、トレーを取り、カウンターで食事を受け取り、はしやお茶のエリアで必要なものを取り、席で食事をし、食器の載ったトレーを棚に返却し、出入り口から出る。
〔解答群〕
ア 稼働分析
イ 作業者工程分析
ウ 流動数分析
エ レイアウト分析
選択肢アについて、稼働分析とは、作業の効率を分析します。作業の効率は、稼働率で求めることができます。稼働分析の目的は稼働率を把握することなので、人の流れの問題点を分析する手法ではありません。よって選択肢アは不適切で、正解です。
選択肢イについて、作業者工程分析とは、作業者の作業を中心に分析するものです。作業者工程分析では、加工、移動、手待ち、検査の4 つで分析され、作業手順や作業の無駄の改善などに利用されます。この問題では、「作業者」を「食事をする人」と置き換えれば、「出入り口から入り」が移動に相当し、「食券を購入」が加工に該当するなど、食事をする人の動作の分析ができ、人の流れの問題点を分析することが可能です。よって選択肢イは適切です。
選択肢ウについて、流動数分析とは、前工程からの仕掛品の受入数量と次工程への払出数量の差から、仕掛品の在庫量や停滞時間などを把握する分析手法です。ここでも「製品」を「食事をする人」と置き換え、食堂に入った人数・出た人数と時間の関係のグラフを描けば、食堂に滞在する人数と滞在時間の状態や変化が分かるため、人の流れの問題点を分析できます。よって選択肢ウは適切です。
選択肢エについて、レイアウト分析という用語を一般用語として解釈すれば、食堂の出入り口、食券購入場所、トレーやカウンターなどの配置を分析することにより、レイアウトの不具合から人の流れの問題点を見いだせる可能性があります。よって選択肢エは適切です。
作業者工程分析 【平成26年 第17問】
以下の①~④に示す事象に対して作業者工程分析を行った。「作業」に分類された事象の数として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
①対象物を左手から右手に持ち替える。
②機械設備での対象物の加工を作業者が監視する。
③対象物を加工するための前準備や加工後の後始末をする。
④出荷のために対象物の数量を確認する。
〔解答群〕 ア 1個 イ 2個 ウ 3個 エ 4個
選択肢①について、上図の作業者工程分析では、工程系列の加工(作業)〇に対しての作業者工程は、「材料を機械に取り付ける」が対象となっています。つまり、加工をしていなくても、「移動」「手待ち」「検査」以外は「加工(作業)」に分類されます。従って、「右から左に持ち替える」ことも加工(作業)に分類されます。よって選択肢①は適切です。
選択肢③について、作業者工程分析では、対象物の加工そのものだけでなく、「加工するための前準備や加工後の後始末」も加工に含まれます。よって選択肢③は適切です。
選択肢④について、「出荷のために対象物の数量を確認する」のは、作業者工程分析の検査にあたります。なお、作業工程分析では、数量検査と品質検査は分かれておらず、どちらも検査となります。よって選択肢④は不適切です。 これらから、作業工程分析の作業に分類されるのは、2個となります。よって、解答群の中でイが適切で正解となります。
PTS法【平成30年 第15問】
新製品を組み立てるための標準時間をPTS(Predetermined Time Standard)法を利用して算定することにした。標準時間を設定するための準備に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a PTS 法で算定された標準時間を組立作業を行う作業者の習熟度に応じて調整するために、作業者の組立職場での就業年数を調査した。
b 設備による加工時間を別途付与するために、設備で試加工を実施して加工時間を計測した。
c 標準時間を見積もるための基礎資料を整備するために、既存製品の組立作業に対して時間分析を実施した。
d 試作品を組み立てるための模擬ラインを敷設して、製品組立の標準作業を決定した。
〔解答群〕
- aとb
- aとd
- bとc
- bとd
aですが、「標準時間を組立作業を行う作業者の習熟度に応じて調整する」という作業は、実際に観測した作業時間を正味時間に修正する「レイティング」のことです。例えば、作業が早い作業者を基に正味時間を設定してしまうと、標準時間としては相応しくないものになってしまいます。そのため、レイティング係数という数値を使って作業者による時間の個人差が生じないよう調整を行います。PTS法では、前述の通り細かく分解された微動作を基に標準時間を設定し、このレイティングの作業を行うことはありません。よって、aは不適切です。
cですが、「標準時間を見積もるための基礎資料を整備する」という作業は、直接時間を観測せずに、あらかじめ用意しておいた作業要素別の標準時間を合計することで、標準時間を合成する「標準時間資料法」という方法を指しています。これは、直接時間を観測せずに、標準時間を求めることができるものであり、毎回時間を観測する手間を削減するメリットがあります。PTS法では、前述の通り細かく分解された微動作を基に標準時間を設定しますので、標準時間資料法を用いて、既存製品の組立作業に対して時間分析を実施する必要はありません。よって、cは不適切です。
ワークサンプリング法(サンプル数の算出式) 【平成30年 第18問】
ある作業の出現率をワークサンプリング法を使って推定したい。出現率を信頼度 95%、相対誤差aで推定するために必要なサンプル数nは次式で与えられる。ここで、pは予備調査により予想された作業の出現率である。

このサンプル数nを絶対誤差eを用いて求める下記の計算式について、空欄に 入る最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕
ア
1- p
イ
p
ウ

エ
p(1-p)
サンプル数の算定では、出現率p自体の不確実性を織り込んでサンプル数を算出するものになりますから、相対誤差は出現率pのブレの程度となります。従って、絶対誤差e=相対誤差a×出現率pとなる点をしっかりとおさえておきましょう。
本問では、この式はe=α×pとなります。従って、相対誤差α=絶対誤差e/出現率pですのでこの式を、

のαに代入します。
すると

となります。

の分子と分母のpを消去すると

となります。
従って、選択肢エが適切です。
標準時間2 【平成29年 第10問】
標準時間に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア PTS法ではレイティングを行う必要はない。
イ 内掛け法では、正味時間に対する余裕時間の割合で余裕率を考える。
ウ 主体作業時間は、正味時間と余裕時間を合わせたものである。
エ 人的余裕は、用達余裕と疲労余裕に分けられる。
選択肢アについて、PTS法では、観測者の技能による個人差が結果に影響されやすく、レイティングの設定も難しいため、レイティングを行う必要はありません。よって選択肢アは適切です。
選択肢イについて、内掛け法では、正味時間に余裕時間を加えた標準時間に対して、余裕時間がどれくらいの割合なのかで余裕率を求めます。正味時間に対する余裕時間の割合で余裕率を求めるのは、外掛け法です。よって選択肢イは不適切で、これが正解です。
選択肢ウについて、主体作業時間は、正味時間と余裕時間を合わせたものになります。なお、作業全体の標準時間は、この主体作業時間と準備段取り時間を合わせて求めます。よって選択肢ウは適切です。
選択肢エについて、余裕は管理余裕と人的余裕に分けられます。
管理余裕は作業余裕と職場余裕、
人的余裕は用達余裕と疲労余裕にそれぞれ分けられます。
用達余裕とは水飲みやトイレなどの生理的欲求で発生する時間、疲労余裕とは作業者が疲労回復のために休憩する時間や疲労によって仕事が遅くなるために余計に発生する時間のことを言います。よって選択肢エは適切です。
ワークサンプリング法 【平成28年 第16問】
人の作業者が電気部品の組み立てを行っている工程でワークサンプリング法を実施した結果が下表に示されている。この実施結果から算出される「主体作業」と「職場余裕」の時間構成比率の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 主体作業:58% 職場余裕:11%
イ 主体作業:58% 職場余裕:12%
ウ 主体作業:70% 職場余裕:11%
エ 主体作業:70% 職場余裕:12%
主体作業
はんだ付け120
取付90
ねじ止め80
=290
職場余裕
手直し30
打ち合わせ19
朝礼12
=61
290/500=0.58
61/500=0.122
主体作業には、
主作業に分類される
「ハンダ付け」
「基盤への部品の取り付け」
「基盤のネジ止め」と、
付随作業に分類される
「組立作業完了後の製品検査(全数)」
が該当します。
職場余裕には
「部品不足による手待ち」
「打ち合わせ」
「朝礼」
が該当します。
ここから、主体作業及び職場余裕の度数の合計は、それぞれ以下の通りとなります。
主体作業 120 + 90 + 80 + 60 = 350
職場余裕 24 + 19 + 12 = 55
度数の合計が500であるため、主体作業及び職場余裕の度数の合計を500で割り、時間構成比率を計算します。
主体作業 350 ÷ 500 × 100 = 70%
職場余裕 55 ÷ 500 × 100 = 11%
よって、正解はウになります。