企業経営理論 事業戦略 現代の戦略

5つの競争要因 【平成22年 第10問】

 マイケル・ポーターは、競争戦略を策定する際に考慮すべき産業の利益率や競争に影響を与える要因として、下図の5つを指摘している。この図に関する説明として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。


ア 買い手への対応は、消費者のクレームや消費者行動の変化に対処しつつ、高いマージンに結びつく市場との良好な関係を構築することが重要である。〇

イ 供給業者については、資金や原材料の供給先や労働市場との交渉力の保持が重要であるので、そのためには特定の資源の供給者に強く依存することなく、常に代替的な資源の開発に取り組むなど外部への依存性が強くならないようにしておくことが重要である。〇

ウ 競争業者との戦いは、マージンの高いドメインに自社を位置づけて、そこでの防衛的な地位を保つために、徹底した差別化戦略を展開することが第一に重要である。×

エ 新規参入については、その可能性や参入を受けた場合の競争の変化を分析して、自社の市場への参入障壁をどのように築くことができるか、日ごろから注意しておかなければならない。〇

オ 代替品は、大きな技術の変化や消費者のニーズの変化によってこれまでにない新商品として登場し、既存の商品に取って代わる脅威になることがあるので、技術や市場のマクロなトレンドを見失わないように注意しなければならない。〇

新規参入の脅威 【平成22年 第9 問】

 企業は新規参入を阻止して競争激化を抑制しようとするが、他方では業界内部の類似する戦略をとる企業の間で戦略グループが形成され、それが企業の自由な戦略行動を抑制するように作用し始める。前者は参入障壁であり、後者は移動障壁である。これらの障壁と戦略の関係に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア ある技術に基づいて生産し販売される製品分野は、ライバル企業の間で製品の類似性が高くなるので、企業は顧客忠誠心やブランド力を高めてライバルとの差別化を図ることが重要になる。〇

 イ 業界特有の販売チャネルや仕入れルートを同業者間で強化することは、他社の参入を防ぐには有効である。〇

 ウ 業界内の競争を通じて形成された事業システムやマネジメント方式は、企業に戦略上の癖や慣性を生み出すので、企業が移動障壁に直面する事態にはならない。×

 エ 垂直統合や共同化は取引先への交渉力の強化や新たな技術の獲得には有効であるが、その縛りが強いと自社の戦略の成否が他社の戦略展開能力に影響されるようになる。

 オ 同業者間に共通する戦略課題について協調を維持すると、やがて戦略の類似性が強まり、新規な戦略の展開が困難になる。

業界構造分析 【平成30年 第5問】

 マイケル・ポーターによる業界の構造分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 価値連鎖(バリューチェーン)を構成する設計、製造、販売、流通、支援サービスなどの諸活動において規模の経済が働くかどうかは、その業界構造を決定する要因であり、多数乱戦(市場分散型)業界では、すべての諸活動において規模の経済性が欠如している。×
  2. 継続的に売り上げが減少している衰退業界においては、できるだけ早く投資を回収して撤退する戦略の他に、縮小した業界においてリーダーの地位を確保することも重要な戦略の 1 つである。〇
  3. 成熟業界においては、新製品開発の可能性が少なく、成長が鈍化するために、多くの企業は、プロセス革新や現行製品の改良に力を入れるようになり、企業間のシェア争いは緩やかになる。
  4. 多数乱戦(市場分散型)業界は、ニーズが多様であること、人手によるサービスが中心であることが特徴なので、集約・統合戦略は、この業界には適さない戦略である。

撤退障壁 【平成26年 第3問】

 業績が悪化している事業から撤退すべきであっても、なかなかそれができないのは、撤退を阻む障壁が存在するからである。そのような撤退障壁が生じている状況に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 自社の精神ともいうべき事案への創業者や従業員の思い入れが強く、現状で踏ん張らざるを得ない。〇

イ 生産過剰で収益率が悪化しているが、業界秩序を守る協定が存在しているので同業者数に変化はなく、市場競争は平穏である。×

ウ 撤退のための社内再配置等のコストがかさむので、撤退の判断が難しくなる。〇

エ 特定の業種しか利用できない資産のために清算価値が低く、それを移動したり流用しようとすると、そのためのコスト負担が新たに大きくのしかかる。〇

オ 不採算の陥っている事業であっても、他の事業との関連性が強いために、撤退すると他の事業の不利益を招き、自社の戦略上の強みを失いかねない。〇

戦略グループ【平成20年 第3問】

 競争を通じて、同業者は似通った戦略をとるグループを形成することがある。このような現象や成立の理由に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア ある製品分野の生産のために垂直統合を強めると、企業の生産体制や製品ラインは似通ってくるので、戦略グループが生まれやすくなる。〇


イ いったん戦略グループが形成されると、そのグループから他のグループヘの移動は難しくなりがちであるが、グループ内では競争関係は緩和される。×


ウ 顧客層と製品ラインの幅を考慮して、最適生産規模を追求したり、共通コストの節約を図ると、次第に一貫した戦略行動になるので、似通った企業の集団が生まれやすくなる。


エ 同一産業内に複数の戦略グループが存在することが少なくないが、これは市場の広がりと製品ラインの絞り込み等が異なるからである。


オ 同一産業内の戦略グループ間で収益が異なるのは、それぞれの戦略グループが直面する脅威と機会が異なるからである。

 業界競争と協業 【平成21年 第3問】

 業界の競争や取引関係は、限られた市場の争奪という側面ばかりではない。逆に市場を奪い合わずに自社の売り上げや利益を増やす関係になることもある。そのような状況に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 新しい駅ビルに、これまで以上に多様な小売業者の入店を図るとともに、映画館やアスレチック施設、さらに大学のサテライト教室なども入れて来客数を増やす。〇


イ ゲーム業界ではゲーム機器メーカーがゲームソフトを買い取ると同時にゲームの開発指導を行うため、ゲームソフト開発メーカーの起業が活発になり、業界の発展を促している。×


ウ コストダウンは自動車部品供給業者の利益を圧迫するが、それが自動車会社の販売力に結びつくと、自動車生産量を増加させることになるので、長期的に見れば供給業者に有利に働く。


エ 新製品の市場規模がまだ小さい場合、ライバル企業の参入によって当該製品をめぐって市場での競争が起こり、その結果その製品の市場は拡大する可能性をもつ。


オ 宅配業者がコンビニエンスストアを取次店とする集配を始めたので、コンビニエンスストア間の荷物発注客の増加をめざした競争は、宅配市場を掘り起こす効果をもたらした。

競争優位 【平成22年 第2問】

 どの業種にもいわゆる勝ち組と負け組が見られる。激しい競争にもかかわらず他社よりも優れた業績をあげている企業の特徴に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
 ア ある通信機器メーカーでは、生産を国内工場に集約して生産現場で厳格な品質管理体制をとり、堅牢な機器と先進的なデータ処理を売りに、顧客の信頼を得ながら業界水準よりも高い価格で売り上げを伸ばしている。


 イ ある町工場では単品物の受注に特化しているが、熟練を活かした加工技術を武器に、あらゆる注文に応えられる受注生産体制を敷いて、特定業種にこだわらない受注先を確保している。


 ウ 健康食品を製造販売しているある企業では、顧客からのダイレクトな注文や問い合わせに応えるべく、コールセンターの充実を図るとともに、それを基にした顧客データベースを活かして、逆に顧客への情報発信を行い、顧客との強い信頼関係の構築を目指している。


 エ 創業間もない中小化粧品メーカーでは、肌に潤いを与える希少な天然素材を活用した高価な基礎化粧品に絞り込んで、全国的な広告宣伝と大手百貨店や量販店への出店を目指している。×


 オ 激しい価格競争と急激な利益率低下のため大手の電子機器メーカーが撤退した市場で、ある中堅メーカーでは海外企業からの低価格な中間財の調達と自社が得意とする実装技術を活かして、実用本位の機能に絞り込んだ低価格製品で安定した売り上げを確保している。

競争戦略と持続的な競争優位 【平成29年 第7問】

 企業の競争戦略と持続的な競争優位に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 競争戦略の実行に不可欠な独自の経営資源を持ち、製品市場における規模の経済を実現できるのであれば、代替製品の脅威は事業の収益性に影響を与えず競争優位の源泉となる。×

イ 経路依存性のある経営資源は、模倣を遅らせることで市場における競争者の脅威から先発者を保護する。

ウ 顧客からの強い支持をうける製品差別化は、競合他社との間の競争に勝ち抜く手段である以上に、他社との競争を可能な限り回避できる自社市場構築の手段となる。

エ 差別化した製品と標準的な製品の機能的な差が小さくなるほど、差別化した製品を選好する顧客の割合は低下するが、標準的な製品よりも高い価格を設定し、差別化した製品で高い収益性を確保しようとする場合、できるかぎり多くの顧客を対象とすると戦略上の矛盾を生み出す。

オ スイッチング・コストの発生する状況では、買い手側は、現在使用する製品やサービスと他の代替的な製品・サービスと価格や機能が同じであったとしても、別のものとして見なす。

コスト・リーダーシップ戦略 【平成28年 第6問】

 企業が競争優位を獲得するための競争戦略のひとつであるコスト・リーダーシップ戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
 ア コスト・リーダーシップ戦略では、継続的に自社製品を購入する顧客を確保するために、ブランド・ロイヤルティを高めることが課題となり、企業の提供する付加価値が明確になっている。×


 イ コスト・リーダーシップ戦略は、市場成長率が安定してきて、製品ライフサイクルの成熟期以降に採用する戦略として適しており、企業が脱成熟をしていくうえで有益な戦略となる。×


 ウ コスト・リーダーシップ戦略は、多角化した企業において、シナジーの創出によるコスト削減を目指していく戦略であるので、事業間の関連性が高い企業の方が、優位性を得やすくなる。〇?


 エ コスト・リーダーシップ戦略を行う企業が、浸透価格政策をとると、自社の経験効果によるコスト低下のスピードは、競合他社よりもはやくなる。〇


 オ コスト・リーダーシップ戦略を行っている企業は、特定モデルの専用工場を建設し、生産性の高い設備を導入しており、新しい市場ニーズへも迅速に対応できる。×

差別化戦略 【平成24年 第5問】

 差別化戦略は競争者に対抗するための基本的戦略の1 つである。商品の属性と製品差別化に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
 ア 売り手の信用をもとに安全性を確認するような信用的な属性については、物理的な差異による製品差別化よりも広告や宣伝活動による製品差別化が有効である。〇


 イ 購入前に調べてみれば分かるような探索的な属性については、広告や宣伝活動による製品差別化よりも物理的な差異による製品差別化が有効である。〇


 ウ 実際の消費経験から判断できるような経験的な属性については、物理的な差異による製品差別化よりも広告や宣伝活動による製品差別化が有効である。×


 エ 製品差別化は特定の売り手の製品に関する買い手の主観的な判断をベースとしている。〇

価値連鎖と垂直的統合 【平成25年 第6問】

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

①企業の価値連鎖の中の活動にどこまで携わるかによって、垂直統合の程度は異なる。垂直統合は、企業が経済的な取引を管理・統治する重要な方法であるが、企業によっては活用可能な管理・統治のための選択肢のひとつにすぎない。

文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 企業が価値連鎖の中で携わる活動の数は一定で安定する必要があるが、価値連鎖上で高付加価値を生み出している活動は垂直統合に適している。×

イ 企業が価値連鎖の中で携わる活動の数は一定で安定する必要があるが、清涼飲料水の生産者が独立したフランチャイジーだったボトラーと戦略的な提携を始めるように前方垂直統合を行う例もある。×

ウ 企業が価値連鎖の中で携わる活動の数はその増減から垂直統合度は推測できないが、価値連鎖で統合されている活動に関する情報開示があれば垂直統合度のおおよその見当はつく。×

エ 自社の境界外に当該事業にかかわる価値創出活動の多くを出している企業は売上高付加価値率が低く、垂直統合度は低いレベルにある。〇?

バリュー・チェーン 【平成28年 第8問】

 競争優位の源泉を分析するには、バリュー・チェーン(価値連鎖)という概念が有効である。バリュー・チェーンに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 差別化の効果は、買い手が認める価値と、自社のバリュー・チェーンのなかで作り出した特異性を生み出すためのコストが同水準になった時に最大化する。×

イ バリュー・チェーン内で付加価値を生み出していない価値活動に関して、アウトソーシングなどによって外部企業に依存する場合、企業の競争力を弱めてしまう。×

ウ バリュー・チェーンの各々の価値活動とともに、それらの結び付き方は、企業の独特な経営資源やケイパビリティとして認識することができる。〇

エ バリュー・チェーンの全体から生み出される付加価値は、個別の価値活動がそれぞれ生み出す付加価値の総和であり、各価値活動の部分最適化を図っていくことが、収益性を高める。×

 競争地位別の戦略 【平成24年 第6問】

 企業は自社の業界における相対的な地位を踏まえて競争戦略を展開することが重要である。そのような競争戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア チャレンジャーは、リーダーの高い技術力が生み出した差別化された製品と同質な製品を販売し、リーダーの差別化効果を無効にすることを狙うべきである。×

イ ニッチャーは特定の市場セグメントで独自性を発揮できる戦略を遂行して、強い市場支配力を狙うことが必要である。〇

ウ フォロワーは特定市場でリーダーの製品を模倣しつつ、非価格競争によって収益をあげることが基本戦略になる。

エ ライバル企業に比べて技術力や生産能力に劣るニッチャーの場合、価格競争に重点をおいた販売戦略を幅広い市場で展開することが重要になる。

オ リーダーは周辺の需要を拡大することによって、売り上げの増加や市場シェアの拡大を図ることができるが、その反面で新製品の投入を遅らせてしまうことになる。

タイムベース競争 【平成27年 第5問】

 どのようにして早く競争力のある製品を開発し、市場に供給するか、という時間をめぐる競争は「タイムベース競争」と呼ばれるが、タイムベース競争に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 製品開発では、最初に製品を生産・販売することにより、企業のブランドを一般名詞のように使うことで顧客の頭の中に刷り込み、商品選択の際に有利となるような先発者の優位性が生じる。〇

イ 製品開発では、最初に製品を生産・販売することで競合他社よりも早期に量産化し、大規模生産による経験効果を連続的に享受できるような先発者の優位性が生じる。×

ウ タイムベース競争の効果は、開発から生産・販売までのリードタイムの短縮による販売上の機会損失の発生の防止にも現れる。

エ タイムベース競争の効果は、工場での生産リードタイムの短縮による原材料費の削減によって、原材料購入にかかわる金利の削減にも現れる。

オ タイムベース競争の効果は、顧客ニーズに俊敏に対応することで価格差を克服し、結果的に競合他社よりも高い利益率を実現することにも現れる。

経験効果と規模の経済性【令和元年 第7問】

 経験効果や規模の経済に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 経験効果に基づくコスト優位を享受するためには、競合企業を上回る市場シェアを継続的に獲得することが、有効な手段となり得る。〇
  2. 経験効果は、ある一時点での規模の大きさから生じるコスト優位として定義されることから、経験効果が生じる基本的なメカニズムは、規模の経済と同じである。
  3. 生産工程を保有しないサービス業では、経験効果は競争優位の源泉にならない。
  4. 中小企業では、企業規模が小さいことから、規模の経済に基づく競争優位を求めることはできない。
  5. 同一企業が複数の事業を展開することから生じる「シナジー効果」は、規模の経済を構成する中心的な要素の1つである。

イノベーション 【平成20年 第7問】

 技術イノベーションと戦略の関係に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 開発時の技術が顧客の支持を受けるほど、その後の技術発展の方向が制約されやすく、技術分野が固定化されて企業の競争優位が失われていく。〇?

イ 技術優位と市場ニーズが合致するとは限らないので、高機能の先端技術製品が技術的に劣る製品に敗れるという「ダーウィンの海」と呼ばれる現象がしばしば起こる。〇?

ウ 自社技術の拡散スピードが速い場合、技術優位性は守りにくくなるが、先発者利得を獲得したり、累積生産量を大きくして製品の差別化を持続的に確立することができる。×

エ 市場ニーズに適合的な技術に基づく製品は、企業の成長に貢献すればするほど、革新的な技術の製品が新しい市場を築き始めると、急速に市場を失うことがある。〇

オ 部門内に蓄積された大量の情報や暗黙知などは、技術部門と営業部門の交流を阻むので、市場ニーズから遊離した製品が開発されやすくなる。〇?

 製品アーキテクチャ【令和元年 第11問】

 製品アーキテクチャは、製品を構成する個々の部品や要素の間のつなぎ方や製品としてのまとめ方であり、部品(要素)間の相互依存性の程度によって、インテグラル型とモジュラー型の2つに分類される。「a 乗用車」、「b 大型旅客機」、「c デスクトップパソコン」、「d 業務用複合機(コピー機)」の4つの領域において、現在の市場で主に取引されている製品を想定した場合、それぞれインテグラル型、モジュラー型のいずれに該当するか。下記の解答群から、最も適切なものの組み合わせを選べ。

〔解答群〕

  1. a:インテグラル型〇 b:インテグラル型〇 c:インテグラル型 d:モジュラー型
  2. a:インテグラル型〇 b:インテグラル型〇 c:モジュラー型〇 d:インテグラル型〇
  3. a:モジュラー型  b:インテグラル型 c:モジュラー型 d:モジュラー型
  4. a:モジュラー型  b:モジュラー型  c:インテグラル型 d:インテグラル型
  5. a:モジュラー型  b:モジュラー型  c:モジュラー型 d:インテグラル型

デファクト・スタンダード 【平成27年 第6問】

 デファクト・スタンダードに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 自社規格がデファクト・スタンダードとなるためには、競合企業に対して規格をオープンにし、協定を締結することが必要となる。×

イ 自社規格がデファクト・スタンダードとなるためには、公的な標準化機関の認定を必要としない。〇

ウ デファクト・スタンダードとなる規格が登場することによって、多くの企業が同一規格の製品を販売し、機能面での差別化競争や安さを売りにした低価格競争が激化することがある。〇

エ デファクト・スタンダードとなる規格の登場は、市場の導入期から成長期への移行を加速させる〇

投資事業有限責任組合、ベンチャーファンド 【平成29年 第9問】

 成長をめざす中小企業にとって外部資金の獲得は欠かせない。中小企業への資金提供に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 中小企業へ投資する投資事業有限責任組合では、業務執行を伴わない組合員は、その出資額を限度として組合の債務を弁済する責任を負う。〇

イ 中小企業へ投資する投資事業有限責任組合では、組合の業務を執行する者は有限責任組合員である。〇?×業務を執行する者は無限責任

ウ ベンチャーキャピタルは、株式を公開していない経営課題を抱える中小企業に対して、新株と引き換えに事業成長のための資金を潤沢に提供することを通じて中小企業の企業価値を高める。〇

エ ベンチャーキャピタルは、役員派遣や経営のモニタリングをすることによって、有望な中小企業に投資した資金を、新規株式公開や M&Aを通じて回収する可能性を高める。〇

オ ベンチャーキャピタルは、有望な中小企業に対して、本体や他のベンチャーキャピタルが運用するファンドを通じた投資と本体の自己資金を原資とした投資のスタイルで、中小企業の企業価値を高める。〇

オープン・イノベーション 【平成28年 第4問】

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 現代の企業にとって、外部組織との連携の活用は、事業の競争力を構築するための主要な経営課題となっている。ヘンリー・チェスブロウは「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること」をオープン・イノベーションと定義した。技術や市場の変化の激しい経営環境では、経営資源の制約のある中小企業にとっても、新商品開発でのオープン・イノベーションの必要性は小さくない。オープン・イノベーションにはメリットとデメリットがあり、オープン・イノベーションによる競争力の構築にあたっては、経営者の戦略的な判断が問われる。自動車産業での密接な企業間関係に見られるように、日本企業も企業外部の経営資源の活用に取り組んできた。近年では、大学や公的研究所などの研究組織との共同開発に積極的な取り組みをする企業も増えている。

 文中の下線部の「オープン・イノベーションにはメリット」があることに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア オープン・イノベーションは、企業外部の経営資源の探索プロセスにおいて、内部での商品開発に対する競争圧力が強くなり、組織の活性化につながる。〇


イ オープン・イノベーションは、企業内部の優れた人材に限らず、企業外部の優秀な人材と共同で新商品開発を進めればよく、内部での開発コストの低減が期待できる。×〇


ウ オープン・イノベーションは、研究開発から事業化・収益化までのすべてのプロセスを企業内部で行う手法の延長上に位置付けられるが、企業内部の経営資源の見直しに左右されずに進捗する。×


エ オープン・イノベーションは、一般的により高い専門性をもつ企業との連携などによって新商品開発プロセスのスピードアップにつながる。〇

ベンチャー企業の直面する障壁 【平成30年 第12問】

 技術開発型ベンチャー企業が起業から事業展開で直面する障壁には、通常、以下 の【A欄】にあるダーウィンの海、デビルリバー(魔の川)、デスバレー(死の谷)と呼ばれるものがある。これらの障壁は【B欄】のように説明できるが、その回避には 【C欄】に例示したような対応策が求められる。【A欄】のa〜cに示された障壁名、【B欄】の①〜③に示された障壁の内容、【C 欄】の1〜3に示された対応策の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答 群から選べ。

【A:障壁名】

a ダーウィンの海

b デビルリバー

c デスバレー

【B:障壁の内容】

① 応用研究と商品開発ないし事業化との間に存在する資金や人材の不足などという障壁

② 開発商品を事業化して軌道に乗せる際、既存商品や他企業との激烈な競争に直面するという障壁

③ 技術シーズ志向の研究のような基礎研究からニーズ志向の応用(開発)研究に至る際の障壁

【C:対応策】

1 大手企業とのアライアンスやファブレス生産に取り組み、生産、販売、マーケ ティング、アフターサービスが一体となった体制などによって回避を試みる。

2 基礎技術や高い要素技術を必要とする領域は大学に任せ、TLOを活用して連携を積極的に行うことなどによって回避を試みる。

3 所有している特許権や意匠権などの知的所有権のうち、一部の専用実施権を第三者企業に付与することや、社内プロジェクトメンバーについての担当の入れ替え、メンバーの権限付与の見直しなどによって回避を試みる。

〔解答群〕

ア a-①-2×  b-②-3  c-③-1

イ a-②-1〇  b-③-2〇  c-①-3〇

ウ a-②-3〇  b-①-2×  c-③-1

エ a-③-2×  b-①-1  c-②-3

オ a-③-3×  b-②-1  c-①-2

アライアンス 【平成21年 第17問】

 イノベーションを目的とするアライアンス関係の代表的な形態には、下請関係、ライセンシング、コンソーシアム、ジョイントベンチャーなどがあり、それぞれ長所と短所を持っている。これらのアライアンス関係に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア コンソーシアムは、基礎研究のように不確実性の高い場合に、複数の企業が共同出資することで投資リスクを低くする効果を持っているが、コンソーシアム解散後の企業間の差別化が困難になるという問題を持つ。?〇×コンソーシアムとは、2 つ以上の個人や企業等から成る共同体・共同事業体のことで、共同で特定の目的のために活動 テーマが基礎研究である場合は、製品化については、それぞれの企業が独自に行うため、「差別化が困難になる」とは言えません。


イ 下請関係は製品製造コストの削減には有効であるが、新製品の開発や技術革新については取引コストが高くついてしまう。×〇?×下請関係は、通常、強固な信頼関係に支えられており、親企業から下請企業に対する技術支援や生産方法の改善指導なども行いやすく、「取引コストが高くつく」とはいえません。


ウ ジョイントベンチャーは、比較的長期にわたり同質的な技術をもつ企業同士が提携することであるが、組織文化の対立などによってコントロールを失う可能性もある。×合弁事業では、お互いに不足している技術を持ち寄ることができるのがメリットです。


エ ライセンシングは、短期間に技術を獲得するのに有効であるが、獲得した技術を自社が自由に利用する権利が制約されるリスクがある。〇ライセンシングは、特許や商標などの知的財産権やノウハウなどを別の企業に提供し、その対価としてライセンス料を受け取る契約

読書として2020年版小規模企業白書を読めました。全体として取組事例が多く試験対策としてはほぼカバー済に思えました。また、メールマガジンで紹介された20年度女性合格者の動画を見れました。昨年この掲示板で書き込みされてた方かなと思ったりしました。

2021年03月07日 (日) の学習履歴
4時間20分
過去問セレクト講座-1次試験全科目セット[2021年度試験対応]58分25秒(1レッスン終了)
科目1 企業経営理論58分25秒
過去問セレクト演習-1-3 事業戦略33分50秒 15/15点
過去問セレクト演習-1-4 現代の戦略24分35秒
スマート問題集-1次試験全科目セット [2021年度試験対応]58分55秒(1レッスン終了)
科目1 企業経営理論58分55秒
スマート問題集:1-4 現代の戦略58分55秒 15/15点
その他の学習履歴2時間23分
問題集43分00秒
テキスト・書籍1時間15分
その他25分00秒
中小企業診断士
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バルサ

私もその方の動画見ました。なんかサクッと合格されたようなお話しぶりでしたね。後に続きたいものです。
いいね! 1 コメント1 2021年03月08日
SHOW

聡明そうな方でしたねぇ。まるでスタディングの宣伝の様なスマート学習話でしたが、育児しながらの勉強は凄まじかったでしょうから私も見習って後に続きます。
いいね! コメント 2021年03月08日

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