企業経営理論 組織の構造 組織と人材 経済学・経済政策 貨幣市場とIS-LM分析

組織の均衡

 組織の均衡に関する説明として、最も適切なものはどれか。


ア バーナードは、組織が成立するためには、共通の目的、誘因、コミュニケーションの3つが成立しなければならないとした。×C.Iバーナードは、組織を2人以上の人々の意識的に調整された活動や諸力の体系と定義し、近代管理論を提唱しました。彼は、公式組織フォーマル組織)が成立するためには、共通の目的貢献意欲コミュニケーションの3つが成立しなければならないとしました。貢献意欲であって、誘因ではありません。なお、公式組織とは、一定の目的を達成するために意識的、人為的に形成された組織のことをいい、具体的には、企業などのことです。

イ バーナードは、組織が存在するためには、有効性と効率性の両側面を達成することが必要であると主張した。×バーナードは、組織が存在するためには、有効性と能率の両側面を達成することが必要であると主張しました。有効性とは組織の目的達成度のことをいい、能率とは個人的動機の満足度のことをいいます。一つは、能率であって、効率性ではありません。ここでの有効性や能率という用語は、日常会話で使うものとは意味が異なります

ウ 個人の協働システムとして組織を認識し、組織を、個人間の相互作用が共通の目的に対して継続的になされるシステムとして捉える考え方を、クローズド・システムという。×バーナードは、個人の協働システムとして組織を認識し、組織を、個人間の相互作用が共通の目的に対して継続的になされるシステムとして捉えました。このような捉え方を、システム・アプローチといいます。

エ 組織の均衡条件は、組織のメンバーにとって誘因が貢献以上になっている状態である。〇

組織の設計原則

 組織の設計原則に関する次の文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


 組織を設計するには、次の5つの原則がある。すなわち、仕事を分業化することにより専門性を高め、仕事の効率を向上させるという専門化の原則、組織の各メンバーの権限と責任は等しくなければならないという( A )、1人の管理者の下には、適正な人数のメンバーを配置する必要があるという( B )、メンバーは1人の直属の上司から命令を受け、それ以外の人からは命令を受けないという( C )、管理者は定型的な業務の意思決定を下位に権限委譲し、戦略的な業務の意思決定に専念するという( D )である。


ア 
A:権限・責任一致の原則〇 B:統制範囲の原則
C:命令一元化の原則〇 D:例外の原則〇

イ 
A:権限・責任一致の原則〇 B:統制範囲の原則
C:例外の原則 D×: 意思決定の原則

ウ 
A:権限・責任一致の原則〇 B:適正規模の原則
C:指揮命令の原則 D:業務範囲の原則

エ 
A:組織権限の原則 B:適正規模の原則
C:指揮命令の原則 D:管理者の原則

組織を設計するには、次の5つの原則があります。

専門化の原則

 仕事を分業化することにより専門性を高め、仕事の効率を向上させる

権限・責任一致の原則

 組織の各メンバーの権限と責任は等しくなければならない

統制範囲の原則

 1人の管理者の下には、適正な人数のメンバーを配置する必要がある

命令一元化の原則

 メンバーは1人の直属の上司から命令を受け、それ以外の人からは命令を受けない

例外の原則権限委譲の法則

 管理者は定型業務の意思決定を下位に権限委譲し、例外的な意思決定に専念する。なぜなら、管理者が定型業務に忙殺されてしまうと、会社にとって重要な戦略的な意思決定が後回しになってしまうからです。

 H.ファヨールは、管理教育の拠所として、分業、権限・責任、規律、命令の一元性、指揮の一元性、個人的利益の全体的利益への従属、従業員の報酬、権限の集中、階層組織、秩序、公正、従業員の安定、創意、従業員の団結の14の管理原則を提唱しました。

ラインとスタッフ

 ラインとスタッフに関する説明として、最も適切なものはどれか。


ア スタッフとは経営の主活動を表す職能のことをいい、ラインとはスタッフを支援する職能のことをいう。×ラインとは、経営の主活動を表す職能のことをいいます。これに対して、スタッフとは、ラインを支援する職能のことをいいます。ラインとは、命令をする・命令を受けるという関係にある者をいい、スタッフとは命令をせず助言・勧告を行う者をいうという説明がされる場合もあります。

イ ライン組織には、一人の上司からのみに命令を受けるため、命令の一元化を図ることができるというメリットがある。×〇ライン組織直系組織)とは、ライン関係だけで構成されている組織のことをいいます。ライン組織には、一人の上司からのみに命令を受けるため、命令の一元化を図ることができるというメリットがあります。一方で、専門性が脆弱となるというデメリットがあります。

ウ ライン組織は、組織の5つの設計原則のうち、専門化の原則を追求することと整合した組織である。〇×ライン組織は一人の上司からのみに命令を受けるため、組織の5つの設計原則やH.フェイヨールの主張した14の管理原則のうち、命令の一元化の原則を追求することと整合した組織であるといえます。専門化の原則を追求することと整合した組織ではありません。

エ ライン・アンド・スタッフ組織には、命令の一元性を図るため、専門性を確保することができないというデメリットがある。×ライン・アンド・スタッフ組織とは、ラインの命令系統とスタッフの助言機能を持つ組織のことをいいます。これには、命令の一元性を図りつつ、専門性を確保することができるというメリットがあります。スタッフによる助言・勧告があるので、専門性を確保することができないわけではありません。一方で、ラインとスタッフの対立が起こることがあるというデメリットがあります。

機能別組織

 機能別組織に関する説明として、最も適切なものはどれか。


ア 機能別組織とは、専門的知識・技能を要求する機能を担当する複数の上司から,それぞれの機能に関して指揮・命令を受ける組織形態のことをいう。×機能別組織とは、組織区分に購買、製造、販売などの企業の機能(職能)を基準にして水平的に部門化した組織形態のことをいいます。これは、職能別組織機能部門制組織職能部門制組織と呼ばれることもあります。専門的知識・技能を要求する機能を担当する複数の上司から,それぞれの機能に関して指揮・命令を受ける組織形態は、機能式組織(ファンクショナル組織)のことです。

イ 機能別組織は、分権的な管理組織であり、トップから大幅な権限が下位の従業員に委譲される。×機能別組織は、集権的管理組織です。ピラミッド型の階層構造なので、分権的管理組織ではありません。

ウ 機能別組織には、機能ごとに専門性の高い人材が配置されるので、専門性が確保されるというメリットがある。〇機能別組織には、専門性が確保されるというメリットがあります。さらに、集権的な管理組織であるため、同質的環境下では能率的であるというメリットもあります。

エ 機能別組織には、分権的な管理組織であるため、環境の変化に対応しやすいというメリットがある。×機能別組織には、集権的な管理組織であるため、環境の変化に対応しにくいというデメリットがあります。分権的な管理組織であるため、環境の変化に対応しやすいというわけではありません。分権的な管理組織であるため、環境の変化に対応しやすいのは、事業部制組織です。

事業部制組織

 事業部制組織に関する説明として、最も不適切なものはどれか。


ア 事業部制組織とは、独立採算のプロフィットセンターとして機能する事業部を持つ組織形態のことをいう。×〇事業部制組織とは、独立採算のプロフィットセンター事業利益単位)として機能する事業部を持つ組織形態のことをいいます。複数の製品や事業ごとに部門化して、会社の中にあたかも小さな会社のような事業部を設置し、各事業部を独立採算のプロフィットセンターとして機能させるものです。これは分権的な管理組織です。

イ 事業部制組織は、事業部、本社機構、事業部をサポートするコストセンターであるスタッフ部門から構成される。×〇事業部制組織は、利益の稼ぎ手でプロフィットセンターとして機能する事業部、事業部を管理したり企業全体の経営を行ったりする本社機構、事業部をサポートするコストセンターであるスタッフ部門から構成されます。ここで、プロフィットセンターとは、自ら事業を行い、利益を生み出す事業利益単位のことをいい、コストセンターとは、総務部、経理部、人事部などのような利益責任を課されないスタッフ業務部門のことをいいます。

ウ 事業部制組織には、各事業部は現場の状況に迅速に意思決定することができるというメリットがある。〇事業部制組織はトップマネジメントから事業部に対して事業運営に関する権限の委譲がなされた分権的な組織であるため、環境変化に対する適応力が高く、各事業部は現場の状況に迅速に意思決定することができます(事業部における迅速な意思決定)。この他に、事業部制組織には、次のようなメリットがあります。まず、事業部に対して事業部に関する全般的な権限を委譲することにより、トップマネジメントは戦略的な意思決定に専念することができます(トップマネジメントの戦略的意思決定)。続いて、トップ・マネジメントから事業部に対して事業運営に関する権限の委譲がなされるため、将来の経営者として人材育成を図ることができます(管理者の育成)。さらに、事業部に利益追求やコスト意識が高まり、社内に競争意識が生じ、活性化します(競争原理による活性化)。

エ 事業部制組織には、同じ機能を持つものが各事業部にできるので、経営活動が効率的になるというメリットがある。×事業部制組織には、同じ機能を持つものが各事業部にできるので、多重投資となり、経営活動が非効率的になるというデメリットがあります(多重投資による非効率性)。効率的になるというわけではありません。この他に、事業部制組織には、次のようなデメリットがあります。まず、事業部間での人事交流が少なく、事業部間でのセクショナリズムが生じやすいです(セクショナリズム)。次に、事業部ごとの利益追求が、会社全体の利益にかなうものとはならない可能性があります(合成の誤謬)。

カンパニー制

カンパニー制に関する説明として、最も不適切なものはどれか。


ア カンパニー制は、組織を機能別に部門化して、それぞれの機能部門に包括的な裁量権を移譲した分権的な組織形態である。×カンパニー制とは、事業部を発展させたもので、事業部にあたる組織をさらに分権化するために、カンパニーという独立した企業に近い組織として、社内分社化したものをいいます。組織を機能別に部門化して、それぞれの機能部門に包括的な裁量権を移譲したものではありません。

イ 事業部がプロフィットセンターであるのに対し、カンパニーは、インベストメントセンターである。〇インベストメントセンターとは、権限の委譲が大幅に進んだ事業部制組織であり、擬似仮想的な独立子会社(カンパニー)とみなされて本社から資本金が割り当てられ、独立した期間損益計算を行い、本社に対して利益配当を行う組織単位のことをいいます。事業部はプロフィットセンターでしたが、カンパニーは、インベストメントセンターとなります。インベストメントセンターでは、損益計算書だけでなく、貸借対照表にも責任を持ちます。貸借対照表の別名はバランスシートですので、バランスシート経営と呼ばれることもあります。

ウ 事業部が利益責任はあるものの設備投資などの資金を握っているのは本社であるのに対し、カンパニーでは、設備投資の資金をカンパニーで管理し、投資の意思決定をする。〇事業部では利益責任はありますが、設備投資などの資金を握っているのは本社です。これに対し、包括的な権限が委譲されているカンパニーでは、設備投資の資金をカンパニーで管理し、投資の意思決定をしていきます。また、カンパニーのトップはプレジデントと呼ばれ、擬似的な企業の社長としてカンパニーを経営します。

エ カンパニー制には、各カンパニーは現場の状況に迅速に意思決定することができるというメリットがある。〇カンパニー制のメリットは、カンパニーの経営責任が明確になるということです。カンパニーには大きな権限もあるかわりに、大きな経営責任も生じます。責任を明確にすることでしっかりした業績管理を行い、業績の向上を狙います。この他に、カンパニー制には、次のようなメリットがあります。まず、カンパニーは投資の権限も持っていることから、事業に関する意思決定が迅速に行えることになります。これは、投資に本社の承認を待つ必要がないため意思決定が早くなるということです。次に、プレジデントの起業家精神を高めて、経営者を育成することができます。

持株会社

持株会社に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 持株会社には純粋持株会社と事業持株会社がある。〇純粋持株会社は、事業持株会社が本社の事業を全て子会社化したものということができます。

イ 持株会社は、他の株式会社の経営権を握る目的で、その会社の株式を保有する会社である。〇純粋持株会社は買収等で傘下企業にすることにより、事業の多角化が容易にできます。

ウ 持株会社とカンパニー制は、いずれも社内分社化されたものである。×カンパニー制は社内分社化されたものですが、持株会社は社内分社化ではなく、それぞれの事業を会社として独立させます。

エ 持株会社傘下の事業会社はそれぞれ貸借対照表、損益計算書を作成する。〇それぞれが法人格を有した企業なので、財務諸表は個別に作成されます。

持株会社は以下のように2つに大別されます。

  • 自ら事業を行い、かつ傘下の事業会社のガバナンスを行う「事業持株会社制
  • 自らは事業を行わず、傘下の事業会社のガバナンスに専念する「純粋持株会社制

 純粋持株会社では、企業グループ全体の戦略、企画の立案などに専念します。傘下の子会社は、それぞれの事業に専念します。

【カンパニー制との違い】

カンパニー制が疑似的に会社を社内分社するため、個々のカンパニーの財務諸表は公表されません。一方、持株会社制は、各事業会社が法人格を有するため、それぞれ財務諸表が作成され、カンパニー制よりも明確な投資リターンを示すことが可能です。

マトリクス組織

 マトリクス組織に関する説明として、最も不適切なものはどれか。


ア マトリクス組織は、機能別組織と事業部制などの二元的な部門化基準により編成される横断的組織のことで、二つの命令系統を持つ。〇

イ マトリクス組織とは、新規事業進出などの特定の目的を達成するために、いくつかの関連分野から組織横断的にメンバーを選抜し、所属を臨時的に移して活動する組織のことをいう。×新規事業進出などの特定の目的を達成するために、いくつかの関連分野から組織横断的にメンバーを選抜し、所属を臨時的に移して活動する組織は、プロジェクトチームのことです。これには、集権的な組織の中に部分的に分権的な組織を取り入れることができるというメリットがあります。

ウ マトリクス組織には、経営資源を効率的に活用することができるというメリットがある。〇マトリクス組織は、製品、職能、地域などにより二元的な管理を行う組織なので、経営資源を効率的に活用することができます。また、二元的な命令系統を持つので、組織の情報処理能力と環境適応能力が向上するともいわれています。

エ マトリクス組織には、命令系統の二元化により組織構成員の混乱が生じるおそれがあるというデメリットがある。〇マトリクス組織では、一人の組織構成に対して二人のボスが相反する命令をした場合、命令系統の二元化により組織構成員の混乱が生じるおそれがあります。

マトリクス組織とは、機能別組織と事業部制などの二元的な部門化基準により編成される横断的組織のことをいいます。これは、二つの命令系統を持つので、ワンマンツーボスシステムとも呼ばれます。

〈特 徴〉 ワンマンツーボスのシステム

〈メリット〉 機能別組織と事業部制などの2つのメリットを同時に得られる、人材を共有して有効活用できる

〈デメリット〉命令系統が不明確になりやすい、管理者の間で意見の対立や権力争いが起きやすい

 マトリクス組織は、2つの部門化基準、2つの命令系統があるという点に注目

組織のコンティンジェンシー理論

 組織のコンティンジェンシー理論に関する説明として、最も適切なものはどれか。


ア 組織のコンティンジェンシー理論とは、外部環境により最適な組織構造は異なるという理論のことをいう。〇コンティンジェンシー(「偶然性」「不確実性」「偶発事件」や「不慮の事故」などの意味をもつ言葉)理論とは、組織は唯一普遍的な組織形態を持つわけでなく、組織の置かれている環境や状況よって最適な組織形態が変わってくるという理論のことをいいます。

イ バーンズとストーカーは、安定した産業では柔軟な組織が向いており、不安定な産業では、官僚的組織が向いていると指摘した。×T.バーンズとG.M.ストーカーは、安定した産業では官僚的組織が向いており、不安定な産業では、より柔軟な組織が向いていると指摘しました。バーンズとストーカーは、1950年代から1960年代にかけてエレクトロニクス企業15社の事例研究から、次の組織構造の2つのタイプを発見し、最もよく環境に適合する組織構造は環境状況によって異なると主張しました。機械的システムとは、高度に構造化され、集権的で、官僚制のような特性を持った組織構造のことで、これは安定的な環境下で好業績をおさめます。これに対して、有機的システムとは、組織構造がルーズで、分権的で、コミュニケーションが活発で、文書によらない課業の遂行や柔軟な課業配分などの非官僚制的な特性を持った組織構造のことで、これは、不安定な環境下で好業績をおさめます。

ウ ローレンスとローシュは、安定的な環境における組織が業績を向上させるためには、不安定な環境における組織に比べて、より分化と統合の2つの機能を併せ持っている必要があると指摘した。〇×P.R.ローレンスとJ.Wローシュは、不安定な環境に置かれている組織が業績を向上させるためには、分化と統合の2つの機能を併せ持っている必要があると指摘しました。不安定な環境における組織が業績を向上させるためには、安定的な環境における組織に比べて、より分化と統合の2つの機能を併せ持っている必要があるとしたのです。つまり、分化して専門化をしていくことで効率を高め、その際に発生するコンフリクトを解決するための高度な統合機能を持つ必要があるということです。ローレンスとローシュは、課業環境の不確実性の程度が異なると有効な組織特性も異なると主張したのです。彼らの考え方によると、課業環境がより不確実で多様なケースだと、より分化が進展し、部門間の組織特性の差異の程度が高くなり、より強力な統合がなされ、組織全体の共通目的達成のための協働を促す力が働くことになります。

エ 不確実な環境に対応するには、処理する情報を増やすか、情報処理能力を減らすような対応が必要である。×不確実な環境に対応するには、処理する情報を減らすか、情報処理能力を増やすような対応が必要です。処理する情報を増やすか、情報処理能力を減らすのではありません。処理する情報を減らすためには、スラック資源、つまり余分な資源を持っておく方法や自己完結型の組織にする方法があります。情報処理能力を増やすためには、横断的な組織を設ける方法や情報処理システムを整備する方法があります。

組織のコンティンジェンシー理論とは、外部環境により最適な組織構造は異なるという理論のことをいいます。つまり、状況によって最適な組織構造は異なることを示した理論です。

 組織のコンティンジェンシー理論の主なものに、次のものがあります。

●T. バーンズとG.M.ストーカー機械的システムと有機的システム

 安定した産業では官僚的組織が向いており、不安定な産業では、より柔軟な組織が向いている

●P.R.ローレンスとJ.W.ローシュ課業環境と組織構造の関係

 不安定な環境に置かれている組織が業績を向上させるためには、分化と統合の2つの機能を併せ持っている必要がある

 不確実な環境に対応するためには、次のような方法があります。

処理する情報を減らす

 スラック資源を持っておく方法

 自己完結型の組織にする方法

情報処理能力を増やす

 横断的な組織を設ける方法

 情報処理システムを整備する方法

組織スラック

 組織スラックに関する説明として、最も適切なものはどれか。


ア 組織スラックにより、従業員は組織からスピンオフしやすくなる。×組織スラックを利用することにより、企業は従業員の「貢献」を上回る「誘因」を与えることができ、従業員を組織に繋ぎとめることができます。従業員が組織からスピンアウトしやすくなるのではありません。

イ 組織スラックにより、コンフリクトが生じやすくなる。×企業内での対立や企業と利害関係者間における対立を解消するためには、多くの経営資源が必要とされますが、このような場合に、組織スラックが活用されます。このように、組織スラックはコンフリクト解消のための資源となります。コンフリクトが生じやすくなるのではありません。

ウ 組織スラックには、組織を不安定にする側面がある。×例えば、企業が原材料や部品の在庫保有量を増やせば、サプライヤーの急な納期の延長に対応することができ、急な需要の増加に対処することもできます。このように、組織スラックはワークフロー・プロセスにおける緩衝材としての機能を果たすため、組織の安定に寄与します。組織を不安定にするのではありません。

エ 組織スラックは、イノベーションを生み出す資源となりうる。〇組織スラックを革新のための源泉とすることによって、イノベーション(革新)を生み出すことができます。このように、組織スラックはイノベーションの促進という役割を果たすことができます。したがって、組織スラックは、イノベーションを生み出す資源となりうるものといえます。

●戦略的行動やイノベーションの促進

 組織スラックを革新のための源泉とすることによって、イノベーション(革新)を生み出すことができます。

 企業が組織スラックを活用することによって起こす革新のことを、スラック革新

資源依存モデル

 資源依存モデルに関する説明として、最も適切なものはどれか。


ア 資源依存モデルによると、組織は、外部の組織に資源を依存している度合いが弱ければ弱いほど、自由裁量が制限される。×資源依存モデルは、組織が外部組織から自由裁量が制限される状況を表します。資源依存モデルによると、組織は、外部の組織に資源を依存している度合いが強いほど、自由裁量が制限されるとされます。

イ 資源依存モデルによると、組織にとってその資源の重要性が高いと、依存度が高くなる。〇組織にとってその資源の重要性が高いと、依存度が高くなるといえます。例えば、主要な部品の調達先のほうが、代替可能な消耗品の調達先よりも依存度が高くなります。

ウ 資源依存モデルによると、組織にとってその資源の集中度が高いと、依存度が低くなる。×資源の集中度が高いと、依存度が高くなるといえます。依存度が低くなるわけではありません。これは、調達先が複数よりも1社に集中している方が、依存度は高くなるということです。なぜなら、その資源を購入するには、その資源を独占している1社に依存するしかないからです。

エ 依存度をマネジメントする方法には、依存を深めるものと、依存度を委ねるものがある。×依存度のマネジメントの方法には、依存を回避するものと、依存度をコントロールするものがあります。依存を深めたり、依存度を委ねたりするのではありません。

資源依存モデルは、組織が外部組織から自由裁量が制限される状況を表します。組織は、外部の組織に資源を依存している度合いが強いと、自由裁量が制限されます。

 資源依存モデルにおいて、外部の組織への依存度を決める要因には、次のものがあります。

資源の重要性

外部の組織が自分に対して持つ自由裁量度

資源の集中度

 これらの要因が高い場合は、外部の組織への依存度が高くなるため、依存度のマネジメントが必要です。依存度をマネジメントする方法には、次のものがあります。

依存を回避する

 代替の取引先を見つける、取引先を多角化するなど

依存度をコントロールする

 依存は認めつつ、外部組織と協調する

 第三者から外部組織の操作を試みるなど

 現実の企業では、外部の組織と関わり合いながら経営活動をしています。こういった外部の組織との関係を表すのが組織間関係論です。

取引コストアプローチ

取引コストアプローチに関する次の文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


 ( A )とは、ある取引を行うためのコストのことをいう。これには、取引相手を探すコストである( B )や、条件を交渉し契約するのにかかるコストである( C )、その契約を正しく実行させるためのコストである( D )が含まれる。ある活動を内部で行うか外部で行うかを選択する際に、役に立つ考え方が取引コストアプローチである。この取引コストアプローチによると、( A )が高い場合には、その活動を内部に取り込むことになる。逆に、( A )が低い場合には、その活動を外部に出すことになる。


ア 
A:外注コスト B:取引コスト
C:交渉コスト D:監督と強制のコスト

イ 
A:外注コスト B:探索コスト
C:交渉コスト D:監督と強制のコスト

ウ 
A:取引コスト〇 B:探索コスト〇
C:交渉コスト〇 D:監督と強制のコスト〇

エ 
A:取引コスト〇 B:監督と強制のコスト×
C:契約コスト D:実行コスト

取引コストアプローチ取引コストの理論)は、O.E.ウィリアムソンがモデル化したものです。取引コストとは、取引を成立させるために必要な総費用のことをいいます。取引コストアプローチによると、市場の取引コストが社内の管理コストを上回る場合には企業はその活動を内部に取り込み、市場の取引コストが社内の管理コストを下回る場合には企業はその活動を外部に出すべきであるとされます。取引コストには、取引相手の探索費用や、取引相手が不誠実な取引を行うリスクなども含まれます。

探索コストは求めているものが市場で手に入るかどうかとか、誰が最も安く売ってくれるかというような情報を収集するコストのことです。

交渉コストは、相手との取引で双方が受け入れ可能な同意に達するのに必要なコストのことであり、適切な契約を締結するのに必要なコストのことです。

監督と強制のコストは、取引相手に契約を確実に遵守させるためのコストのことであり、もし契約が守られなかった場合に採られる適切な行動に必要なコストのことです。

組織の危機管理

組織の危機管理に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 危機管理は、想定される危機を未然に防ぐ活動をいう。×危機管理は、危機が発生した場合または発生しつつある段階において、その被害を最小限にとどめるために実施する活動のことです。危機は、災害や戦争等のように発生の可能性が予見困難であり、想定される危機を未然に防ぐことは困難です。

イ 危機管理はリスクマネジメントと同じ意味である。×異なる概念です。

ウ 危機管理では安全を脅かす事象に対し、従業員と経営者の間にオープンなコミュニケーション・ラインを確立する必要がある。〇危機管理では、全社的な取組みにより企業の安全文化を育むことが重要です。安全文化を育むには、従業員と経営者間のオープン・コミュニケーションが不可欠です。

エ 危機管理においては、事前にCSRを作成し、トレーニングをすることが重要である。×CSR(Corporate Social Responsibility)は企業の社会的責任です。CSRではなく、事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)を作成します。

危機とは災害や戦争等のリスクのように発生の可能性が予見困難で、被害額の見積もりも困難なものをいいます。一方、リスク日常的で発生が予見でき、おおよその損害額を見積もられるものです。

企業は危機に対して、事業継続計画や事業継続管理を準備しています。

  • 事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)
    危機はリスクと異なり発生を事前に予測することが困難です。発生してからでは手遅れになってしまうため、事前に事業継続計画(BCP)を策定することが重要です。
  • 事業継続管理(BCM:Business Continuity Management)
    事業継続計画(BCP)をもとに日常的に訓練し、被害を最小化するような管理を事業継続管理(BCM:Business Continuity Management)といいます。

組織の均衡条件 【平成24年 第14問】

 組織が成立・存続していくためには、その協働体系が有効かつ能率的に機能する条件がある。この条件を明らかにした「組織均衡(organizational equilibrium)」の考え方には、5 つの中心的公準がある。この中心的公準に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの量の誘因を提供しているかぎりにおいてのみ、組織は「支払い能力がある」すなわち存続する。〇?


イ 参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対する貢献を行う。〇


ウ 参加者のさまざまな集団によって提供される貢献が、組織が参加者に提供する誘因を作り出す源泉である。〇


エ 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系である。〇


オ それぞれの参加者は、提供される誘因と要求されている貢献の差し引き超過分が正の場合にだけ、組織への参加を続ける。〇×公準3 では、「誘因が、貢献と等しいかあるいはより大である場合」とされています。

組織均衡の5 つの中心的公準とは、詳しくは次の事を表します。

 1. 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系である。

 2. 参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対する貢献を行う。

 3. それぞれの参加者は、彼に提供される誘因が、彼が行うことを要求されている貢献と等しいかあるいはより大である場合にだけ、組織への貢献を続ける。

 4. 参加者の様々な集団によって提供される貢献が、組織が参加者に提供する誘因を作り出す源泉である。

 5. したがって、貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの量の誘因を提供している限りにおいてのみ、組織は「支払能力がある」すなわち存在し続ける。

組織の設計原則 【平成23 年第12 問】

 企業組織は、一般に分業と協業のシステムとして階層性という特徴を持っている。この組織編成に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア イノベーションを目的とした組織においては指揮命令系統の一元性が確保されていなければならないので、階層組織よりはグループ型のフラットな組織が望ましい。×イノベーションを生み出すためには、メンバー間の情報共有や相互作用が重要になるため、フラットな組織の方が望ましいと言えます。ただし、「指揮命令系統の一元性の確保」を優先するのであれば、階層型の組織の方が向いており、イノベーションの目的と矛盾することになります。


イ 管理者の職務に関する事業の範囲やタイムスパンの責任に応じて、組織は階層を設計する必要がある。〇

管理者の能力には限りがあるため、管理できる事業の範囲に応じて組織を設計する必要があります。これは「統制範囲の原則」の内容です。

 また、「タイムスパン」という所が分かりにくかったかもしれませんが、タイムスパンは「期間」を表しているため、「事業の範囲や期間」と読み替えられます。一般に、事業や業務は、時間が立つにつれてその内容が変わったり、増減したりします。こういった、時系列の変化に合わせて、組織の階層を変えていく事も必要になります。


ウ 組織における職務の公式化を進めることによって、管理者の統制範囲(span of control)は狭くなるので、階層数は増える傾向にある。〇×職務の公式化とは、業務を標準化・定型化することを指しています。公式化された組織においては、従業員は、何をいつまでにするべきかを決定する範囲が小さく、決まった仕事を決まった方法で、遂行していきます。従って、管理者は、従業員の業務の例外的な対応に専念することができることから、管理する従業員数を増やすことが可能となります。


エ 組織の階層を構成する中間管理職の職務について、責任と権限が公式に一致しなければならない。〇×変化の激しい環境では、組織も柔軟に変化に対応する必要があります。公式に定めた権限・責任の範囲だけで業務を行うと、変化に対応しにくい場合があります。そのため、変化に対応する過程で「非公式」な権限・責任が生じる事があり、必ずしも公式に権限・責任が一致している必要はありません。


オ 不確実性が高い環境下では、分権化を進めるために、階層のないフラットな構造にすることが望ましい。×不確実性が高い環境下では、分権化による現場優先の対応をする方法以外にも、トップダウンで変革を行うという方法もあります。そのため、必ずしも「階層のないフラットな構造にすることが望ましい」とは言えません。

組織(機能別・事業部制・マトリクス) 【平成20年 第11問】(設問2)

 企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functional organization)、事業部制組織(divisional organization)、マトリックス組織(matrix organization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。これに関して、下記の設問に答えよ。

(設問2)

 事業部制組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 事業部制組織では、各事業部は独立採算のプロフィットセンターとして管理されるために、複数の事業部にまたがる統合的な製品の開発などは遅れがちになる。〇事業部制では、各事業部はプロフィットセンターとして、利益責任を負います。事業部制のデメリットとして、分権が行き過ぎると事業部が排他的になりがちな事(セクショナリズム)が挙げられます。そうなると、選択肢の記述のように、複数の事業部で協力して製品開発することが難しい場合があります。

イ 事業部制組織では、各事業部を評価する統一的な基準がないために、本社機能のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある。×事業部制組織では、各事業部は利益責任を負うため、少なくとも利益が評価基準として挙げられます。また、本社機能のオーバーヘッドコストも、他の組織形態に比較して高くなるとは限りません。

ウ 事業部制組織では、本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり、一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる。×事業部制では、各事業部だけで予算を作成すると、会社全体としての企業戦略や資源配分の視点が抜けてしまいます。そのため、本社では、企業戦略や資源配分を考慮して事業部に予算配分を行います。限界利益率に応じて予算配分を行うと、事業の規模や成長性を考慮に入れられず、適切ではありません。

エ 事業部制組織は、複数の製品-市場分野に進出している企業に採用される傾向が高く、事業部間の高度な連携をとることが容易になる。×事業部は排他的になりがちで、連携を取るのは容易ではありません。

オ 事業部制組織は、本社の情報処理負担が軽減されるとともに、事業戦略に関する権限が本社に集中するために、事業部の再編成や既存事業の融合を通じた新規事業を創造しやすくなる。× 事業部制は、事業に関する権限は事業部に委譲し、本社は全社戦略に専念する形になります。

組織(機能別・事業部制・マトリクス) 【平成20年 第11問】(設問3)

 企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functional organization)、事業部制組織(divisional organization)、マトリックス組織(matrix organization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。これに関して、下記の設問に答えよ。
機能部門一事業部門からなる恒常的なマトリックス組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア マトリックス組織が有効に機能するためには、複数の命令系統に柔軟に対応し、コンフリクトを創造的に解決する組織文化の裏付けが必要である。〇

マトリクス組織では、2 つの命令系統が存在する形になります。そのため、命令系統が不明確になり、コンフリクトが発生しやすいという欠点があります。

 この欠点を解決できないと、マトリックス組織は有効に機能しません。選択肢の記述では、欠点を補うための方策が述べられています。コンフリクトを解決するには、コンフリクトが発生した時に、社員がこれを創造的に解決しようとする組織文化が必要です。


イ マトリックス組織では、機能マネジャーと事業マネジャーが同じ内容の権限を持つので、従業員は2人の上司の管理下におかれ高いストレスを感じる。〇×通常、機能マネジャーは機能に特化した権限、事業マネジャーは事業単位の権限を持ちます。そのため、同じ内容の権限を持つわけではありません。


ウ マトリックス組織では、主要な権限を委譲された事業マネジャーと機能マネジャーのコンフリクトが発生しやすいので、トップマネジメントの情報処理負担は大きくなる。〇×コンフリクトが発生した場合には、それを調整するためにマネジャーの情報処理負担が高くなります。一般的には、事業マネジャーに決定権限を持たせるなどの方策を取るため必ずしもトップマネジメントの情報処理負担が高くなるとは言えません。


エ マトリックス組織は、環境変化の速い複数の非関連事業に多角化した企業が、複数の事業部にまたがる横断的調整機能を導入したものである。×非関連事業に多角化した企業では、各事業に含まれる機能は大きく異なることになります。そのため、事業間で、共通の機能部門を設けてマトリクス組織を導入するメリットは低くなります。


オ マトリックス組織は、現場での事業感覚が重要である組織に導入すると事業活動を制約してしまうため、主に本社機構に導入される傾向がある。×マトリクス組織は、事業と機能という現場の業務に対する組織です。

カンパニー制、純粋持株会社 【平成29年 第5問】

 日本企業には、社内分社化であるカンパニー制や持株会社を導入して戦略性を一層高めようとした企業が見られる。カンパニー制と持株会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア カンパニー制は、企業グループ内の個々の業態ごとに採用できるが、同一業界でのカンパニーごとの個別最適を許容すればカニバリゼーションの助長につながりうる。〇カンパニー制におけるカニバリゼーションについて述べられています。カニバリゼーションとは「共食い」のことです。ここでは、同一の企業に属するカンパニー同士が顧客(売上)を奪い合うことを指しています。また、業態とは、「営業形態」のことです。たとえば、小売業という業界の中には、デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、などの業態が存在します。カンパニー制では、この業態ごとにカンパニーを採用することができますが、選択肢に書いてあるように、それぞれの業態に特化したカンパニーが自社の売上を最優先することを認めた場合、カニバリゼーションが発生します。

イ カンパニー制は、主要な事業の特定製品やブランドについての管理者をおき、その製品やブランドに関する戦略を策定し、販売活動を調整して統合する機能を持つ。〇×後半に書かれているような、販売活動を調整して統合する機能は持っていません。理由は、カンパニー制は独立した企業に近い存在のため、販売活動も独自の戦略を策定し、実行するからです。

ウ カンパニー制は、通常、多角化戦略によって事業領域を拡大する際、不確実性の高い新事業を切り離して法人格を持つ別会社として制度的に独立させ、本業や既存事業におよぼすリスクを軽減する。〇×カンパニーは別法人ではないので、「法人格を持つ別会社として制度的に独立させ」という記述は正しくありません。また、カンパニー制は、本業や既存事業に及ぼすリスクを軽減するために実施するものでもありません。

エ 純粋持株会社は、株式の所有対象としている企業グループ全体の戦略策定と個々の事業の運営を統合して行えるメリットがあり、傘下の企業の経営戦略を標準化し、集中的に管理する制度である。×純粋持株会社は、企業グループ全体の戦略や企画の立案などに専念します。そのため、個々の事業の運営を統合して行うことはありません。また、傘下の企業の経営戦略を標準化したり集中的に管理したりすることもありません。

オ 純粋持株会社は、通常、企業グループ全体の効率的な資源配分が可能となり、雇用形態や労働条件の設定を標準化する機能を持つ。×純粋持株会社は、企業グループ全体の戦略や企画の立案などに専念するため、企業グループ全体の効率的な資源配分が可能なことは正しいです。ただし、個別企業の具体的な経営には関与しないため、雇用形態や労働条件の設定を、傘下の企業グループ全体で標準化することはありません。

組織スラック 【平成27年 第19問】

 組織スラックに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 組織スラックは、イノベーションを遂行するための資源となりうる。〇成功している企業では、ヒト・モノ・カネ・情報などの余剰資源を保有しており、これらの組織スラックを革新のための源泉とすることによって、イノベーション(革新)を生み出しています。このように、組織スラックは、イノベーションを遂行するための資源となります。

イ 組織スラックは、緊急事態に対応するための余裕資源として、組織の安定に寄与する。〇

ウ 組織スラックは、新規行動案の探索をリスク回避的にする傾向にある。×

エ 組織スラックは、複数の利害関係者の組織に対する要求を調整する機能を持つ。〇

オ 組織スラックは、利害関係者が組織に対して求める要求が、満足水準に基づくことから生じる傾向にある。〇組織が問題志向の探索を行う場合、実現可能な選択肢から、利害関係者が満足して受け入れることができる選択肢へと探索の範囲を削減する際に組織スラックが生じます。このように、組織スラックは、利害関係者が組織に対して求める要求が、満足水準に基づくことから生じる傾向にあります。

スラック革新

企業が組織スラックを活用することによって起こす革新を、スラック革新といいます。

組織がどのように行動するかについては、組織の経営資源には限りがあるため、組織は完全に合理的には行動しえないという限界がある。

 このように、組織は最適化基準による意思決定を行うことができず、満足化基準による意思決定を行うことになります。

官僚制の逆機能 【平成28年 第14問】

 官僚制の逆機能といわれる現象に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

ア 革新的な計画に抵抗するために、日常のルーティン対応を探し求める、グレシャムの法則。×グレシャムの法則とは、「悪貨が良貨を駆逐する」というものです。このグレシャムの法則を意思決定に当てはめたものに、計画におけるグレシャムの法則というものがあります。非定型的意思決定は定型的意思決定に比べて困難で面倒なことが多いです。このことから、非定型的意思決定は定型的意思決定に駆逐されやすいため、定型的意思決定が非定型的意思決定に優先されることを、計画におけるグレシャムの法則といいます。革新的な計画に抵抗するために、日常のルーティン対応を探し求めるのはグレシャムの法則ですが、「組織の中の規則や機構がもともとは目的追求に役立つものとして制定されたはずなのに、逆に目的追求を損ねている状態」ではないため、官僚制の逆機能ではありません。

イ 規則や手続きそのものを絶対視するような態度が、杓子しゃくし定規な画一的対応を生み出す、形式主義。〇

ウ 組織全体の利益よりも、自分が所属する部局の利益を優先する、セクショナリズム。〇

エ 膨大な手続きと書類作成に煩わされる、繁文はんぶん縟礼じょくれい。〇

オ 本来は手段にすぎない規則や手続きが目的に転じてしまう、目的置換。〇

組織のライフサイクル 【平成30年 第21問】

 組織の成長や変革に介入する経営コンサルタントにとって、企業組織のライフサイクルに応じた課題や特徴についての理解が必要になることがある。組織のライフサイクルを、起業者段階、共同体段階、公式化段階、精緻化段階に分けて考えるとき、それぞれの段階に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 持続的な成長を迎える共同体段階では、従業員は自身が共同体の一員であると強く感じるため、職務の割り当てが専門化され、階層化が進むとともに中間管理職への権限委譲が必要になってくる。〇

イ 精緻化段階では、官僚制のもたらす形式主義的な弊害を克服するために、場合によっては公式のシステムを単純化し、チームやタスクフォースを活用して小企業的な価値観や発想を維持するために組織全体に絶えず新しい挑戦や努力を推奨する必要が生じる。〇この段階では、官僚制の逆機能である形式主義的弊害を克服する必要が生じ、チームやタスクフォースの活用が有効です。チームは、「グループ」の活力が低下したときに、より目的志向的で有機的な相互関係が必要となる「チーム」を編成とすることにより新たな挑戦や努力を推進しようというものです。従って記述は適切です。なお、組織論では「チーム」は「グループ」と異なる概念になります

ウ 創業者が創造力の高い技術志向の経営者の場合、起業者段階では従業員は非公式で非官僚主義的なコミュニケーションで管理されることが多い。初期の市場が成長し、それに伴い従業員が増加すると、財務管理などを含めた、組織全体を統率するリーダーシップを持った経営者が必要になる。〇財務管理などを含めた組織全体を統率するリーダーシップが求められる、という記述から共同化段階から公式化段階への過程であることがわかります。急拡大したベンチャー企業が、プロ経営者を外部から招くことがあるのは、企業規模が大きくなると組織管理能力に長けた経営人材が必要になるからです。

エ 組織の規模も大きくなり公式化段階になると、規則や手続き、管理システムの公式化が進み、戦略的意思決定や業務的意思決定をトップマネジメントに集権化する必要が生まれ、トップが各事業部門を直接コントロールするようになる。×この段階では権限移譲が進んでおり、集団的経営体制となっています。戦略的意思決定はトップマネジメントが担うケースはありますが、独断専行的には行えない段階になっています。業務的意思決定は最も権限移譲が進む領域です。各事業部門のコントロールも、事業部門長等に権限移譲がされている段階となる

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