経営情報システム 経営と情報システム 経済学・経済政策 経済指標と財市場の分析 貨幣市場とIS-LM 分析

GDPの定義 【平成23年 第1問】

 GDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)の関係について、次の式の空欄にあてはまる最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 GDP=GNP +( )

[解答群]

ア 海外からの要素所得受取-海外への要素所得支払

イ 海外への要素所得支払-海外からの要素所得受取〇

ウ 固定資本減耗+間接税-補助金

エ 固定資本減耗+補助金-間接税

GDP(Gross Domestic Product)は国内総生産と呼ばれます。GDP の定義は、「ある一定期間で、国全体で新たに生み出された付加価値の総額」となります。

 GDP と似ている指標に、GNP(Gross National Product:国民総生産)があります。GNPは、「国民」という名前が表すように、国民が一定期間で生み出した付加価値の総額です。

 GNP とGDP の関係を表すと、「GNP = GDP + 海外からの要素所得受取り- 海外への要素所得支払い」となります。

 要素所得というのは、労働者や資産などの生産要素が生み出す所得のことです。日本であれば、「海外からの要素所得受取り」は、海外に住む日本人が生み出した付加価値を表します。「海外への要素所得支払い」は、日本に住む外国人が生み出した付加価値を表します。

 先ほどのGNP とGDP の関係の式を、設問の形に変更すると、「GDP=GNP+海外への要素所得支払い-海外からの要素所得受取り」となります。

GDPの構成要素 【平成30年 第5問】

 下記の財政に関わる支出の中で、GDPに含まれるものの組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 移転支出

b 公的資本形成〇

c 財政投融資

d 政府最終消費支出〇

〔解答群〕

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd〇

支出面から見たGDPは、次の式で表すことができます。

 GDP = (民間消費支出 + 固定資本形成 + 在庫品増加 + 政府支出)+ (輸出 - 輸入)

 ここで「政府支出」は、「政府最終消費支出」と「公的固定資本形成」が主な構成要素となります。「政府最終消費支出」は、政府の一般的な活動の支払いで、公務員給与等や社会保障などがあります。「公的固定資本形成」は、政府が造る道路・ダムといった社会資本整備、公団・公社が行う設備投資・住宅投資を指します。

移転支出には生活保護費、雇用保険、公務員の退職金などがあります。政府最終消費支出が対価としての支出ですが、移転支出は対価としての支出ではありません。例えば、公務員給与が公務員のサービスに対する対価であるため政府最終消費支出ですが、公務員退職金は、サービスに対する支出ではないため移転支出となります。

財政投融資とは、租税負担に拠ることなく、独立採算で、財投債(国債)の発行などにより調達した資金を財源とした投融資活動です。政策的な必要性があっても、民間では対応が困難な長期・固定・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするためのものです。財政投融資には、財政融資、産業投資、政府保証の3つの保証があります。財政投融資は、GDPに影響を及ぼしますが、GDP算定の構成要素ではない点、留意しましょう。

三面等価の原則 【平成20年 第1問】

 次のGDPに関する文章中の空欄A~Dに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 生産面から見たGDP、分配面から見たGDP、支出面から見たGDPが( A )に一致することを「三面等価の原則」という。

 このうち、生産面から見たGDPは各生産段階における( B )の総計に等しく、支出面から見たGDPは( C )と呼ばれる。

 なお、GDPから固定資本減耗損を差し引いたものを( D )と呼ぶ。

[解答群]

ア A:事後的〇 B:中間生産物の価値 C:国内総支出 D:国内純生産

イ A:事後的〇 B:付加価値〇 C:国内総支出〇 D:国内純生産〇

ウ A:事後的〇 B:付加価値〇 C:国民総支出 D:国民純生産

エ A:事前的 B:中間生産物の価値 C:国内総支出 D:国内純生産

オ A:事前的 B:付加価値 C:国民総支出 D:国民純生産

 生産面から見たGDP は、国の産業全体で生み出された付加価値を足し合わせたものです。

 付加価値は、各企業が材料に付け加えた価値を表します。付加価値は、最終的な生産額から、原材料の購入などの中間投入額を引いた金額です。

 企業が得た付加価値は、家計、企業、政府のいずれかに分配されます。これを「分配面から見たGDP」と呼びます。分配面から見たGDP を式で表すと次のようになります。

 GDP = 雇用者報酬 + 営業余剰・混合所得 +固定資本減耗+ 間接税 - 補助金

 分配面から見たGDP は、分配を受ける側から見れば所得となります。よって、これは国内総所得を表します。

 さらに、分配されたGDP は、家計、企業、政府によって様々な目的に使われます。これを「支出面から見たGDP」と呼びます。支出面から見たGDP を式で表すと次のようになります。

 GDP =(民間消費支出+ 固定資本形成+ 在庫品増加+ 政府支出)+ (輸出- 輸入)

 支出面から見たGDP は、財市場の需要サイドを表しています。家計の消費や、企業の投資が増えたり、純輸出(輸出-輸入)が増加すれば需要が増加することになります。支出面から見たGDP は、国内総支出(GDE:Gross Domestic Expenditure)と呼ばれます。

 実際の経済では、供給、すなわち生産面からみたGDPと需要、すなわち支出面から見たGDPが常に一致するとは限りません。この場合、国民経済計算の統計上は、需要と供給が一致しない時は、事後的に差額を「在庫品増加」の項目で調整するという決まりがあります。そのため、支出面から見たGDP も、生産面から見たGDP と等しくなります。

 また、GDP から固定資本減耗損を差し引いたものは、国内純生産(NDP:Net Domestic Product)呼ばれます。固定資本減耗は、会計で言う「減価償却」を表し、時間が経つにつれて、固定資本の価値が減ることを表します。GDP の「グロス(総)」は、固定資本減耗を控除しておらず、NDP の「ネット(純)」は、固定資本減耗を控除したということを表しています。

生産面から見たGDP と支出面からみたGDP が一致しない時は、事後的に差額を調整します。

 生産面から見たGDP は、国の産業全体で生み出された付加価値を足し合わせたものです。

支出面から見たGDP は、国内総支出と呼ばれます。

 GDP から固定資本減耗損を差し引いたものは、国内純生産と呼ばれます。

 GDPの推移 【平成23年 第2問】

 下図は、日本の名目GDP 成長率と実質GDP 成長率を示したものである。この図から読み取れることおよび経済状況の説明として最も適切なものはどれか。

ア 1960 年代の高度経済成長期には、持続的な物価の上昇が見られ、これは貨幣価値を上昇させる効果を持つ。〇×1960 年代のグラフを見てみると、名目GDP のほうが実質GDP より高く、GDP デフレータもプラスになっていくことがわかります。よって、インフレが生じています。インフレとは、物価が上昇し、相対的には貨幣の価値が下がることを表します。

イ 1970 年代前半には、第2次オイルショックに伴い、物価の上昇と不況が発生し、スタグフレーションの現象に陥った。〇×スタグフレーション(stagflation)とは、経済現象の一つであり、「stagnation(停滞)」と「inflation(インフレーション)」の合成語で、経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が併存する状態を指す。 1970 年代前半には、確かに物価の上昇と不況が発生し、スタグフレーションの現象に陥りました。しかし、これは第1次オイルショックに伴うものです。

ウ 1980 年代後半には、円高不況、バブル経済、アジア通貨危機を経験し、その後、長期の景気低迷を迎えることとなった。× 円高不況、バブル経済は1980 年代の出来事ですが、アジア通貨危機は1997 年に発生した出来事です。

エ 2000 年代は、持続的な物価の下落が見られ、これは企業の実質債務の増加や実質利子率の上昇を生じさせる効果を持つ。〇×〇 2000 年代のグラフを見てみると、常に実質GDP のほうが名目GDP より高く、物価が下落するデフレが持続的に見られることがわかります。 また、デフレは企業の実質債務の増加や実質利子率の上昇を生じさせる効果を持ちます。また、実質利子率とは、予想されるインフレ率を調整した後の利子率のことです。実質利子率を式で表すと、「実質利子率=名目利子率-インフレ率」となります。よって、名目利子率が変わらない状態でインフレ率が下がると、実質利子率は上昇します。

オ 「名目GDP 成長率=実質GDP 成長率-GDP デフレータ変化率」という関係が成立し、名目GDP 成長率と実質GDP 成長率の差は物価の変化を表している。×名目GDP 成長率=実質GDP 成長率+インフレ率 GDP デフレータの変化率は、インフレの変化率を表すため、「名目GDP 成長率=実質GDP 成長率+GDP デフレータの変化率」と言うことができます。

物価指数 【平成24年 第2問】

 物価指数の作成に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 総務省統計局が公表している消費者物価指数は、パーシェ式で計算されている。×消費者物価指数と、企業物価指数は、ラスパイレス方式という計算方式が使われています。

イ ラスパイレス式の特色は、比較時点の構造変化に伴う品目の重要度の変化を、ウエイトに取り込めるところである。×ラスパイレス方式により物価指数を計算する際は、物価の変化だけを測れるようにするため、品目は基準時の内容で固定します。構造変化に伴う品目の重要度の変化を考慮するわけではないのです。

ウ ラスパイレス式は、基準時点ウエイトを採用する加重総和法算式を用いている。〇物価指数を計算する際には、そのウエイトを使って複数の品目を加重平均することで求めます。ここで、ウエイトの計算をいつの時点で行うかという選択があります。ラスパイレス方式では、基準時点でウエイトの計算を行います。一方、パーシェ方式では、比較時点でウエイトの計算を行います。ラスパイレス方式では、基準時点である1 年前の品目とウエイトを固定した、加重総和法算式を用いている。

エ 隣接年次間の連環指数を使って計算される連鎖指数は、比較時点の構造変化に伴う品目の重要度の影響を取り除く目的で計算されている。×消費者物価指数においては、家計の消費構造の変化を迅速に指数に反映させるために、毎年ウエイトを更新して指数を計算しています。このウエイトを更新する際に用いられるのが、連環指数や連鎖指数です。構造変化に伴う品目の重要度の影響を取り除くためではなく、取り込むために用いられるためです。

GDPデフレータは、パーシェ方式という計算方式が使われています。

 パーシェ方式では、今年(比較時点)の生産量を基準に計算します。パーシェ方式では、今年生産された財を、そのまま1 年前に持っていった時に、いくらで購入できるかを計算します。それを、今年の購入額と比較することで、物価水準を求めます。

 ラスパイレス方式では、1 年前(基準時点)の生産量を基準に計算します。ラスパイレス方式では、1 年前に生産された財を、そのまま今年に持っていった時に、いくらで購入できるかを計算します。それを、1 年前の購入額と比較することで、物価水準を求めます。

物価指数の計算 【平成27年 第5問】

 2種類の財(A財とB財)を用いて、物価指数を計算する。これらの財の数量と単位当たりの価格は、基準年と比較年でそれぞれ以下の表のとおりであった。基準年の物価指数を100とした場合、比較年の物価指数として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

A財B財
数量価格数量価格
基準年10101010
比較年119911

[解答群]

ア ラスパイレス指数では99×、パーシェ指数では100

イ ラスパイレス指数では99×、パーシェ指数でも99

ウ ラスパイレス指数では100〇、パーシェ指数では99〇

エ ラスパイレス指数では100〇、パーシェ指数でも100

パーシェ=(比較価格*比較数量)/(基準価格*比較数量)
ラスパイレス=(比較価格*基準数量)/(基準価格*基準数量)

ラスパイレス=(A比較価格9*A基準数量10+B比較価格11*B基準数量10)/(A基準価格10*A基準数量10+B基準価格10*B基準数量10)
=(90+110)/(100+100)
=200/200=100

パーシェ=(A比較価格9*A比較数量11+B比較価格11*B比較数量9)/(A基準価格10*A比較数量11+B基準価格10*B比較数量9)
=(99+99)/(110+90)=198/200=99%

景気動向指数、先行、一致、遅行系列 【平成29年 第6問】

 景気動向指数の個別系列は、先行系列、一致系列、遅行系列に分けられる。各系列の具体例の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア 先行系列:消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)×消費者物価は、景気が上向くにつれて次第に上昇するため、景気の動きに遅れて動く指標といえます。

  一致系列:実質法人企業設備投資(全産業)×実質法人企業設備投資(全産業)は景気が上向き、企業が増産等の必要性を認識した上で設備への投資がされるため、遅行系列に含まれます。

  遅行系列:法人税収入〇

イ 先行系列:所定外労働時間指数(調査産業計)×景気が上向くとともに所定外労働時間が増加し、景気が下向くとともに減少するため、一致系列に含まれます。

  一致系列:耐久消費財出荷指数〇耐久消費財出荷指数は消費者の需要とともに増減するものですので、一致系列に含まれます。

  遅行系列:営業利益(全産業)×営業利益(全産業)も景気動向とともに増減するため一致系列に含まれます。

ウ 先行系列:中小企業売上げ見通しDI〇

  一致系列:新規求人数(除学卒)×新規求人数(除学卒)は、好景気が予想され企業が生産拡大等に伴い必要となる人員を確保する場合や景気悪化が予想され生産縮小等に伴い求人を控える場合に増減するため、先行系列に含まれます。

  遅行系列:新設住宅着工床面積〇新設住宅着工床面積は、国民の購買意欲を反映するため景気の先行系列に含まれます。

エ 先行系列:東証株価指数〇

  一致系列:有効求人倍率(除学卒)〇有効求人倍率(除学卒)は「有効求人数/有効求職数」で表されます。求人数は景気の先行系列ですが、求職者数はそれより遅れて動くと考えられることから、有効求人倍率は一致指数に含まれます。

  遅行系列:完全失業率〇完全失業率は、従業員の解雇は景気悪化に伴い、企業業績が悪化した結果として人員整理や解雇がされるため、遅行系列に含まれます。

先行系列の指標には、最終需要財在庫率指数や、新規求人率、東証株価指数などがあります。

一致系列の指標には、生産指数や、商業販売額、有効求人倍率などがあります。

遅行系列の指標には、家計消費支出や、完全失業率などがあります。

産業連関表 【平成22年 第17問】

 一国の成長戦略の策定において、経済政策の効果が高い産業への投資が求められる場合がある。そこで、重点的な産業の選択のための1つの方法として、産業連関表を用いた分析がある。

 下表において、A産業で1単位の生産を行うために必要なB産業からの原材料投入の構成を示す係数として、最も適切な数値を下記の解答群から選べ。

出所:総務省「産業連関表の仕組み」(総務省ホームページ)

[解答群]

ア 0.1

イ 0.2〇

ウ 0.3

エ 0.5×

取引基本表を産業ごとに縦(列)方向で見ると、その産業で生産に用いられた投入費用の構成と、その産業の粗付加価値、合計の生産額の情報が得られます。また、産業ごとに横(行)方向で見ると、その産業で生産された財・サービスの販売先構成の情報が得られます。

B産業からの原材料投入の構成を問われています。そのため、表の縦(列)方向の情報を用います。

 表を見ていくと、A産業は原材料等としてA産業から30、B産業から60 を購入しています。そしてA産業は粗付加価値210 を生み出し、生産額は300 となります。

 このことから、A産業におけるB産業からの原材料投入の構成比は、B産業からの原材料60÷A産業の生産額300=0.2 であることがわかります。

全要素生産性 【平成26年 第12問】

 下表は、日本のGDP成長率、GDP成長率への労働の寄与、GDP成長率への資本の寄与を表したものである。成長会計から、GDP成長率への全要素生産性(­TFP)の寄与を下表から読み取った記述として最も適切なものはどれか。

[解答群]

 ア GDP成長率へのTFPの寄与は、「1985‐1989 年」から「2005‐2009 年」まで一貫してプラスであった。〇×

 イ GDP成長率へのTFPの寄与は、「1985‐1989 年」と「2000‐2004年」ではプラスであった。〇

 ウ GDP成長率へのTFPの寄与は、「1985‐1989 年」のみマイナスであった。×

 エ GDP成長率へのTFPの寄与は、「2005‐2009 年」のみマイナスであった。×

成長会計では、経済成長の要因を3つに分解します。式で表すと次のようになります。

 経済成長率 = 労働の成長率 + 資本の成長率 + 技術の進歩率

 上記のように、経済成長を3つの要因に分解することで、それぞれの寄与度を見ることができます。ここで、技術の進歩率を全要素生産性とも言います。

 本問において、「労働の寄与」とは労働の成長率のことであり、「資本の寄与」とは資本の成長率のことです。よって、全要素生産性(TFP)の寄与は、実質GDP成長率から労働の寄与と資本の寄与を差し引いて求められます

消費関数 【平成24年 第5問】

 下表は、総務省が公表した「家計調査報告(二人以上世帯)」2010 年11 月分、2011年11 月分にある勤労者世帯の収支内訳から、実収入(世帯主収入、配偶者の収入、他の世帯員の収入等の合計)、消費支出、非消費支出(所得税、社会保険料等)の金額を抜き出したものである。これら勤労者世帯の限界消費性向を求めるとき、その求め方として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[解答群]

ア 2011年のみ×

イ X非消費支出無し

ウ X非消費支出なし

エ 〇×

オ ×〇

限界消費性向は、所得が1 単位増えたときに、増加する消費の量です。例えば、所得が100 万円増えたときに、60 万円を消費に回す場合は、限界消費性向は0.6 となります。限界消費性向は、0 から1 の間の値を取ります。これは、所得が増えても、全てを消費するわけではなく、残りは貯蓄として蓄積するからです。

限界消費性向は、所得が変化した時の消費の変化分を、所得の変化分で割ったものと表すことができます。限界消費性向を式で表すと、次のようになります。

 ΔC は、消費支出の変化分を表します。これを、設問の情報で表すと「E-B」となります。

 ΔY は、可処分所得の変化分を表します。まず、2010 年11 月の可処分所得と2011 年11月の可処分所得を設問の情報で表すと、それぞれ「A-C」「D-F」となります。よって、可処分所得の変化分は「(D-F)-(A-C)」となります。

 以上より、限界消費性向は以下の式で表すことができます。

45度線分析 【平成30年 第7問】(設問1)

 下図は45度線図である。総需要はAD = C + I(ただし、ADは総需要、Cは消 費、Iは投資)、消費はC = C0 + cY(ただし、C0 は基礎消費、cは限界消費性 向、YはGDP)によって表されるものとする。 この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)

この図に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア GDPがYであるとき、生産物市場にはGHだけの超過需要が生じている。×Y1のとき、AD=C+I、C=C0+cY1ですのでAD=C0+cY1+Iとなります。C0+Iは定数項で、ADとY軸との切片G=C0+Iとなります。また、45度線なのでG=Y1です。したがって、Y1のとき、AD=Y1+cY1であり超過需要はAD-Y=cY1となります。グラフよりGH≠cY1ですので、記述は不適切

イ 均衡GDPの大きさはY0 であり、このときの総需要の大きさはOHである。〇

ウ 図中で基礎消費の大きさはOGで表され、これは総需要の増加とともに大きくなる。×基礎消費がOGとされていますが、I=0でなければOG=C0とはなりません。また、IはYの関数でなく定数項なのでC0+Iは定数項となり総需要の増加とともに大きくなりません。

エ 図中で限界消費性向の大きさは EF/FGで表され、これは総需要の増加とともに小さくなる。×限界消費性向cはADの傾きであり、EF/FGで表されます。限界消費性向は変数ではないので、総需要の増加の影響を受けません。

45度線分析 【平成30年 第7問】(設問2)

 下図は45度線図である。総需要はAD = C + I(ただし、ADは総需要、Cは消 費、Iは投資)、消費はC = C0 + cY(ただし、C0 は基礎消費、cは限界消費性 向、YはGDP)によって表されるものとする。 この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問2)

均衡GDPの変化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 限界消費性向が大きくなると、均衡GDPも大きくなる。〇限界消費性向が大きくなると、C0+c↑Y+I=AD↑となり、均衡GDPも大きくなります。

イ 限界貯蓄性向が大きくなると、均衡GDPも大きくなる。×限界貯蓄性向s=1-cです。s↑=1-c↓となります。限界消費性向低下は、C0+c↓Y+I=AD↓となり、均衡GDPは小さくなる

ウ 貯蓄意欲が高まると、均衡GDPも大きくなる。×貯蓄意欲の高まりは限界貯蓄性向s↑となりますので選択肢イの場合と同様に均衡GDPは小さくなります。

エ 独立投資が増加すると、均衡GDPは小さくなる。×独立投資Iの増加はC0+cY+↑I=AD↑となりますので均衡GDPは大きくなります。

インフレギャップ、デフレギャップ 【平成25年 第3問】

 いま、総需要D は、GDPをYとするとき、D = 50 + 0.8Yで与えられるものとする。完全雇用GDPを300 としたときの説明として最も適切なものはどれか。

ア 均衡GDP は250であり、10のインフレギャップが生じている。

イ 均衡GDP は250であり、10のデフレギャップが生じている。〇

ウ 均衡GDP は250であり、50のデフレギャップが生じている。

エ 均衡GDP は300であり、50のインフレギャップが生じている。

D=50+0.8*300
=50+240
=290
300-290=10

D=50+0.8*250
=50+200
=250

GDPをYとしていますので、総供給はYとなります。45度線分析において、均衡GDPは「総供給 = 総需要」より求められます。総需要は「D = 50 + 0.8Y」ですので、「総供給 = 総需要」は次のよう表されます。

Y = 50 + 0.8Y

これを計算すると、次のようになります。

0.2Y = 50
∴ Y = 250

よって、均衡GDPは250となります。

次に、どういったギャップが生じているのか見てみましょう。

完全雇用GDPが300ですので、「Y = 300」を「D = 50 + 0.8Y」に代入すると、次のようになります。

D = 50 + 0.8 × 300 = 290

よって、完全雇用GDPが300であるのに対し、総需要は290しかないため、その差10のデフレギャップが生じていることがわかります。

乗数効果 【平成24年 第7問】

 家計、企業、政府から構成される閉鎖経済モデルを考える。各記号は、Y:GDP、C:民間消費支出、I:民間投資支出、G:政府支出、T:租税収入を意味し、単位は兆円とする。

生産物市場の均衡条件 Y=C+I+G
  消費関数C=0.8(Y-T)+20
  租税関数T=0.25Y-10
  民間投資支出I=32
  政府支出G=20

 このモデルから導かれる記述として、最も適切なものはどれか。

ア 生産物市場が均衡しているときのGDP は360 兆円である。×
Y=C+I+G
Y=(0.8(Y-T)+20)+32+20
Y=(0.8(Y-(0.25Y-10))+20)+32+20
Y=(0.8(Y-0.25Y+10)+20)+52
Y=(0.8(0.75Y+10)+20)+52
Y=(0.6Y+8+20)+52
Y=0.6Y+80
0.4Y=80
Y=200

イ 生産物市場が均衡しているときの財政収支(T-G)は、30 兆円の赤字になる。×
(0.25Y-10)-20=(0.25*200-10)-20
=20

ウ 政府支出乗数は5 である。×

Y=0.8(Y-T)+20+32+G

=0.8Y-0.8(0.25Y-10)+20+32+G

=0.8Y-0.2Y+8+20+32+G

=0.6Y+60+G

 Y-0.6Y=60+G

 これを整理すると、

 0.4Y=60+G

 となります。

 最後に、両辺を0.4 で割ると、

 Y=2.5(60+G)

∴政府支出乗数は2.5

エ 政府支出を10 兆円拡大させると、生産物市場が均衡しているときのGDP は25 兆円増加する。〇
0.4Y=80+10
0.4Y=90
Y=225

均衡予算乗数定理 【平成25年 第4問】

いま、GDP をY = C + I + G、消費関数をC = C+ c(Y-T)で表すものとする。ただし、各記号の定義は以下のとおりである。

Y:GDP である。

C:消費である。

I:投資であり10とする。

G:政府支出であり2とする。

C0:基礎的消費であり2とする。

c:限界消費性向であり0.8 とする。

T:租税であり2とする。

政府が均衡予算を採用しているとき、上記の状況から政府が租税を1増加させたときのGDP の説明として最も適切なものはどれか。

ア GDPは0.8低下する。

イ GDPは1増加する。

ウ GDPは1低下する。

エ GDPは変わらない。

Y = (C+ c(Y-T)) + I + G
Y = (2+ 0.8(Y-2)) + 10 + 2
Y=(2+0.8Y-1.6)+12
Y=0.4+0.8Y+12
0.2Y=12.4
Y=62
Y = (2+ 0.8(Y-3)) + 10 + 2
Y=(2+0.8Y-2.4)+12
Y=0.8Y-0.4+12
0.2Y=11.6
Y=58

均衡予算における乗数は1。

 本問の経済モデルでは、乗数に影響するのは限界消費性向cのみであり、税や輸入はY(GDP)に依存しないことがわかります。この場合、政府が均衡予算を採用するとき、乗数は1になります。よって、均衡予算乗数の定理により、政府が租税を1増加させたとき、GDPはその乗数の1倍だけ増加するため、GDPは1増加することになります。

 計算をすると、次のようになります。

 「Y = C + I + G」に、消費関数「C = C+ c(Y-T)」を代入すると、次のようになります。

 Y = C+ c(Y-T) + I + G
 Y - cY = C0- cT + I + G
(1-c)Y = C0- cT + I + G
∴ Y = 1/(1-c)×(C0- cT + I + G) …①

①式に、c = 0.8、C= 2、T = 2、I = 10、G = 2を代入すると、次のようになります。

 Y = 1/(1-0.8)×(2-0.8 × 2 + 10 + 2)
= 1/0.2×(2-1.6 + 10 + 2)
= 5 × 12.4

= 62

 政府が租税を1増加させた場合、均衡予算を採用しているわけですから、政府支出も1増加します。よって、T = G = 2 + 1 = 3になります。①式に、c = 0.8、C= 2、T = 3、I = 10、G = 3を代入すると、次のようになります。

Y = 1/(1-0.8)×(2-0.8 × 3 + 10 + 3)
= 1/0.2×(2-2.4 + 10 + 3)
= 5 × 12.6
= 63

均衡予算乗数
政府支出を1だけ増加すると、均衡国民所得は「1/(1-c) 」増加します。一方、税を1だけ増税すると、均衡国民所得は「c/(1-c) 」減少します。よって、これらを同時に行った場合の効果は、「 1/(1-c)-c/(1-c) = 1」となり、乗数が1となることが分かります。よって、均衡予算の場合、政府が政府支出をGだけ増加させた場合(政府がTだけ増税した場合)、均衡GDPはその1倍のGだけ(Tだけ)増加します。これを、均衡予算乗数の定理と呼びます。

貨幣

 貨幣に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


ア すぐに取引に使うことができ、通常では元本割れを起こすことがない普通預金は、貨幣である。〇

イ 貨幣が危険資産であるのに対して、債券は安全資産である。×貨幣が安全資産であるのに対して、債券危険資産といわれます。危険資産とは、物価変動を考慮しない場合に、保有をしている間に価値が変動するものをいいます。

ウ 貨幣市場で超過需要が発生しているときには、債券市場でも必ず超過需要が発生している。×貨幣市場で超過需要が発生しているときには、債券市場では必ず超過供給が発生しています。両市場がともに超過供給になることはありません。貨幣市場と債券市場は表裏一体の関係にあるからです。

エ 貨幣は、交換手段、価値貯蔵の手段という2つの役割を果たしているが、価値尺度という役割は果たしていない。×

マネーサプライ

 マネーサプライに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。


ア マネーサプライとは、経済全体に供給している貨幣の供給量のことをいい、この貨幣には、預金も含まれる。〇マネーサプライとは、経済全体に供給している貨幣の供給量のことをいいます。この貨幣には、現金だけではなく預金も含まれます。

イ マネーストック統計の現金通貨には、金融機関保有現金が含まれる。×マネーストックとは、基本的に、通貨保有主体が保有する通貨量の残高です。通貨保有主体の範囲は、居住者のうち、一般法人、個人、地方公共団体・地方公営企業が含まれます。このうち一般法人は預金取扱機関、保険会社、政府関係金融機関、証券会社、短資等を除く法人です。マネーストックでは、金融機関や中央政府が保有する預金などは対象外となります。

ウ マネーストック統計のM1は、最も容易に決済手段として用いることができる現金通貨と預金通貨から構成されている。〇マネーストック統計のM1は、最も容易に決済手段として用いることができる現金通貨と預金通貨から構成されています。

エ マネーストック統計のM3は、M1に準通貨やCDを加えた指標である。〇M3は、M1に準通貨やCDを加えた指標です。準通貨の大半は、定期預金ですが、定期預金は解約して現金通貨や預金通貨に替えれば決済手段になる金融商品で、預金通貨に準じた性格をもつという意味で準通貨とよばれています。譲渡性預金CD:Certificate of Deposit) とは、第三者に譲渡できる定期性預金で、自由に発行条件を定めることができる預金証書のことです。CDを発行できるのは銀行など預金を受け入れる金融機関に限られており、CDの預金者は、金融機関及びその関連会社、証券会社などが中心です。

マネーサプライとは、経済全体に供給している貨幣の供給量のことをいいます。この貨幣には、現金だけではなく預金も含まれます。

 マネーストック統計には、次のものがあります。

M1

 現金通貨+預金通貨

M2

 現金通貨+国内銀行等に預けられた預金

M3

 M1+準通貨+CD(譲渡性預金)

広義流動性

 M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債・FB+外債

 2008年からは、「マネーサプライ統計」を見直した「マネーストック統計」が公表されています。現在のマネーストック統計では、M1にゆうちょ銀行の預金通貨が含まれている点に注意。

貨幣需要

 貨幣需要に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。


ア 取引を行うためや、不意の支出に備えるためという動機に基づく貨幣需要のことを、貨幣の取引需要という。〇J.M.ケインズは、貨幣を需要する動機には、①取引動機に基づく貨幣需要(取引を行うために必要とする貨幣需要)、②予備的動機に基づく貨幣需要(不意の支出に備えて貨幣を保有する貨幣需要)、③投機的動機に基づく貨幣需要(資産運用の対象として貨幣を保有する貨幣需要)の3つがあると考えました。これらのうち、取引動機に基づく貨幣需要と予備的動機に基づく貨幣需要のことを、貨幣の取引需要といいます。

イ 国民所得が増加すると貨幣の取引需要は増加し、逆に、国民所得が減少すると貨幣の取引需要は減少する。〇

ウ 利子率が上昇すると貨幣の資産需要は増加し、逆に、利子率が低下すると貨幣の資産需要は減少する。×投機的動機に基づく貨幣需要のことを、貨幣の資産需要といいます。貨幣の資産需要は、利子(払)率の減少関数です。ですから、利子率が上昇すると貨幣の資産需要は減少し、逆に、利子率が低下すると貨幣の資産需要は増加します。

エ ケインズは、人々が利子を生まない貨幣を他の金融資産よりも選好して保有するのは、貨幣のもつ流動性によるものだと考えた。〇人々が利子を生まない貨幣を他の金融資産よりも選好して保有するのは、貨幣のもつ流動性によるものとする考えのことを、ケインズの流動性選好説といいます。流動性選好貨幣選好)とは、安全資産である貨幣を手元に保有しようとする選好のことです。

貨幣需要関数

 貨幣需要関数に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。


ア ケインズ型貨幣需要関数は、国民所得の増加関数であり、利子率の減少関数である。〇ケインズ型貨幣需要関数は、国民所得の増加関数であり、利子率の減少関数となります。

イ 縦軸に利子率をとり、横軸に貨幣需要をとると、ケインズ型貨幣需要関数は、一般に、右下がりの曲線で表される。〇右下がりの曲線

ウ 国民所得が増加すると、貨幣需要曲線は右方にシフトし、国民所得が減少すると、貨幣需要曲線は左方にシフトする。〇国民所得が増加すると、取引需要が増加し、貨幣需要は増加するため、貨幣需要曲線は右方にシフトします。逆に、国民所得が減少すると、貨幣需要は減少するため、貨幣需要曲線は左方にシフトします。

エ 流動性のわなが生じている場合は、貨幣需要曲線は、横軸に対して垂直になる。×横軸に対して水平になります。これは、利子率が下限まで低下すると、貨幣需要が無限大になることを表しています。利子率がゼロに近くなった場合は、債券の魅力が全くなくなり、誰も債券を持とうとしない現象が発生します。この現象を「流動性のわな」と呼びます。「流動性のわな」の状態になると、貨幣需要は無限大になります。貨幣需要はグラフにおいて横軸で表されており、右にいけばいくほど貨幣上は大きくなるわけですから、ある利子率の水準で貨幣需要が無限大の場合、貨幣需要関数を表すグラフは、その利子率の水準で横軸に対して水平になります。

貨幣供給

 貨幣供給に関する次の文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


 日本銀行は、金融政策を行い、貨幣供給(マネーサプライ)を調節している。日本銀行が( A )を行うと、現金通貨と準備預金の合計で表される( B )が増加し、その結果、貨幣供給は( C )する。また、日本銀行は、( D )を上げ下げすることで、貨幣乗数を変化させることにより貨幣供給を調整することができる。( D )による貨幣供給の調整のことを( D )操作という。

ア 
A:買いオペレーション〇 B:ハイパワードマネー〇
C:増加〇 D:法定準備率〇

イ 
A:買いオペレーション〇 B:ハイパワードマネー
C:減少 D:法定準備率

ウ 
A:売りオペレーション B:マネーサプライ
C:増加 D:基準割引率および基準貸付率


A:売りオペレーション B:マネーサプライ
C:減少 D:基準割引率および基準貸付率

市場に資金が供給されると、現金通貨と準備預金の合計で表されるハイパワードマネーが増加します。

マネーサプライとは、民間部門の保有する現金通貨と預金通貨を合計したものです。現金通貨と準備預金を合計したものではありません。

ハイパワードマネーの変化分の貨幣乗数倍だけ貨幣供給(マネーサプライ)は変化します。貨幣乗数が一定のときハイパワードマネーが増加すると、ハイパワードマネーの増加分に貨幣乗数倍しただけ貨幣供給は増加します。

日本銀行は、法定準備率を上げ下げすることで、貨幣乗数を変化させることにより貨幣供給を調整することができます。法定準備率による貨幣供給の調整のことを法定準備率操作といいます。

基準割引率および基準貸付率とは、日本銀行が市中銀行に貸し出しを行うときの基準金利のことをいいます。基準割引率および基準貸付率を上げ下げしても、貨幣乗数は変化しません。

マネタリーベース

 マネタリーベースに関する記述について、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 日本銀行当座預金はマネタリーベースに含まれる。×〇
マネタリーベース=日本銀行券発行高+貨幣流通高+日本銀行当座預金

b 日本銀行の当座預金とは、金融機関が日本銀行に保有する当座預金であり有利子であったが、2016年1月からマイナス金利政策が導入された。〇×日本銀行の当座預金は、2016年1月にマイナス金利政策が導入されるまでは、無利子の預金でした。

c マネタリーベース=日本銀行券発行高+貨幣流通高+日本銀行当座預金である。〇

d マネタリーベースはマネーストックM1に含まれないがM2には含まれる〇×

マネーストックM1、M2は、次の通貨量を集計したものです。

M1=現金通貨+全預金取扱機関に預けられた預金通貨

M2=現金通貨+国内銀行等に預けられた預金通貨+準通貨+CD(譲渡性預金)

M1、M2のいずれにもマネタリーベースは含まれません。

[解答群]

ア aとb

イ aとc〇

ウ bとc

エ bとd〇×

マネタリーベースとは、中央銀行がコントロールできる現金通貨と準備預金のことで、ハイパワードマネーとも呼びます。

マネタリーベース(ハイパワードマネー)=日本銀行券発行高+貨幣流通高+日本銀行当座預金

また、マネーストック(マネーサプライ)は以下のように定義されています。

M1=現金通貨+全預金取扱機関に預けられた預金通貨

M2=現金通貨+国内銀行等に預けられた預金通貨+準通貨+CD(譲渡性預金)

M3=M1+準通貨+CD(譲渡性預金)

M3はM1に準通貨やCD(譲渡性預金)を加えた指標です。準通貨の大半は定期預金であり、定期預金は解約により現金通貨や預金通貨に替えれば決済手段になる金融商品です。預金通貨に準じた性格をもつという意味で準通貨といわれています。

貨幣乗数

 マネーサプライ(またはマネーストック)Mが流通現金通貨Cと預金Dから構成され、次のように表されるとする。

M=C+D

 また、次のように、ハイパワードマネーHは現金通貨Cと準備預金(日銀預け金)Rとから構成される。

H=C+R

 このとき、マネーサプライとハイパワードマネーとの間には、次の式が成立する。

 ⑴式の右辺の分数部分について、分母および分子を預金Dで割ると、次のようになる。

 ⑵式は、貨幣乗数を通じたマネーサプライとハイパワードマネーとの関係を表している

 いま、現金預金比率を30%、法定準備率を20%とする。ここで、ハイパワードマネーを10億円だけ増加したとき、増加するマネーサプライの値として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【解答群】

ア 10億円 ×

イ 14億円 

ウ 26億円 

エ 28億円 

オ 32億円

貨幣乗数=((0.3+1)/(0.3+0.2))
=2.6

貨幣市場の均衡

 貨幣市場の均衡に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。


ア 貨幣市場の均衡とは、貨幣需要と貨幣供給が一致することをいう。〇貨幣市場の均衡とは、貨幣需要と貨幣供給が一致することをいいます。この「均衡」ということばは、需要と供給が一致するということを意味しています。貨幣市場における均衡ですので、貨幣需要と貨幣供給が一致することということになります。

イ ケインズによると、貨幣市場において、一般に、貨幣需要曲線は右下がりの曲線で表され、貨幣供給曲線は横軸に対して垂直な直線で表される。×〇ケインズによると、貨幣市場において、一般に、貨幣需要曲線右下がりの曲線で表され、貨幣供給曲線横軸に対して垂直な直線で表されます。貨幣供給は、利子率に依存しません。利子率がどういう水準であっても、日本銀行が決定したマネーサプライMの水準となります。縦軸に利子率をとり、横軸に貨幣量をとると、利子率がどの水準であっても、貨幣供給は一定なわけですから、貨幣供給曲線は、横軸に対して垂直な直線となります。

ウ ケインズによると、利子率は貨幣市場において決定される。〇貨幣市場において、利子率は、貨幣需要曲線と貨幣供給曲線の交点によって、決定されます。

エ ケインズによると、貨幣市場において、日本銀行が貨幣供給を増やすと、利子率は上昇する。×ケインズによると、貨幣市場において、日本銀行が貨幣供給を増やすと、上の図の貨幣供給曲線が右方にシフトします。すると、貨幣需要曲線と貨幣供給曲線の交点である均衡点はA点から右下の位置に移動します。その交点によって利子率は決定され、その利子率は当初の利子率rよりも低下します。利子率は上昇するのではありません。

 LM曲線

 LM曲線に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


ア LM曲線は、財市場を均衡させる国民所得と利子率の組み合わせを表した曲線のことをいう。〇LM曲線は、貨幣市場を均衡させる国民所得と利子率の組み合わせを表した曲線のことをいいます。LはLiquidity(流動性選好)、MはMoney Supply(貨幣供給)のことです。LM曲線は、財市場を均衡させるものではありません。財市場を均衡させる国民所得と利子率の組み合わせを表した曲線は、IS曲線です。

イ 右上がりのLM曲線の左上方では、貨幣市場において超過供給が発生しており、LM曲線の右下方では、貨幣市場において超過需要が発生している。〇

ウ 貨幣需要の利子率弾力性が大きいほど、LM曲線の傾きも急になる。×貨幣需要の利子弾力性が無限大となる流動性のわなのケースでは、LM曲線は横軸に対して水平になります。

エ マネーサプライが増加すると、LM曲線は左方にシフトする。×LM曲線は右方にシフト

投資関数

 投資関数に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


ア ケインズによると、投資の限界効率が利子率を下回るときには、投資は実行されない。〇J.M.ケインズは、投資の限界効率が利子率を上回るときに投資が実行されると主張しました。投資の限界効率が利子率を下回るときには、投資は実行されません。投資をすることによって得られるであろう収益率が利子率より低いからです。投資の限界効率が利子率を下回るときには、投資をするより、金融機関に貨幣を預金し、その利息をもらった方がお得になるからです。

イ ケインズによると、投資は、利子率の増加関数である。×利子率が上昇すると、投資額は小さくなります。金融機関に貨幣を預金し得られる利息が、投資することによって得られる利益を上回る投資プロジェクトはさほど多くなくなるからです。逆に、利子率が低下すると、投資額は大きくなります。金融機関に貨幣を預金し得られる利息よりも、投資することによって得られる利益を上回る投資プロジェクトの数が多くなくなるからです。よって、投資は、利子率の減少関数です。

ウ ケインズによると、投資関数を表す投資曲線は、右上がりの曲線となる。×投資は利子率の減少関数なので、縦軸に利子率をとり、横軸に投資をとると、グラフにおいて、投資関数を表す投資曲線は、右下がりの曲線となります。

エ 投資の利子弾力性が大きいほど、投資関数を表す投資曲線の傾きは急になる。×投資の利子率弾力性とは、利子率が1%変化したときに、投資が何%変化するかを表す指標のことをいいます。投資の利子弾力性が大きいほど、利子率の変化に対し投資が敏感に反応するということです。少しでも利子率が低下すると大きく投資が増えるわけですから、投資関数を表す投資曲線の傾きは緩やかになります。急ではありません。逆に、投資の利子弾力性が小さいほど、利子率の変化に対し投資があまり敏感に反応しないということです。利子率が低下させてもあまり投資が増えるわけではないということですから、投資関数を表す投資曲線の傾きは急になります。

IS曲線

 IS曲線に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


ア IS曲線は、貨幣市場を均衡させる国民所得と利子率の組み合わせを表した曲線のことをいう。×IS曲線は、財市場を均衡させる国民所得と利子率の組み合わせを表した曲線のことをいいます。IはInvestment(投資)、SはSaving(貯蓄)のことで、財市場の均衡は、投資と貯蓄が均衡した状態をいいます。IS曲線は、貨幣市場を均衡させるものではありません。貨幣市場を均衡させる国民所得と利子率の組み合わせを表した曲線は、LM曲線です。

イ 右下がりのIS曲線の右上方では、財市場において超過需要が発生しており、IS曲線の左下方では、財市場において超過供給が発生している。×

IS曲線の右上方では、財市場において超過供給が発生

IS曲線の左下方では、財市場において超過需要が発生

ウ 投資の利子率弾力性が大きいほど、IS曲線の傾きは急になる。×

投資の利子率弾力性が大きい場合 → IS曲線の傾きは緩やか

投資の利子率弾力性が小さい場合 → IS曲線の傾きは急

流動性のわなのケースでは、貨幣需要の利子弾力性が無限大となっており、LM曲線は横軸に対して水平になります。

エ 限界消費性向が大きいほど、IS曲線の傾きは緩やかになる。〇限界消費性向は、国民所得が1単位増えたときに、増加する消費の量のことです。限界消費性向cが大きいほど、投資乗数は大きくなります。ですから、限界消費性向が大きいほど、利子率が低下したときの投資の増加に対する国民所得の増加分は大きく変化します。そのため、限界消費性向が大きいほど、IS曲線の傾きが緩やかになります。

限界消費性向が大きい場合 → IS曲線の傾きは緩やか

限界消費性向が小さい場合 → IS曲線の傾きは急 

 IS曲線のシフト

 IS曲線のシフトに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


ア 政府が減税すると、IS曲線は左方にシフトする。×

イ 民間投資が増加すると、IS曲線は左方にシフトする。×

ウ 政府支出が増加すると、IS曲線は右方にシフトする。〇

エ 輸出が減少すると、IS曲線は右方にシフトする。×

IS-LM分析

 次の図は、IS曲線とLM曲線を表したものである。このIS-LM分析に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

ア IS-LM分析は、IS曲線とLM曲線を利用して、財市場と貨幣市場の同時均衡を達成する均衡国民所得と均衡物価を分析するものである。×財市場と貨幣市場の同時均衡を達成する均衡国民所得均衡利子率 均衡国民所得と均衡物価を分析するものは、AD-AS分析です。

イ IS-LM分析によると、均衡国民所得はY0、均衡利子率はr0となる。〇

ウ 財市場の均衡条件式から導出されるIS曲線の方程式がわかると、数式によって均衡国民所得と均衡利子率が求められる。×数式では、財市場の均衡条件式から導出されるIS曲線の方程式と、貨幣市場の均衡条件式から導出されるLM曲線の方程式を連立させて解くことにより、均衡国民所得と均衡利子率の組み合わせである解(Y0,r0)が得られます。財市場の均衡条件式から導出されるIS曲線の方程式だけでは、均衡国民所得と均衡利子率の組み合わせである解(Y0,r0)は得られません。

エ 均衡点Aでは、財市場と貨幣市場が均衡しているので、労働市場も均衡していることになる。×均衡点では、財市場と貨幣市場は均衡していますが、もう1つの市場である労働市場は均衡しているとは限りません。IS-LM分析では労働市場については、一切考慮してないからです。つまり、IS-LM分析の均衡点が成立しても、労働市場では失業が発生している可能性があります。

財政政策の効果

 次の図は、政府が政府支出を増加させ、拡張的な財政政策を実施した場合の状況を表している。ここでは、利子率をr、国民所得をY、政府支出を増加する前のIS曲線をIS0、政府支出を増加した後のIS曲線をIS1で表している。このとき、財政政策の効果に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 

ア 政府支出を増加する前の均衡国民所得はY1、均衡利子率はr1である。×

イ 45度線分析により財市場の均衡だけを考慮した場合、政府が拡張的な財政政策を実施すると、均衡国民所得はY0からY1へと増加することになる。×Y2

ウ IS-LM分析により財市場と貨幣市場の同時均衡を考慮した場合、政府が拡張的な財政政策を実施すると、均衡国民所得はY0からY2へと増加することになる。×Y1

エ 政府が拡張的な財政政策を実施する場合、45度線分析よりもIS-LM分析の方が均衡国民所得の増加分が小さいのは、クラウディングアウトが生じているためである。〇政府支出の増加により利子率が上昇し、民間投資が抑制されることを、クラウディングアウトといいます。実際に、均衡国民所得が45度線分析で示されるほど増加しないのは、利子率が上昇するからです。投資は利子率の減少関数でした。ですから、利子率が上昇すると、投資が減ることになります。投資は総需要を構成する要素ですので、投資が減ると総需要が減ります。総需要が減った分、乗数効果は小さいものとなるわけです。クラウディングアウトが生じているため、実際の均衡国民所得は45度線分析における乗数効果による均衡国民所得を下回るものになります。

金融政策の効果

 次の図は、日本銀行がマネーサプライを増加させ、拡張的な金融政策を実施した場合の状況を表している。ここでは、利子率をr、国民所得をY、マネーサプライを増加する前のLM曲線をLM0、マネーサプライを増加した後のLM曲線をLM1で表している。このとき、金融政策の効果に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

ア マネーサプライを増加する前の均衡国民所得はY0、均衡利子率はr0である。〇

イ 日本銀行が拡張的な金融政策を実施しても、均衡点はそのままで移動しない。〇

ウ このように流動性のわなに陥っている場合、日本銀行が実施する拡張的な金融政策は有効となる。×利子率がこれ以上下落することはないと人々が予測している流動性のわなに陥っている状態の場合、LM曲線は横軸に対して水平になります。このようなケースでは、マネーサプライを増加して、LM曲線が右方にシフトしても、均衡点が移動しないので、均衡国民所得はY0のままで変化しないことになります。金融政策を実施しても均衡国民所得を増加させることができないという意味で、無効となります。

エ 日本銀行が拡張的な金融政策を実施しても、均衡国民所得も均衡利子率も変化しない。〇

基準割引率および基準貸付利率

 基準割引率および基準貸付利率に関する次の文中の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 日本銀行が、個別の金融機関に対して、オペレーションによることなく資金を貸し出す際の( A )を、基準割引率および基準貸付利率という。かつて、日本銀行の主な金融調節手段は、オペレーションではなく、( B )により金融機関に貸出を行うことであった。また、規制金利時代には、預金金利等の各種の( C )が( B )に連動していたため、( B )が変更されると、こうした( C )も一斉に変更される仕組みになっていた。このため、( B )は金融政策の基本的なスタンスを示す代表的な政策金利であった。しかし、1994年に金利自由化が完了し、( B )と預金金利との直接的な連動性はなくなった。こうした連動関係に代わって、現在、各種の( C )は金融市場における ( D )によって決まっている。

ア A:基準手数料  B:窓口規制   C:手数料   D:規制行動

イ A:基準手数料  B:公定歩合〇   C:手数料   D:規制行動

ウ A:基準金利〇   B:窓口規制   C:金利    D:裁定行動

エ A:基準金利〇   B:公定歩合〇   C:金利〇    D:裁定行動

裁定行動

1994年に金利自由化が完了し、公定歩合と預金金利との直接的な連動性はなくなりました。こうした連動関係に代わって、現在、各種の金利は金融市場における裁定行動によって決まっています。規制行動ではありません。なお、かつての公定歩合は、2001年(平成13年)に導入された補完貸付制度の適用金利(「基準貸付利率」)として、短期の市場金利の上限を画する役割を担うようになっています。





 

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